妄想炸裂
たかさばはごく普通のへらへらした人である。
毎日人の話を聞かず適当に返事して、毎日聞きたくないことを聞いてるふりして聞き流す、年齢不詳のへらへらした人である。
今日も今日とて、見直すことすらせず書いた物語をそのまま発表し盛大に誤字って読者様より指摘され訂正処理をした後、行きつけのコンビニで焼きプリンとレタスサンドとイカ玉お好み焼きとカンデミルガナグミとあらびきフランクとエレガンスポテトフライと片耳マイク付きイヤホンと安全ピンと…その他合計3900円分を買って帰路についていた―――のだが。
ギュキュギュキュキキイッ!!ギュウキギュイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!
ぐわしゃぁああ!!
ぶちゅ。
真っ白な空間。たかさばの魂と、女神が対面している。
「たかさばさん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「へいへい。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
たかさば(年齢不詳)
レベル不明
称号:転生者
保有スキル:妄想炸裂
HP:66
MP:666
「というわけで、いきなり草原に放り出されとるがな!…やったるわ!!!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が…へらへらした人の前に現れた!
「ふふん、スライム来たな!!こいつは毒の塊!近寄ってはならん!!」
うろたえない、へらへらした人。
「保有スキルがあれば無双も可能!!妄想!!炸裂!!!」
うばほん!!!
へらへらした人の手に、毎日愛用しているハイジェットボールペン0.7と名刺大の白いカードの束が現れた!
「フフフ…妄想を貯めに貯めまくって長い年月過ごしてきたババアなめてもらっちゃ困るでよ!!!」
へらへらした人は名刺大の紙に思いついたことをかきこんだ!!
「スライムは悠久の時を生きる命しかしそれに飽きることも許されずただ捕食を続けるばかりであったのだがその道筋を変えるものが目の前に現れた、それはまさに救世主、その名をたかさばといった。→作者の思い通りになる良いスライムで女子に変化できる、話もできるし仲良しになれるけど照れ屋、実は納豆が苦手。毒はたかさばに効かない、よし、これをスライムに投げつけると。」
ひゅっ!!
白いカードはスライムに突き刺さった!
スライムが変化する!!
「ちょっと!!作者の思い通りになるってどういうこと!!あたしの意思は?!」
なんかプルンプルンした女子になった!
スライム?は少々お怒りだぞ!!
「うひょー!かわいい女子キター!!君の意志はちゃんと取り入れますとも、仲良くやろうぜ!!フヒヒ!!!ナニナニ、何がしたいの、お姉さんに言ってごらんww」
「自分でお姉さんとかいう奴の気が知れんわ!!!まあいいわ!!牛肉食べたい!食べほいこ!!」
「よし来た!!じゃあ日本に行って食うべ!!近所にさあ、うまい店あんだって!!」
へらへらした人は、白いカードに何やら書きこむと、元居た世界に戻っていった。
草原には、ただ静寂が…あれ。
「ふい―!食った食った!!」
「ちょ!!べろんべろんカルビちょーうまいじゃん!!」
「でしょ?!また食いに行こう!!」
どうやらへらへらした人はこの世界と元居た世界を行き来しながら楽しむ算段の様だ!
なんというご都合主義!!
妄想渦巻く者の思い込みの激しさはまさに無敵!!!
「ねーねー!女神さまも呼んでみていい?」
「ええマジで?!いいよ!!あたし実は一回も見たことなくってさー!!!」
「女神はただ人を異世界に送り込む生活に飽きていた、しかしその日々を打開するものが現れた、その名はたかさば!→憶病なくせに気が強い、若干ヤンデレ気質のある女神は連れ出してくれる人を待ってたのでたかさばには甘い、自分に厳しいタイプなのでいっぱいかまってあげるべし。」
ひゅっ!
白いカードが、空に向かって勢いよく飛んでいき…。
どすん!!!
女神が降ってキター!!!
「ちょっと!!!何勝手に呼び出してんのさ!!!勝手に性格決めるな!!!私はもっとこう、厳かで近寄りがたい…」
「まあまあwwwそう怒りなさんな、一緒にノンジャムンジャやろーよ!!あ、それともプリン食べる?ちょっとぬるくなっちゃったけどうまいよ!」
「食うよ!!!あらびきフランクも欲しい!!」
へらへらした人は焼きプリンとあらびきフランクとカードゲームを差し出した!!!
草原には、騒がしい声がこだましているという。
へらへらした人は、異世界でそれなりに楽しい毎日を送るようになった結果、連載していた異世界物のショートショートを書くことができなくなってしまったので、このお話は最終回になるという事です。
おしまい、おしまい。
なお、投稿予約がハンパなくしてあるので、まだしばらく、おかしな物語の発表は続く、とのことです。




