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67 オリンピアの夏

 レティスが来て1ヶ月が経って、オリンピアでは、夏を迎えようとしている。予想通り彼女は、ワタシの屋敷に泊まり、そのまま滞在している。


 そして今日から、アグニとの交易が始まる。レティスが何日か前に、プルナ山までどのくらい掛かるのかをテストとして飛んだ結果、1時間で着いてしまった。


「往復でも半日かからないじゃない。」


「我に全て任せておけば良いのだ。」


 レティスは空間魔法の収納を使えた。シズクの様な時空魔法との合成魔法ではないので時間停止はしないが、それでも彼女は輸送にぴったりの魔法を持っていた。


 大量のお酒を異空間にしまい、


「それでは行ってくるぞ。」


「うん。宜しく頼むよ。今回は初めての交易で、向こうにドンガがいてくれるはずだから、帰りに連れて来てくれるかな。」


 交易が始まってしまえば、ドンガがアグニに、ずっといる必要が無くなるからね。


「うむ。連れて帰ってくれば良いのだな。しかし、初回なのに随分と大量のお酒を取引するのだな。」


 その質問はベイスが答える。


「最初から出来るだけ多くの人に、ドンベイ酒を知ってもらう為じゃよ。そうすれば次回、みんな欲しがって人気が出るじゃろ。」 


 これは全部ドンガの作戦らしいけどね。


「ドンガが戻ってくれば、鉱石も手に入ったし色々な物を作ってくれるよね。」


「住民に物が増えれば活気が出てくる、そうすれば少しずつ街が発展して行くじゃろう。」


「うん、焦らなくても良いから、この街を少しずつ発展させて行こう。」 


 ワタシは結界を張っただけで、特に何もしてないけどね。


 レティスは、10メートルを越える龍の形体になり、他の者に見えないよう自分に隠蔽魔法を掛けて、プルナ山に出発した。


「もう見えなくなったよ。」


 彼女的には荷物を運ぶだけで、ドンベイ酒が飲み放題になるので張り切っている。


「彼女のスピードについていけるのは、同じ龍族しかいないでしょう。」


 そして解散した後、ワタシは昼食をとってゼロ達との午後のひとときを、まったりと過ごしていたら、レティスがドンガを背中に乗せて戻って来た。


「あれっ、もう戻って来たの。」


「ああ、向こうに長くいる理由がないからな。とっとと、終わらせて帰ってきたんだ。それで、今回の荷物はどこへ運ぶのだ?」


「ドンガ、どこに置けば良いの?」


 ドンガは龍に乗って、物凄いスピードを体感したせいで放心状態になっている。


「ドンガー。大丈夫ー?」


 彼を揺さぶってわれに戻すと、


「ん。ここはどこじゃ?おや、アカリ嬢ちゃん久しぶりじゃな。そうじゃなくて、ここはオリンピアではないか。」


「レティスの背中に乗って帰ってきたんでしょ。」


「それが背中に乗った後の記憶が無いんじゃよ。」 


 乗って直ぐに意識が飛んだんだね。風魔法で体を支えてあるから、背中から落っこちないで来たみたいだ。


「それでドンガよ。アグニの鉱石類はどこへ運べば良いのって、話になっているんだけど。」


 ドンガはモジャモジャの髭に、手を当てて少し考えてから、


「それじゃレティス殿。アグニの荷物は毎回、工業区の鍛冶工房に素材倉庫があるじゃが、そこへ運んでくれるかのう。」


「うむ、了解だ。それじゃ行くぞ。」


 レティスはそう言って、再びドンガを背中に乗せて工業区の方へ飛んでいった。


 レティスがいる間、ワタシの後ろで、しっぽを丸めてじっとしていたゼロ達は、彼女がいなくなると緊張が溶けて動き出した。


「ゼロ、彼女は失礼の無いようにすれば大丈夫だよ。」


 ―頭では分かっているのだが、絶対強者を前にすると本能で恐怖するんだ。―


 そう言うもんかねぇ。まあその内慣れるでしょう。


 その後は、中断されていたもふもふを再開して過ごした。





 そして8月に入ると、オリンピアも夏真っ盛りになり、子供達も夏休みになった。


 子供達は暑さからかほぼ毎日、ディーネの湖から流れる川を泳いで遊んでいる姿を見かける。


 セシル達年長組が、チワワ村の子供達が入って人数が増えた年少組の面倒を見てあげている。


 水着がないので、男の子はパンツ1丁、女の子パンツにTシャツみたいなものを着て泳いでいる。


「夏と言えば冷たいビール、は大人だから、子供はかき氷でも作るかな。ディーネいるー?」


 ディーネに手伝って貰おうと呼んでみると、水が盛り上がって現れる。


「アカリ様、何でしょうか?」


「子供達にかき氷を食べさせてあげたいのよ。手伝ってくれる?」


「もちろんです。どうすれば良いですか?」


「氷を作って細かく削るだけだよ。」


 ディーネは水を冷して氷にし、細かく削ってワタシの用意した器に入れていく。子供達もワタシに気がづいて、何か貰えると遊ぶのを止めて見始めた。


「後はシロップだけど、砂糖水で良いよね。」


 ワタシはポシェットから、オリンピアで生産された砂糖を取り出して砂糖水を作ると、氷にかける。


「それじゃ、みんなこっちおいで。甘くて冷たいお菓子が出来たから食べよ~。」


 ワタシが呼ぶのを待ってましたとばかりに、みんな集まってくる。


「冷たいからゆっくり食べるんだよ。」


 子供26人が一斉に食べ出す。そして、案の定、


「アカリねえ、あ、頭が痛いよ~。」


 アーシェが一気に食べて頭を抱えている。


「アーシェは期待を裏切らないねえ。冷たい物を一気に食べると頭が痛くなるんだよ。」


「そうなのか、気をつける。」


「あまいの、つめたいの。」


 カナンとティナが初めて食べる感覚に興奮している。


「ほぉぉ、あまい。」


 リアンも小さな口で食べているね。


 こんな風に子供達と過ごしていたら、あっという間に短い夏が終わって、実りの秋になった。

 




 






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