川流れ
さんたろうははごく普通のカッパである。毎日頭の皿を濡らし、毎日キュウリを食べたいなあと考える、齢24のカッパである。今日も今日とて、川を流れた帰りに、川の横のコンビニで野菜サンドと野菜サラダをいつか買いたいなあと思いつつ家路についていた―――のだが。
キュキキキキッ!!キキキィィィィイイイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。さんたろうの魂と、女神が対面している。
「さんたろうさん、あなたは気の毒ですがカッパ生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
さんたろう(24)
レベル9
称号:転生カッパ
保有スキル:川流れ
HP:56
MP:56
「というわけで、いきなり草原に放り出されてしまったようです、どうしようかな。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がカッパの前に現れた!
「初めて見ますね、スライム?武器も何もないですが、戦うべきですか?」
うろたえる、カッパ。
「そういえば、保有スキルを頂きましたね、川流れといっても、川がないけど…。」
ずばっしゃあああああ!!!
いきなり目の前に水が噴き出し、川が出現した!スライムは川に流されまいと、草にしがみついている!
「あっ、ごめんなさい、水苦手でしたかね、助けますね。」
カッパは手を伸ばして、スライムを抱き上げた。じゅうっ…!!抱き上げた手と、抱き止めたおなかが溶かされてゆく!
「僕は水に浸かってたら傷は治るから。君はここにいてね。」
カッパは自らが出した川に流されて、スライムの前から消えた。スライムは、しばらくその場でぷよぷよしていたがやがてどこかへと消えていった。河童は水に流されて干からびた人里まで行った後、自ら出し続ける川の中に身を隠して人のそばで暮らしていたが、ある時見つかって捕獲されてしまった。河童は皿を奪われて絶命した。河童がいなくなったので、川も干上がり、人々は全滅した。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
カッパは時間を巻き戻されて、川の横のコンビニ入り口前を望む川べりに身を潜めていた。身を潜めた時に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
カッパはコンビニで野菜サンドと野菜サラダをいつか買いたいなあと思いつつ家路についた。隠れ家の近くの川べりで、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょっと早く通りかかってたら見つかってしまっていた…?消滅していたかも…。怖い…。」
カッパは、開発の進む川べりに身を隠せなくなってきたので、山奥に移動することにしましたが、水源をたどって山に向かうのは大変に難しく、ある時道に迷っていたところ人のよさそうなおじさんに見つかってそのままついていくことになったのち、気のいいおばさんの家でお世話になるようになり、毎日キュウリを食べる生活を9年ほど続けた後山奥に移住して、今も山奥で一人のんびりと暮らしているという事です。
なお、おばさんの家にいる時野菜サンドと野菜サラダを食べさせてもらったそうですが、あまりおいしくなかったそうです。




