はいどうも!
斎藤哲也ははごく普通のビューチューバーである。毎日動画を編集し、毎日ネタを考える、齢28のビューチューバーである。今日も今日とて、撮影帰りに、行きつけのコンビニでタピオカミルクティとコブツグミを買って家路についていた―――のだが。
キュキキキキッ!!キキキィィィィイイイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。斎藤哲也の魂と、女神が対面している。
「斎藤哲也さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
斎藤哲也(28)
レベル9
称号:転生者
保有スキル:はいどうも!
HP:10
MP:8
「というわけで、いきなり草原に放り出すのかいっ、どうなってんだいっ。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がビューチューバーの前に現れた!
「おうふ!目の前にスライム?!武器も何もないこのピンチに、俺ができる事ぉおおおお!」
うろたえる、ビューチューバー。
「そっか、保有スキルを試さないと駄目なやーつ!はいどうも!」
スライムは、ビューチューバーをじっと見ている!何が始まるのか、注目しているようだ!!
「今日はですね、目の前にいるスライムをですね、観察しつつ、触ってみちゃったりなんかしようと思います!!」
スライムは怯んでいる!!
「おー、よーしよーし、スライムちゃん!ずいぶん水分高いですねー!ちょいと触らせていただきますよ~!」
ビューチューバーは恐れることなくスライムに手を伸ばした!!ぷよんぷよん!!ビューチューバーはスライムをつついている!スライムに1のダメージ!!
「これは餅つき機に入れたらおいしくなりそうですね~餅つき機、出てこないかな?カモン!!」
うばほん!!!
餅つき機が出てきた!ビューチューバーはスライムを餅つき機にセットした!しかし電源コードを刺すコンセントが見当たらない!!狼狽え始める、ビューチューバー!
「あれっ、ヤバイ、コンセントねーじゃん、マジこれどーすんの、このあとの展開考えてねえな、ええと?」
スライムははっと我に返った!!スライムは焦るビューチューバーを頭から捕食した。ビューチューバーを消化した後、餅つき機が残った。餅つき機は原住民に発見されたが、使い方を知るものは誰もおらず、いつしかいつしか神の神器として、もてはやされるようになったが、その所有を巡って戦争が起き、災いのもとであると考えた賢明な王によりその存在は破壊されたという。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
ビューチューバーは時間を巻き戻されて、コンビニ入り口前に立っていた。コンビニ前で立ち止まった時に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
ビューチューバーはコンビニでタピオカミルクティとコブツグミを買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょこっと早く通りかかってたらやばかったやつじゃん、マジ危なかった、気を付けとこう。」
ビューチューバーは、たまたま息抜きで撮影したお散歩動画から生息場所が割れてしまい熱心過ぎるファンにストーカーされてえらい目にあったものの、プロデュースした「リアル体験♡僕の唇CHU☆」が鬼売れして莫大な収益を得て田舎で隠居生活をはじめ、76歳ごろまで悠々自適で気楽に暮らしたようですが、発見されたときはミイラ化していて没年月日がはっきりしなかったという事です。




