なんかかっこいい!
漆沢里香はごく普通の惚れっぽい人である。毎日イケメンのことを考え、毎日運命の出会いを心待ちにする、齢18の惚れっぽい人である。今日も今日とて、チックポップのイケメンをチェックした後、行きつけのコンビニでWANWANとBOOOGUを買って帰路についていた―――のだが。
キュキイッ!!キキキィィィィイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。漆沢里香の魂と、女神が対面している。
「漆沢里香さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
漆沢里香(18)
レベル2
称号:転生者
保有スキル:なんかかっこいい!
HP:26
MP:30
「というわけで、いきなり草原に放り出すって!どっかの小説かよ!!5000番煎じだな!!うっす!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が惚れっぽい人の前に現れた!
「げえ!スライムとか…武器も何も持っていないってのにい!!」
うろたえる、惚れっぽい人。
「そうだ、保有スキル使ってみないと!って、なんかかっこいい?!…よく見ると、かっこいいかも…。」
スライムは、戸惑っている!
「え!!つかこのフォルム?!めっちゃありえなき!涙型とも違う、まるとも言えない、どくとくの形!!え、マジで!!これ、こんな形で存在していいの…?芸術という枠、越してね?!すごい…これ、めっちゃミッケもんじゃん…惚れたわ…。うっとり・・・。」
スライムは褒められすぎて固まってしまった!!
「よーし、私だけの宝にしよう!!…ぎゃああああああああああああ!!!」
スライムの美しさを独り占めしようとした惚れっぽい人は、スライムを抱きかかえてしまいその体表の猛毒に触れて絶命した。大変に幸せそうな顔の惚れっぽい人を、スライムは捕食した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
惚れっぽい人は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
惚れっぽい人はコンビニでWANWANとBOOOGUを買って帰路についた。自宅近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょっと早く通りかかってたら運命の人と出会えなくなってたじゃん!勘弁してー!!」
惚れっぽい人は、ちょっとコミュニケーションを取っただけですぐに惚れ込んでしまう性格が幸いして貢ぎ女子になってしまったものの、思い込みの激しさからくる独特の感性を生かして多くの人に見放された残念な人たちを救うアドバイザーとなり、たくさんの落ち込んだ人を前向きにした後80歳で大好きだったアイドルの写真を抱きしめたままこの世を去ったという事です。




