液タブ
やんちゃBOZUはるひこはごく普通のイラストレーターである。毎日イラストを描き、毎日首をぐきぐき鳴らす、齢27のイラストレーターである。今日も今日とて、ブログ更新を終えた後、行きつけのコンビニで電子タバコのリキッドとスパークリングワインを買った後家路についていた―――のだが。
キキイッ!!キ―イイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。やんちゃBOZUはるひこの魂と、女神が対面している。
「やんちゃBOZUはるひこさん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
やんちゃBOZUはるひこ/柳葉晴彦(27)
レベル21
称号:転生者
保有スキル:液タブ
HP:6
MP:40
「というわけで、いきなり草原に放り出されるとか…マジなやつだ…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がイラストレーターの前に現れた!
「ちょっ…?!スライムとか王道すぎんだろっ!!武器も何もないってのに!!」
うろたえる、イラストレーター。
「クッソ、試してみるか、保有スキル…液タブ!」
イラストレーターの手に愛用の液タブ(液晶ペンタブレット)が現れた!ちょうど締め切りだったゲームアプリのモンスターの絵が開かれているぞ!!スライムは、今にも襲い掛かろうとしている!
「液タブでどう戦うんだよ!!ん、待てよ、コピーペーストで、召喚とかできそうじゃね?」
イラストレーターは画面イラストをコピーし、ペーストボタンを押した!
うばほん!!!
液タブに描かれていた迫力満点のヒュドラが出てきた!!!背景の炎まで一緒に出てきた!!
「うぎゃあああああ!!あちい!あぢイイイイイいい!!!!」
イラストレーターは炎にまかれて絶命した。液タブは落ちた時に画面フィルムに瑕が入ってしまった。10000円払ってフィルム交換しなければならないが、この世界にはフィルムを販売している場所がなかったという。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
イラストレーターは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まった前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
イラストレーターは行きつけのコンビニで電子タバコのリキッドとスパークリングワインを買った後家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もう少し早く通りかかってたらやばかったな…。」
イラストレーターは、猛々しいモンスターを書かせたら右に出るものはいない偉大なる神と全世界から絶賛されていたのですが、どのデザインも立体造形向きではなかったためフィギュアメーカーからいちゃもんが入ってしまい、デザイン変更しなければならなくなったのにそれをガン無視したのが幸いして訴訟問題にまで発展したものの、自分の描く作品に絶対の自信を持ち続け信念を曲げることなく過ごしていた58歳のある日事故でいきなりこの世を去ってしまい、多くのファンを悲しませたという事です。




