雨ごいMAX
国重治夫はごく普通の気象予報士である。毎日天気予報をし、毎日ブログを更新する、齢44の気象予報士である。今日も今日とて、ブログ更新を終えた後、行きつけのコンビニでビニール傘とレモンティーを買った後家路についていた―――のだが。
ギュイッ!!キイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。国重治夫の魂と、女神が対面している。
「国重治夫さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
国重治夫(44)
レベル21
称号:転生者
保有スキル:雨ごいMAX
HP:50
MP:56
「というわけで、いきなり草原に放り出されてしまっては、困りますね。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が気象予報士の前に現れた!
「おうっ?!スライムとはっ!武器も何もないのですよ、こっちは!!」
うろたえる、気象予報士。
「そうですね!試してみましょう、保有スキル…雨ごいMAX?」
晴れ渡っていた空に雲が広がり始めた。遠くの山に、おかしな形の雲がかかっている。
「あれは…傘雲ですね、雨が降りやすくなってるな。雨ごいね、ふうむ、確かに頭上には積乱雲がものすごい勢いで積み重なってきている…。雨で勝てるのか?…いや、勝つしかない!フルパワーで…雨ごい、マ――――ックスゥううう!!大雨、きたれぇえええええ!!!!」
ドズザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
恐ろしい勢いの土砂降り、いやまさに滝のような水流がスライムと気象予報士の頭上から落ちてきた!スライムは水圧で体を四方八方に爆散した!気象予報士は水圧で地面に叩きつけられ気を失ったのち雨水に溺れて絶命した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
気象予報士は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まった前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
気象予報士は行きつけのコンビニでビニール傘とレモンティーを買った後家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もう少し早く通りかかってたら明日の一面に載ってたかも?怖い話だ…。」
気象予報士は、地元のお祭りで着ぐるみを着て生実況天気中継をしたところその予報の正確さとゆかいな人格がたくさんの人たちの認められて少しづつ人気となり、気が付いたら全国区のテレビ番組に欠かせない人となっていましたが少々図に乗りやすい性格が災いして「この予報が外れたら引退宣言」をしてしまい見事に引退する羽目になり、70歳でこの世を去る2年前に「あの時の一言がなければ俺は今頃」という名言を残したそうです。




