ジャワジャワジャワ
クマゼミははごく普通の虫である。毎日木の汁を吸い、毎朝ジャワジャワ鳴く、齢7の虫である。今日も今日とて、夕暮れ時に、光あふれるコンビニの窓に張りついていた―――のだが。
キキキイイイ!!キキキキキキイイイイイイイイイイ!!!
ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。
真っ白な空間。クマゼミの魂と、女神が対面している。
「クマゼミさん、あなたは気の毒ですが虫生を終えてしまいました。転生してもらいます。」
「ジャワ?」
「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」
クマゼミ(7)
レベル7
称号:転生虫
保有スキル:ジャワジャワジャワ
HP:10
MP:35
「・・・。」
べよん、べよん。
水色の、ぶよぶよした丸い塊が虫の前に現れた!
「ジャッ!」
うろたえる、虫。
「ジャワジャワジャワジャワジャワジャワジャワ」
ずびしゅぐちゅぅわえおぁああ!!!
スライムは、虫が発した怪超音波の直撃を受け爆散した。
てれれてっててーーー!!!レベルが上がった!虫はレベルが20になった!
虫は、近くに木がないので、飛び立つことができない。虫は、広い草原を、ただ高い場所を目指して進んだ。進んでも一向に高い場所は見つからず、虫は5日目に動かなくなった。カラカラに乾いた亡骸は、つよい風にあおられてどこかに転がっていってしまった。
「ジャッ!!」
虫は時間を巻き戻されて、コンビニ入り口横の電信柱に張り付いていた。コンビニ入り口横の電信柱に張り付く前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。
虫は電信柱から移動して光あふれるコンビニの窓に張りついていたが、人が来たので飛び立った。コンビニで、車の暴走事故が発生していた。
「ジャワジャワジャワジャワジャワジャワジャワ」
虫は、大きなクヌギの木を見つけてそこにはり付きカブトムシたちとともに樹液を舐めていましたが、虫好きの少年に捕らえられてしまい虫かごの中に詰め込まれたあと蝉はうるさいからいらねえと言われて保釈され、勢いよく飛び立ったものの背中を下にして落下してしまい、通行中のおじさんに踏まれてその虫生を終えたという事です。




