中二病
向田晴彦はごく普通の中学生である。毎日学校に行って、毎日給食を食べる、齢15の中学生である。今日も今日とて、学校帰りに、行きつけのコンビニでコケコールゼロを一本とポテトチップス潮風味を一袋買って家路についていた―――のだが。
キイイイイイ!!キイイイイイイイイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。向田晴彦の魂と、女神が対面している。
「向田晴彦さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
向田晴彦(15)
レベル2
称号:転生者
保有スキル:中二病
HP:25
MP:15
「というわけで、いきなり草原に放り出されたんだけど…。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が中学生の前に現れた!
「うわ!目の前にスライムが!!武器も何もないのに!!マジか!!!」
うろたえる、中学生。
「あ、保有スキルを試せばいいんじゃね?よーし!!中二病!!!」
・・・。
「何も起きねえ!!!」
べよんべよん!!
水色のぶよぶよが中学生に迫る!!
「くっ…こうなったら…エターナルホース、ブリザードぉおおおお!!!」
うばほん!!!
氷にまみれた、馬がわんさか出てきて、スライムをなぎ倒していった!!
「な、なんか違くね…がくっ。」
中学生は魔力枯渇で息絶えた。氷の馬は、永遠にいろんなものをなぎ倒し続けているという。なんという迷惑な!!
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
中学生は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口に立っていた。コンビニに入る前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
中学生はコケコールゼロを一本とポテトチップス潮風味を一袋買って家路についた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「もうちょっと早く帰ってたらひかれてたかも、ヤバイヤバイ。」
中学生は、怪しげなアニメにどっぷりハマりはしたものの35歳で一世を風靡するエンターテイナーになって人気を博したとのことです。




