ハイスクールDJ
柱谷豪はごく普通の放送委員である。毎日昼の放送をこなし、毎日次の日に流す音楽をチョイスする、齢16の放送委員である。今日も今日とて、今日のギャグは決まったなと独り言ちて、行きつけのコンビニでライチューンカードとVG4000のど飴を買って家路についていた―――のだが。
キイ!!キ――――イイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。柱谷豪の魂と、女神が対面している。
「柱谷豪さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
柱谷豪(16)
レベル10
称号:転生者
保有スキル:ハイスクールDJ
HP:12
MP:14
「というわけで、いきなり草原に放り出す、ふうん、そういうことすんだ、へえ…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が放送委員の前に現れた!
「むむっ!スライムかよ?!武器も何もないぞ、これはどうすれば?」
うろたえる、放送委員。
「あ、保有スキル試してみたらなんとかなるやつ?ハイスクールDJ?おいおい、なんも機器がないのに…」
うばほん!!!
放送部員の前に、いつも使ってる放送部の放送席が現れた!愉快なお昼の放送のミュージックが流れ始めたぞ!放送部員は放送席に座ると、なれた口調で放送を始めた!
「はい皆さんごきげんよう、あなたの鼓膜にクリティカルヒット、まず高放送部二年目、DJ-GOがお届けするローレライアワーのお時間がやって参りました。」
耳触りの良いイケボに、草原のモンスターたちが集まり始めた!スライムは一番前に座って聞きほれている!放送委員の軽口とおしゃれなトークにみな夢中だ!
ずしん、ずしん・・・
いきなり強引なイエティが乱入してきたぞ!!イエティは放送席を乗っ取ってマイクを奪い!!ボエーと雄叫びをあげた!!周りでうっとりしていたモンスターたちの鼓膜が破壊される!!放送部員は鼓膜どころか脳みそまで破壊音波で崩壊して絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
放送委員は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
放送委員はコンビニでライチューンカードとVG4000のど飴を買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「えっ!もうちょっと早く通りかかってたらやばみ。」
放送委員は、自慢のイケボを生かせるのはラジオだと信じてDJスクールに入学したものの、ビューチューブで朗読をしたらどえらい人気が出てしまい、気が付いたら声優として活躍するようになっていましたが演技力に魅力がなく、人気アニメの主人公に抜擢されたというのに途中交代という不名誉なレッテルを貼られてしまったけれども、生来の明るい性格が功を成し永遠の好青年ボイスを持つナレーターとして長く活躍したのち99歳でこの世を去ったそうです。




