第3球:帰宅中
僕は校門という名のゴールラインを越えて、やっと速度を落として歩きだした。
さっきまで普段ではありえない程のスピードを出していた為、呼吸や足に多大な障害を及ぼしている。
息は、ゼハー、ゼハー、ゴフッ、ゼハー、と整っていないし。足はガクガクと震え、生まれたての小鹿のようです。
しかし、心には妙な達成感がある。戦場を生き残った兵士のような……いや、逃げてきたんですけどね。
そんな心境のままヨロヨロとお爺さんのように僕は歩いていた。
刹那、僕の足が前に進まなくなった。
「足でも攣ったんでしょうか?」
だが、足には痺れも違和感も無く……違和感があるのは腰でした。
詳しく腰にある違和感を説明すると、がっしりと白い腕にホールディングされていました。
「平井先輩、何しているんですか?」
冷静に話しかけてはいますが、この状態は精神衛生上あまり良くは無いっしょ。
がっしりとホールディングされているせいで、男と女の違いをじかに感じ取れてしまっています。
「フフフ、有限実行をしにきたのさ。一兎を追う者は一兎は得る!捕獲しに行くっていったの覚えてないか?」
「はぁ……で僕を連れ戻しに?」
その言葉を聞いて、ちっちっちっと指を振る平井先輩。
「アタシはあくまで【捕獲】に来ただけさ。【連行】はするとは言ってないのさ。オーケー?」
「僕が言うのもなんなんでしょうが、それでいいんですか?」
「今あんなトコに戻ったってバカな質問をされるだけじゃないか?アタシは部活には出るべきだと思うけどさ、あんなバカには無理に付き合う必要は無いさ」
呆れたように話してくる。
確かに【自己紹介】との体裁を整えただけのバカ騒ぎだったっしょ。
「バカっていうのは菊池先輩のことですか?」
「まぁね。男卓全員っちゃ全員だけど主に健ちゃんだね。主導したのはアイツでしょ?フフッ相変らずバカなんだから調教でもしてやろうか?」
「菊池部長と知り合いなんですか?」
「まぁね。腐れ縁ってやつ?。ハーヤダヤダ。高校では別になると思っていたんだけど、アイツああ見えて頭良いからもっと勉強の出来る高校行くと思ったさ」
あんなチャラそうな菊池先輩が頭良いというのは意外っしょ。
「菊池部長なんでこの高校に?」
「あー、所詮アイツはバカってことさ。家から近いからやっぱり西剛に行くとかバカだと思わないか?」
「そうですね。あっ、ところで平井先輩の家ってどっち方向ですか?」
部活途中を途中で抜けてきたとはいえ今は6時近い。
まだ冬から春に変わったばかりなので空の色は、既にやや暗めだった。
「アタシの家?上がりたいとかか?ワーオ。最近の高校生はこれだから、ギャルゲのやりすぎじゃないか?」
え?僕が言った言葉そんな風に聞こえるんですか!?
「嘘嘘。そんなムッスリとしなさるな、気使ってくれたんでしょ?でもアタシなら大丈夫だからさ」
……からかわれました。
なんだか無性に悔しいですね。それならばあえて――
「え?家に招いてくれないんですか?」
「へっ?……ユウ君マジでそういう意味で言ってたのか?へっ……えっとアタシはどうすれば――」
「――嘘です。アハハハ、これでお相子っしょ!」
「……ふ、ふんっ分かってたさ。でも招いても悪くないってちょっと思ったんだけどね。さて…最後にアタシが言った事は本当でしょうか?嘘でしょうか?フフフ、じゃ又明日!」
捲くし立てる様に言うと平井先輩は走っていってしまいました。
本当か嘘かですか……はぁ。
ま、最初の「分かってたさ」は絶対嘘だって事は分かりますけどね。
次は、もしかしたら投稿まで空くかも知れません。
……不定期なので分かりませんが(汗)




