ド天然フルパワー
浅川美代はごく普通のやらかしがちである。毎日聞き間違いをしてえらいことになり、毎日日記帳を二枚めくって白いページを作ってしまってそこを埋めるためのイラストを描いてしまう、齢21のやらかしがちである。今日も今日とて、砂糖と塩を間違えたホットケーキの見た目をした毒物を作ってしまった後、行きつけのコンビニでコーヒーシュガーとガムシロップを買って家路についていた―――のだが。
ギュウッ!ギュイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。浅川美代の魂と、女神が対面している。
「浅川美代さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「はあ。」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
浅川美代(21)
レベル4
称号:転生者
保有スキル:ド天然フルパワー
HP:12
MP: 6
「というわけで、いきなり草原にいるよ私!すごい!!ひろーい!!自然のにおいがするー!」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊がやらかしがちの前に現れた!
「わあっ!スライム!すごーい、本物?」
うろたえない、やらかしがち。
「ねえねえ!この世界ってどんな世界なんですかー!教えてくださーい!」
スライムはビビッている!なんだこのフレンドリーさは!食ったら悪いよね…。
「すごいねー!魔法とか出るんじゃない?ファイヤー!!!」
ぼっ!!!なんと火が出たぞ!!疑うことを知らないド天然の強みが出たみたいだ!!
じゅうー!!!
スライムの体表がちょっと焼けた!スライムに10のダメージ!スライムは怒った!なんやこいつフレンドリーなくせしてきっちり攻撃してきた!!食ってやるー!!!スライムはやらかしがちを丸のみした。
「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」
やらかしがちは時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
やらかしがちはコンビニでコーヒーシュガーとガムシロップを買って帰路に就いた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。
「わープラモデル踏み潰したみたいになってるー!」
やらかしがちは、コーヒーに砂糖と間違えて塩を入れてしまい何も考えず飲み干した上司を危うく殺めてしまうところでしたが、それがきっかけとなってご縁があり家庭に落ち着いてからは慎重すぎる旦那のもと少しづつやらかさないようになっていき、70歳でこの世を去るときはしっかり者のおばあちゃんとみんなに呼ばれていたということです。




