年齢確認ボタンのタッチをお願いします
蓮川大地はごく普通のコンビニ店員である。毎日お弁当を温め、毎日ペットボトル補充をする、齢28のコンビニ店員である。今日も今日とて、いつも通り、バイト先のコンビニで灰皿の掃除をしていた―――のだが。
キキキイッ!!ギギィキキッキイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。蓮川大地の魂と、女神が対面している。
「蓮川大地さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
蓮川大地(28)
レベル9
称号:転生者
保有スキル:年齢確認ボタンのタッチをお願いします
HP:20
MP:20
「というわけで、いきなり草原に放り出されている僕っていったい。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がコンビニ店員の前に現れた!
「うぉ!スライムじゃん!武器も何もないけど?!」
うろたえる、コンビニ店員。
「そうだ!試してみるべきだな!保有スキル!!年齢確認ボタンのタッチをお願いします?」
うばほん!!!
コンビニのレジカウンターが現れた!画面にはタッチボタンが表示されている!スライムはそんなのを無視してたばこを買うつもりだ!!
「お客さん!!困りますよ!!年齢確認できるものをお持ちですか?!」
スライムはそんなものを持っていない!!年齢はとうに一億歳を超えているというのに!!!スライムはすごすごと引き上げていった。
次のお客さんはゴリゴリのマッチョなゴーレムだ!!正直怖い!!ゴーレムはタバコを買うつもりだ!
「お客さん!!困りますよ!!年齢確認できるものをお持ちですか?!」
ぎろぉ・・・。ゴーレムはにらみを利かせた!コンビニ店員はすくみ上った!コンビニ店員は画面のタッチボタンを自分で押して、タバコをゴーレムに渡した!
「ありがとうございます…。」
それを少し離れていたところで見ていたスライムは激怒した!!私売ってもらえなかったのに――――――!!!怒り狂ったスライムはコンビニ店員を丸呑みして捕食した。スライムは丸呑みした後で、タバコ買っとけばよかったと後悔したらしい。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
コンビニ店員は時間を巻き戻されて、コンビニの喫煙コーナーの灰皿の前に立っていた。コンビニの喫煙コーナーの灰皿の前で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
コンビニ店員はコンビニの喫煙コーナーの灰皿の掃除をした後レジ業務をするため店内に入った。コンビニ敷地内の電柱近くで、車の暴走事故が発生した。
「もうちょっと遅く灰皿掃除してたらひかれてたかもしれないな…場所替えた方がいいんじゃないのか、これ。」
コンビニ店員は、二度ほど接客態度が悪いと本部にタレこまれた後退職し、二度と接客業にはつかないぞと決めて倉庫内作業者になりましたが腰を痛めて退職せざるを得なくなり、その経緯をプクシベで漫画にして発表したところコミックエッセイが発売されることになってシリーズ化ドラマ化され、60歳でこの世を去るまで毎日笑って過ごしていたそうです。
なお、絶筆となった「僕とタッチパネルは一心同体」は、映画化まではされなかったとのことです。




