神メイク
渡旭はごく普通のおとこの娘である。毎日女装をし、毎日インツタに自撮りをあげる、齢21のおとこの娘である。今日も今日とて、ウィッグ専門店で買い物をした後、行きつけのコンビニでストッキングとフルーツ牛乳を買った後家路についていた―――のだが。
ギュイッ!!キイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。渡旭の魂と、女神が対面している。
「渡旭さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
渡旭(21)
レベル15
称号:転生者
保有スキル:神メイク
HP:15
MP:49
「というわけで、いきなり草原に放り出されちゃった。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がおとこの娘の前に現れた!
「えっ?!スライム?!武器も何もないよ、どうしよう?!」
うろたえる、おとこの娘。
「あ!試してみよ、保有スキル…神メイク?」
うばほん!!!
おとこの娘の目の前にフルメイクセットとウィッグ、衣装がずらりと出てきた!
スライムは興味津々だ!!
「え、興味あるの?お化粧、してあげようか?…人型じゃないと難しいかも…」
うばほん!!!
スライムは水色ではあるがおとこの娘そっくりに変化した!!ただし全裸だ!!ヤバイ!!全年齢版!!
「わあ!!ええっと!!服!!服着てっ!!僕とおそろいの…メイド服でいいや、うん、で、ここに座って…メイクする、から。」
メイド服を着たスライムは、椅子に座ってメイクをしてもらった!おそろいのウィッグをかぶせてもらって…。正直めっちゃ可愛く仕上がった!うぉおおおお!!めっちゃ可愛いイイイイ!!!
「わあ…!!かわいい…!!…ね、キスして、いい?…ん、ちゅっ…?!ゥぎぃゃアアアアアア!!!」
おとこの娘は、唇からスライムの毒が回ってたらこ唇になった挙句絶命した。スライムはかわいい恰好のまま、草原を歩いて行ったが、雨が降って化粧が剥がれてしまったので泣く泣く普通のスライムに戻ったという。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
おとこの娘は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まった前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
おとこの娘は行きつけのコンビニでストッキングとフルーツ牛乳を買った後家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょっぴり早く通りかかってたらつぶれちゃってたかも、こわーい…。」
おとこの娘は、普通に恋愛して普通に結婚して娘の授業参観にはばっちりメイクをして参加をしていたのですが、45を過ぎたあたりからどうにも化粧のノリが悪くなってしまい娘の成人式以降はぱたりと女装をやめてしまったのち、急に落ち着いたオジサマキャラになってしまって周りを驚かせたあと、孫娘が雄んなの子になってもまるで動じることなく86歳でこの世を去ったという事です。




