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スイーツ

吉村緑子ははごく普通のOLである。毎日仕事に行って、毎日三時におやつを食べる、齢28のOLである。今日も今日とて、仕事帰りに、行きつけのコンビニでファイルミニを一本と一本満足棒を一つ買って家路についていた―――のだが。


キキイイイイ!!キキイイイイイイイイイイイイイイイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。



真っ白な空間。吉村緑子の魂と、女神が対面している。


「吉村緑子さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」

「はい?」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」



吉村緑子(28)


レベル4


称号:転生者


保有スキル:スイーツ


HP:40

MP:36



「というわけで、いきなり草原に放り出されるとか、うーん…。」


べよん、べよん。

水色の、ぶよぶよした丸い塊がOLの前に現れた!


「ええ!目の前にスライムぅ?!武器も何もないのに!!うそおおおん!!!」


うろたえる、OL。


「あ、保有スキルを試してみよう!えっと!!スイーツっ!!!」


うばほん!!!


ずざさーっと砂糖が降ってきて、スライムを砂糖漬けにした!!


「アッ!!すごい!!これってまさにチート?」


大喜びしているOLの足元に、黒い影が襲い掛かった。アリの大軍である。

OLはあっという間にありにたかられた。おぞましさに気絶している間に、OLは捕食されてしまった。




「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


OLは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口に立っていた。コンビニに入る前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。


OLはファイルミニを一本と一本満足棒を一つ買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「もうちょっと早く帰ってたらひかれてた!!良かった―ひかれなくて。」


OLは、毎日おやつを食べて少々丸くなったものの32歳で運命の人と出会って結婚し、産後太りを解消するために始めたジョギングにハマって40歳で美ジョガーデビューし、のちに国内最高齢美ジョガーの称号をもらったという事です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 3/3 ・アリ!? その発想はなかったです。 ・車の音が毎回違ってる。見てて楽しいです。 [気になる点] 一本満足棒w 満足しました(意味不明) [一言] ジョギングはいいぞ。ペース走…
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