65 契約書
溶岩が冷えるのを待っている間、いつも通り、ゼロ達とのんびりと過ごす日々を過ごしていると、シズクから連絡が入った。
「ドンガから連絡が入り、アグニとの交易が始まるので、姫様がオリンピアの代表として今日、アグニへ来てください、との事です。」
量とか、種類とかはドンガに任せてあるので、ワタシは代表者として、契約書にサインをすれば良いみたいだ。
その契約書には、契約魔法のギアスが掛けられていて、契約違反をすると、あらかじめお互いに決めた罰が起こるらしい。今回の罰はお金、罰金だね。
「それじゃ、すぐ行こうか。」
特に準備する物も無いので、このままアグニのホテルクラウンまで転移した。
「このスイートルームまだ借りてたんだね。」
「はい。ここはアグニのマーキングポイントなので、宿泊の延長をしました。」
あんまり長く借りると、お金が高くなるから家を買った方が良いのかな?今度シズクに聞いてみよう。
「それでドンガはどこにいるの?」
「鍛冶組合のギムリの所ですね。」
「それじゃあ、鍛冶組合へ行く前に屋台のおじさんにチワワ村のお礼が言いたいから寄っていこうかな。」
「分かりました。それでは、行きましょう。」
ワタシとシズクはホテルを出て、おじさんがやっている屋台まで来た。
「こんにちは、おじさん炒めそば、また買いに来たよ。2つ頂戴。」
「毎度あり~。おう、嬢ちゃん、久しぶりだな。元気してたかい。」
おじさんは、炒めそばを作りながら話してくる。
「今日はお礼を言いに来たんだ。おじさんがチワワ村を教えてくれたお陰で、目的の物が手に入ったよ。」
「そうか。それは良かったな。チワワ村の連中は元気にしてたか?」
ワタシは、チワワ村であった事を簡単に説明した。
「そうか、そんなことに成っていたとはな。」
「おじさんがワタシ達に、チワワ村を紹介していなかってら、彼らの命は無かったかも知れないからね。」
「そんな事はねえだろ。それで今はあんたの所で、元気にやってんだな。」
「そうだね。みんな元気でやってるよ。」
炒めそばが出来てワタシが受け取り、シズクがお金を払う。
おじさんとは、それじゃあまた来るねと、さよならをして鍛冶屋に向かった。
鍛冶組合の建物に入ると、受付の女の子は、ワタシ達が何も言わなくても会長室まで通してくれる。
中へ入ると、ドンガとギムリ、それにミルドまでいた。
「これはアカリさん。待っていましたよ。」
「ん。それでワタシは何をすれば良いの?」
ドンガが説明をしてくれる。
「嬢ちゃんには、契約書にサインをして欲しいんじゃよ。」
「ドンガがすれば良いのに。」
「そういうわけにもイカン。オリンピアの代表者は嬢ちゃんなんじゃからな。」
そんなものかね。まあ、形式は必要かもね。
そして羊皮紙で出来た契約書を渡される。一応確認すると、細かく契約の内容が書かれているので、ワタシは途中で読むのを諦めて、ドンガに聞いた。
「まあ、要するに、違反したら罰金と言うことじゃな。」
「ん。分かった。」
ワタシは契約書にアカリ、とサインをしてから、ドンガに渡す。
「これで完了じゃ。お互いが良い取引になるとええのう。」
ドンガがギムリに控えの契約書を渡して終了した。
「そうだな。お互い良い取引が出来るといいな。」
「ギムリも色々とありがとね。」
ドンガは、鍛冶の責任者なので、そのうち交易の担当者を決めないといけないね。
「じゃあ、ドンガ、代わりの担当者が決まるまでは頼んだよ。」
「うむ。ここまで来れば後は大したことないんじゃ。むしろ、荷物を運ぶシズク嬢ちゃんの方が大変じゃろ。」
そっか、シズクしか運べないんだ。これは、何か良い方法を考えないといけないね。
「荷物を運ぶの、レティスに頼んでみようか?」
「彼女にですか?」
「うん。彼女は母さまの眷属だから、何か移動する為の能力があると思うんだけど。」
「そうですね。確認しに行きますか?」
「よし、彼女の所へ行こう。それじゃ、ワタシ達はこれで行くね。」
直ぐにレティスの所へ行きたくて、簡単にさよならを言う。
「はい。今日はありがとうございました。」
ミルドが、頭を下げてお礼を言った。鉱山組合も交易に、1枚噛んでいるみたいだ。確かに彼らが鉱石を採掘するんだからね。
ワタシとシズクは、ホテルに戻って一息ついてから、火口へテレポートした。
火口の中は溶岩が引いていて、レティスの家も無事だった。とりあえずワタシはドアをノックしてみる。
「レティスいるか~。」
読んで見ると、中から余り元気の無いレティスが出て来た。
「おおアカリ、待っておったぞ。さあ中へ入ってくれ。」
言われるまま、中へ入る。
「迎えに来るのが遅いから、酒が無くなってしまったではないか。」
それで元気が無かったのか。ここにもドンベイ酒の信者がいたよ。
「そうだ、レティス取引しない?」
「ん。なんだ?」
「プルナ山のドワーフの街と交易するんだけど、そこに定期的に荷物を運んでくれれば、ドンベイ酒を飲み放題ってのはどうかな?」
レティスはプルプルと震えている。
「勿論だ。我に任せておけ。それだけで飲み放題とは。ハッハッハァ。」
レティスのテンションがおかしいので、少し引いてしまったよ。
「レティスさえよ良ければ、これからワタシ達、オリンピアへ戻るんだけど一緒に来るかな?」
「おお、行くぞ。溶岩は、もう冷えるのを待っているだけで良いからな。今、分身を作ってくるから少し待っててくれ。」
そう言うと、レティスは隣の寝室と思われる部屋に入って行った。暫くすると、部屋から出て来て、
「さあ、準備も出来た。オリンピアが、我のことを待っておるぞ。」
テンション高い綺麗なお姉さんに、ワタシとシズクは少し引きながら、オリンピアへ転移で戻った。




