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64 報告書

 オリンピアに、チワワ村の住民が移住して来て、1週間がたった。


 ワタシ達はその間、火山の溶岩が冷えるのを待っていたんだけど、完全には冷えきらなかった。


 そして、アグニの街が無事だったのは、レティスのお陰だと知るドワーフは、ドンガだけだった。


「レティスの事を他の人達に、喋る訳にもいかないからねぇ。」


 シズクに聞いてみる。


「そうですね。話しても混乱するだけでしょう。」


 余計な事は言わない方が良い、というのがワタシの結論だ。レティスも別に、手柄が欲しいわけでも無さそうだしね。


 坑道の方は冷えたので、鉱山組合の調査隊が現状を調べる為に突入した。そして、ワタシ達の報告の裏がとれ、鉱石の採掘が再開した。


 現在、ドンガがギムリとミルドを相手に、オリンピア側がお酒でアグニ側が鉱石の交易の話し合いが行われている。


 双方が出来るだけ納得する交易にした方が、結果的に長く続けられると、取り決めは慎重に行われた為に、時間がかかっている。


 その辺の事は、ワタシへ定期的に渡される報告書を読んで知った。


「やっぱりドワーフの移住者は、時間をかけることにしたんだ。」 


「はい。犬人族が来て間もないのと、ギムリが慎重に審査して信用の出来る者を、オリンピアへ送りたいと言うのが理由ですね。」


 確かに、犬人族の生活が慣れてからの方が良い気がするね。


「ギムリも変な奴を寄越して、ワタシ達の信用を、無くすのが怖いんだろうね。」 


「それほどまでに、ドンベイ酒が欲しいんでしょう。」


 他に報告書に書いてある事は、ミルド達が世界にある主要国を教えてくれたらしい。それにより、アルゴス島の位置が大体分かった。


 まず、シズクが転移石でテレポートしたのは、ディーネ達が見た、東にある大きな大陸であることが分かった。


 その大陸の南西には、エジャの森のエルフ達を襲ったサビロニア帝国がある。北東には、シズクが転移したパルテア王国、南東が、カリスト聖王国という国があるらしい。


 この3国は人族の国で、お互いを牽制し合っている為、今は大きな戦争は起こってない。他にも商業国や軍事国が含まれる小国群もあるみたいだね。


 それと、北西に獣王が治めるブランカ獣王国がある。ドワーフの街アグニやチワワ村があった国だね。


 その4つの国の真ん中、大陸のど真ん中にシャーウッドの森がある。その中にエルフが住んでいる所、シャーウッド王国がある。


「それじゃあ、シズクが最初に転移した場所は、シャーウッドの森の北にあるプルナ山の麓で、それも獣王国側じゃなくパルテア王国側だったんだね。」


「ランダム転移した場所が、あそこで本当に幸運でした。」

 

 そして、最後に魔族という種族が住む大陸もあるらしい。機会があれば是非会ってみたいね。


 カリスト聖王国っていうのも気になるし、少しずつ調べていこうかな。ワタシがじゃないよ。勿論シズクがね。


「大陸関係の報告書はこんなものかな。」


「はい。また分かり次第、報告します。」 


「ん。お願い。」


 現在のオリンピア内の話を少しすると、新しい住民の犬人族達は、リアンも含めた子供達、全員で10名が既に学校へ通いだした。


 子供達は、孤児のカイやサラの時もそうだったが、勉強を教えて貰うのが嬉しいみたいだね。


 リアン達も全然嫌がらずに、他の子供達と直ぐに仲良くなり、共通語の読み書きの勉強をしている。年長組のセシル達も、積極的に面倒を見てくれている。


 そして、昼間子供を学校に預けた親達は、農業区にある家畜場で卵と乳製品の生産をする。


 細かいことは、任せてあるので詳しくは知らないが、卵と乳製品の生産が、もう始まったらしい。


 居住区から農業区まで少し距離があるので、風の精霊達に運んでもらっているそうだ。そのうち、オリンピア内の移動手段を考える必要があるね。


 そして少し意外だったのが、ゴルデンとポメラを含めた各家庭の老人夫婦が、将棋やチェスにはまった。


 彼らに聞いてみたら、引っ越しして少し落ち着いたので、精霊達が遊んでいた将棋を見て、やり方を教えてもらったらしい。


 そして暖かい陽気の中、外でシートを敷いて、精霊達も混ざって将棋やチェスに夢中になっている。


 獣人族は子供達もそうだったけど、精霊に対してエルフやドワーフ、人魚族みたいに余り驚かないで普通に接しているね。


 ゴルデンに聞いてみたら、


「ゴルデン、獣人族にとっての、精霊って一般的にどんな位置づけなの?」


「そもそも精霊を余り見たことがないので、我々にとって中立的な存在だと伝わってます。」


 これは獣人の子供達に、精霊の役割をしっかり教える必要があるね。今度アンズに伝えとこう。


 そんな獣人族にエジャ神父とシスターロミが、まるで宗教の勧誘のように、オリンピアで幸せな生活をおくれるのは、女神ヒカリ様のお陰だと説いていた。


 そして1週間後の今、ワタシの腕にある信者カウンターが、161/300となった。


 これでワタシの正体を知らない者が、女神ヒカリを信仰しても、カウンターが上がる事が分かった。


 なぜなら、リアンやカナンがワタシの正体を知っているわけないからだ。


 それにしてもエジャ神父とシスターロミは、幸せなのは、女神ヒカリのお陰だと説いただけで、これ程短時間に、信仰させられるものなのかなって思う。


 大人の担当が神父で、子供は勉強を教えているシスターだとは分かっているんだけどね。



 

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