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☆いきなり転生☆  作者: たかさば


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130/174

美空間とはこういうものである

坂倉美紀はごく普通のインテリアコーディネーターである。毎日部屋を飾り立て、毎日新作カーテンのチェックに目を光らせる、齢29のインテリアコーディネーターである。今日も今日とて、インテリア商談会フェアでチラシを配布した後、行きつけのコンビニでフローリング用クリーナーシートと玄米茶を買って家路についていた―――のだが。


ギュウギュキュギュキュ―――キキ―――ッ!ギュギュギギキギュイ!!!


ドガ――――――――――――ん!!ぐわしゃぁああ!!ぶちゅ。



真っ白な空間。坂倉美紀の魂と、女神が対面している。


「坂倉美紀さん、あなたは気の毒ですが人生を終えてしまいました。転生してもらいます。」

「はあ。」


「あなたにはチートをお一つ差し上げます。ステータスをご確認ください。」



坂倉美紀(29)


レベル11


称号:転生者


保有スキル:美空間とはこういうものである


HP:27

MP:28


「というわけで、いきなり草原に放り出されて、今から私はどうしたらよろしいのかしらね?」


べよん、べよん。

水色の、ぶよぶよした丸い塊がインテリアコーディネーターの前に現れた!


「っ!スライムが出てきてる?!いきなりの戦闘?いやでも仲間になる可能性だって…」


うろたえる、インテリアコーディネーター。


「そうだ、保有スキル試してみたらなんかわかるかも?!美空間とはこういうものである…。」


うばほん!!!


スライムの周りに、アクリルで仕切られた空間が現れた!スライムは空間の真ん中でぶよぶよしているが…。


「この恐ろしいまでに透き通る水色を生かすには、深すぎるウルトラマリンの床に白いカーテン!ライトはスタンドタイプのスリムなものを!ゴールドがいいね!」


うばほん!!!


スライムの下に濃い青色の絨毯が敷かれ、壁には白いカーテンがかかった!大き目のスタンドライトはスライムをあたたかい光で照らす!


「うーん、どうしてもスライムが大きすぎて美空間を締まらなくするなあ、もっとこう、小さくなれない?はっきり言って美空間がぼやける!ああ水槽に閉じ込めたらいいのか、水槽と、魚、アロワナがいいね!!」


うばほん!!!


スライムはでっけえ水槽に閉じ込められた!ポンプやら水草やらと一緒に厳つい魚がぶち込まれた。魚は毒で苦しみ、暴れまくったのち息絶えた。


「ええー!!魚死んじゃったじゃん!!だめだよ!!空間美壊すようなことしちゃ!!!何やってんの!!」


スライムは怒った!何言ってんだこいつ!!私を生かせるような空間づくりができなかったくせに何言ってんだ!!!スライムはインテリアコーディネーターを丸のみした。アロワナはそれなりに美味しかったらしい。



「う、うーん???なんか夢でも見ていたような??」


インテリアコーディネーターは時間を巻き戻されて、コンビニの入り口に立っていた。コンビニの入り口で立ち止まる前に、ちょっとだけ時空がゆがんだのだが、それに気づく様子はない。


インテリアコーディネーターはコンビニでフローリング用クリーナーシートと玄米茶を買って帰路に就いた。家の近くの交差点で、車の暴走事故が発生していた。


「うわぁ!!もうちょっと早く通りかかってたらひかれてペッちゃんこ、絨毯にもなれないってのにねえ…。」


インテリアコーディネーターは、たまに現れるハイセンスなお客さんの対応で疲れてしまう事もありましたが持ち前の審美眼を余すところなく発揮し続け、担当したモデルルームが高評価をもらうことも増え順調な人生を歩み続けていたにもかかわらず、自宅を掃除する暇がなくなって相当見てくれの悪い部屋で暮らす羽目になり、仕事とプライベートの格差に頭を悩ませ続けたのち70歳でこの世を去ったという事です。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 130/130 ・あららスライムを活かしきれませんでしたか。スライム像になってもらえば生存できた可能性ありそう [気になる点] 自宅との格差、なんか分かります
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