76 ギガトの逆襲
(アカリ)
シズクが目を瞑っているので、おそらくディーネと念話で話をしているんだろう。そしてしばらくすると目を開けたので、
「シズク、何か分かったの?」
アクトン達に聞こえないよう、小声で聞く。
「ディーネからの連絡で、大体の事情が分かりました。姫様は何もせずとも全て解決しますよ。」
うん。いつものごとく全て任せよう。
「アクトン、ギガトの容体はどうなんだ?」
マリンはギガトが心配なのか、アクトンに聞いている。
「原因不明の病気にかかってしまってな。奴はもう駄目かもしれんな。」
腕輪が赤に変わる。アクトンが嘘を言っているみたいだね。
「それは心配だ。彼に今すぐに会わせてくれ。」
「それは止めておいた方がいいぜ。病気がうつるかもしれないからな。」
腕輪は赤だね。何でかは知らんがマリンをギガトという人に会わせたくないみたいだね。
「なら会うのは諦めよう。」
マリンは意外と素直に引いたね。
「お前に紹介したい人がいる。ここにいるアタイ達の新しいボスのアカリだ。」
アクトンはワタシの事を見て、
「何言ってやがる、ただのガキじゃねえか。しかも陸上人だしよ。」
少しムカついたが、シズクがなにもしなくて良いと言ってたので、とりあえず無視をした。
「まあ、そんな事はどうでも良い。マリンこちらの要件を言うぞ。砂糖も塩もそれにあの船も全て俺によこせ。」
マリンは顔を真っ赤にして怒る。
「お前は何を言ってるんだ。ふざけんのもいい加減にしろ。それにだな、それらはアタイの物ではなく、全てアカリの物だぞ。」
「うるせぇ、お前は黙って、俺の言う事を聞いてれば良いんだよ。さもないと、マリーナがどうなっても知らねえぞ。」
真偽判定からはアクトンは嘘を言っていない。ワタシは、少し心配になりシズクの顔を見るけど、顔色ひとつ変えてない。
「残念でしたねアクトン。貴方の企ては失敗に終わりましたよ。」
突然ドアが勢いよく開かれ、魚人族がなだれこんで来た。
「何、どうしてお前がここにいる!」
「そんなことはどうでも良い事です。いま大事なのは、貴方が僕の部下に囲まれているという事なんですよ。」
どうやらこの魚人が、ギガトって人らしいね。
「ギガト、体は大丈夫なのか?」
「マリンさん、心配してくれてありがとうございます。僕の体はどこも悪くありませんよ。アクトンがでまかせを言って、ここを乗っ取ろうとしていたんです。」
うん。ワタシは知っていたよ。
「ところで、貴方がディーネ様をここへ連れて来てくれたんですか?」
「それはアタイじゃなくて、そこにいるアカリだな。」
ワタシ達が呑気に話をしていたからか、苛立ったアクトンが動き出した。
「仕方ねえ、お前らこいつら全員殺っちまえ。」
アクトンは扉の外へ向かって叫ぶが、誰も入ってこなかった。
「残念でしたー。外にいた奴等なら眠ってるよ。」
レフィがスリープの魔法で眠らせたみたいだね。
「畜生、何がどうなってやがるんだ。お前ら何とかしろ。」
アクトンの周りにいた連中が、襲いかかってくるが、ギガトの部下の方が人数的に勝っているので、簡単に彼らは制圧されてしまった。
しかし、アクトンの逃げる時間は稼げたらしく、いつの間にか姿をくらましていた。
「終わったのかな?」
「そのようですね。あとの事はマリンに任せましょう。」
レフィもサーシャも暴れてないのでつまらなそうな顔をしている。
「えー、もう終わりなの~。」
レフィが文句を言っているが無視する。
マリンがギガトを連れてワタシの所へ来た。
「この方がアタイ達の新しいボスのアカリだ。」
しょうがない、自己紹介するか。
「ん。ワタシがみんなの代表でアカリだよ。よろしく。」
「僕は、ここの魚人族のリーダーでギガトと言います。こちらこそよろしくお願いします。」
ギガトは、ワタシと違って凄く丁寧に挨拶をする。
「それでアカリ、アクトンというトラブルもあったが、ここの魚人族をアルゴス港に住んでもらっても良いだろうか?」
「マリンの好きなようにやって良いよ。」
「彼らは人魚族と違って武力があるから、アルゴス港の守備を担当して貰いたいんだ。」
「ん。マリン、貴方に全て任せるよ。」
ワタシの得意スキル、全て任せるが発動した。
「アカリ、ありがとう。聞いたかギガト、急いで引っ越しの準備をするんだ。」
「アカリさん。ありがとうございます。我々の魚人族はアルゴス港の繁栄の為、全力でがんばります。」
「うん。とりあえずマリン達と、うまくやってくれれば良いよ。」
何か凄く気合い入ってる気がするね。マリンが何か吹き込んだんじゃないのかな。
「それじゃ、ワタシ達は帰るとしますか。」
「すみません、姫様。私はアクトンの事を少し探して見ることにします。それとマリン、マリーナは船で眠っていますよ。」
「そっか、久しぶりにマリーナに会いたいな。よし直ぐに船へ戻ろう。それじゃアクトン、アルゴス港で待ってるぞ。」
「はい。残っているアクトンの部下達の事が片付いたら、直ぐに行きますから。」
ワタシ達はシズクと別れて、ヤマト号へ戻った。




