なんかちょうだいよ
石堂シルフィ咲綾はごく普通の図々しい人である。毎日試食をガツガツ食べ、毎日試供品を鷲掴みする、齢24の図々しい人である。今日も今日とて、ティッシュを配るお兄さんからいっぱいがめた後、行きつけのコンビニでおしぼり三つとストロー二本をもらって家路についていた―――のだが。
ギギギギ―――ギイッ!!キイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。石堂シルフィ咲綾の魂と、女神が対面している。
「石堂シルフィ咲綾さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
石堂シルフィ咲綾(24)
レベル10
称号:転生者
保有スキル:なんかちょうだいよ
HP:15
MP:16
「というわけで、いきなり草原に放り出すとかありえなき!なんかよこせよ!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が図々しい人の前に現れた!
「はあ?!スライムぅ?!武器も何もないんだからさあ、もうちょっと考えろよって!!!」
うろたえる、図々しい人。
「そういや!保有スキルもらってたな…使って試してみないと!なんかちょうだいよ?!くれんのかい!!はよよこせ!!けち!!!」
スライムはすんげぇかっち―――――んときた。オメーにはこの毒素MAX玉くれてやんよ!!!
ぽーん
スライムは毒素MAX玉を図々しい人に放り投げた!図々しい人は毒素MAX玉を受け取めた!どうやらもらったものはすべてマイナスステータスにならない模様!!
「ちょ、何このしょぼいの。しかもたった一個?ふざけんな!使う用と保存用ともしもの時用、予備と楽しむ用も欲しい、あと十個はもらわないと!!」
スライムは恐れ戦いた!!なんちゅー業突く張りだ!!!スライムは逃げ出した!!しかし図々しい人に回り込まれてしまった!
「ちょ!!まてよ!!!まだ持ってんだろ!!奪い取ってやる!!」
図々しい人はスライムに襲い掛かった!
「ぎゃああああああああああああ!!!」
もらったものに対しては完璧に効果無効が発揮されるが、奪おうとする者には耐性が効かなかったため図々しい人はスライムの体表の毒素で絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
図々しい人は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
図々しい人は行きつけのコンビニでおしぼり三つとストロー二本をもらったあと家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょっと早く通りかかってたら命がヤバかったわけね、あーこわ。」
図々しい人は、ただで物をもらうことに執着するあまり気が付いたら孤立してしまい人生のやるせなさをブログに綴りましたが、完全自業自得だったので人気が出ずさらに闇に包まれたのち、宝くじが当たってお金を使う楽しさに目覚めて最終的にはただの浪費家になって56歳の時に事件に巻き込まれてこの世を去ったという事です。




