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77 ジャッジメント

 (アクトン)


 部下を全員犠牲にして、あの場から何とか逃げ出した俺は、住みかから少し離れた岩場まで来て、一息入れた。


 何でギガト達が牢屋から、脱出したのかがわからねぇ。


「あいつら、このままでは済まさねえぞ。」


 俺はこういう時の為に、ここを爆発させる魔石を各所にセットしておいたんだ。


 そして起爆スイッチを押そうとして、異変に気がついた。


 それは目の前に、メイド服を着た陸上人が立っていたからだ。


「ちっ、おめえはさっきの奴等の仲間じゃねえか。しかし、1人とは残念だったな。今からここを爆発させるから、お前は黙ってそこで見ていろ。」


 目の前の女がニヤリと笑うと、俺は指1本動かせなってしまう。


「くそっ!どうなってやがる。お前が何かしやがったのか?」


「貴方は、これまでに多くの魚人族を殺していますね。」


「なっ、何でそんな事がお前に分かるんだ。」


 俺は、今までに味わったことのないほどの恐怖を、この女に感じた。


「お、お前は一体、何もんなんだ!」


「貴方にはこれまで犯した罪を償って貰いましょうか。それではさようなら。」


 目の前の女は、そう言ってから手を上げると、


「ジャッジメント。」


 なんだか、聞いたことのねえ魔法を唱えたみたいだ。しばらくすると、足元から沢山の黒い手が生えてきて、俺の足をつかむと、地面へと引きずり込む。


「うおー。いっ、嫌だ、た、助けてくれー。」


「後は閻魔女王様にお任せしましょう。」


 何とか女の言葉をそれだけ聞き取ると、俺は完全に地面へと吸い込まれた。





「おい、アクトンとやら、いい加減に目を覚ますのじゃ。」 


 俺は誰かに声をかけられ目を覚ます。


「どうやら起きたようじゃな。良いか、妾の話を聞け。」


 とりあえず俺は、目の前の女を観察する。そいつは、10才位の女の子で、東国の黒と赤をベースにした高そうな着物を着ている。


 そして頭にかぶっているとんがり帽子には、大きく「閻魔」と書いてやがる。


「まずは自己紹介をしよう。妾は人の罪をジャッジするのが仕事の閻魔女王様じゃ。おっほっほっほ。」


 「ジャッジ」と書いてある扇子を口に当てて、笑ってやがるぜ。段々イライラして来たぜ。


「お前なんかの事はどうでも良いんだよ。俺が知りたいのは、ここが何処なのかと言うことだ。」


「うむ、答えてやろう。ここはあの世と現世の間の世界じゃな。」


 意味が分からねえぜ。このガキ弱そうだし、片付けて逃げるか。


「全くアカリの奴は、天使のしつけがなってないのじゃ。いきなりシズクから連絡が入ったと思ったら、こいつを送るからジャッジしろとは。」


 何か、ガキがプンスカと怒り出しやがったぜ。


 そして、俺は今の内にガキを襲おうとしたら、体が動かなかった。


「止めておけ。お前ごときがこの妾に、敵うハズがなかろう。それに余計な罪を増やすだけじゃしな。」


 閻魔女王とやらが、さっきまでの雰囲気とは別に急に静かに語りだした。俺は絶対に、このガキには敵わない事が、今までの経験から分かっちまったぜ。


「わ、分かった。大人しくするから助けてくれ。」


「それは、妾に言っても意味ないのう。すでにお前はジャッジされとるしな。それでは今から、結果を言い渡すぞ。」


 これじゃまるで裁判を受けているみたいだぜ。


「お前は残念じゃが、地獄行きじゃよ。罪状は殺人に女に対しての強姦じゃな。」


「しょ、証拠はあるのか?そんなの納得いかねえぜ。」


 地獄と言われたから、俺は焦って反論をしてしまった。


「馬鹿者め。妾のジャッジが間違えるわけなかろう。強いていうなら、妾が証拠じゃ。おっほっほっほ。」


「そんな、理不尽なことが許されるわけねえ。」


「お前だって、相手を理不尽に殺しや強姦をして来たのだろう。」


「くっ………。」


 本当の事に言葉がでなかったぜ。


「アクトンよ、お主のこれからの事じゃが、お前は地獄へ行き、死ぬまで働いて罪を償うのじゃ。そして転生じゃな。」


「頼む。許してくれ。」


「ダメじゃな。これはお前がやって来た事への罪だからな、償わなければならんのじゃ。そして、その罪が重すぎて、人族へ転生も出来んのう。」


「そんな馬鹿な。おい、夢なら早く覚めてくれよ。」


 俺は顔をひっぱたいて見たが、ただ痛いだけだった。


「ちなみに、次のお前の種族はカエルじゃな。」


 何か言っているが、もう俺は聞いてなかった。


「よし、こいつを地獄へ連れていけ。」


 俺は抵抗もせずに、ただ涙を流しながら地獄へ連れていかれた。


 (閻魔女王)


「これで良かったのか。」


 妾はそこにいるであろう、シズクへ話しかける。すると、シズクが現れて、


「はい。ありがとうございます。閻魔様。」


 相変わらず、わざとらしい奴じゃな。全てを見透かすようなこやつの目が、昔から妾は苦手じゃ。


「アカリに言っておけ。お礼にオリンピアという所へ妾を招待しろとな。」


「はい、確かにお伝えします。そしてアクトンのような輩が、これからは増えると思いますので、閻魔女王様はジャッジの方よろしくお願いしますね。」


「まあ、それが妾の仕事じゃから断りはしないが。シズクよ、何か賄賂は無いのか?」 


 するとシズクは異空間から酒の入った樽を出した。


「おお、これは酒じゃな。ジャッジは妾に任せておけば良いぞ。」


「はい。閻魔女王様、よろしくお願いします。」


 そう言ってシズクは転移で帰って行った。


 妾はお酒をコップへ注いで、早速飲んでみる。


「うむ。美味しいのう。これは定期的に貰わんといけないのう。」


 そのあと、妾は仕事を終わらせてお酒を楽しんだ。

 





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