62 チワワ村の子供達
最初は、サンドイッチを食べる事に夢中だった子供達は、最後の方はみんな笑顔になって、ゆっくりボアのお肉を味わいながら食べていた。
ワタシはさっきからずっと気になっていることがある。子供達は汚いのだ。いつも温泉に入っているはずなのにね。
「シズク、あの温泉に入って見たいんだけど、良いかな?」
「はい。問題ないでしょう。子供達も連れて行くのですか?」
「うん。服はしょうがないけど、体だけでも石鹸で洗ってあげようかなあと。」
「分かりました。服はクリーンの魔法で綺麗にしましょう。」
シズクと次の予定の話をしていたら、子供達は、全てのサンドイッチを食べ終わり、一緒に用意したオレンジジュースを飲んで、その甘さに驚いている。
「これからお姉ちゃんは、森の温泉に体を洗いに行くけど、みんなも行きたいかな?」
子供達を温泉に誘う。
「ほぁぁ、リアン行く。」
「はい。」
「ぼくも行く。」
みんな手を上げて、行くとアピールする。
「それじゃシズク、片付け終わったら転移で行こうか?」
「かしこまりました。」
シズクはイスとテーブルを異空間に仕舞うと、1ヶ所に集めた子供達と温泉の近くへテレポートする。
子供達は何が起こったのか分からなかったが、別に気にすることなく、目の前にいつも入っている温泉があるので、男の子も女の子一斉に服を脱ぎ出した。
いつもは石鹸で洗わずに、ただお湯洗いをしていただけなのだろう。お湯で簡単に洗って入ろうとしたので、ストップをかける。
「これからお湯に入るときは、みんなこれを使いなさい。」
ワタシが石鹸の使い方を教える。犬人族の子供達はとても素直でワタシのやることを、真似して体を洗う。
ワタシと子供達は、全身泡だらけになっているので、シズクが魔法でお湯を掛けて洗い流す。
「さあ、みんな入ろう。」
それが合図になり、みんお湯へ飛び込んだ。面倒を見てくれる大きな子がいないので、シズクが一緒に入って、子供達の面倒を見て貰った。
「この温泉が毒になるとはねぇ。元に戻って良かったよね。」
目の前でリアンと、その後ろをほかの子供が、手足をバタバタさせて泳いでいる。
「さて、のぼせる前にみんな出るよ~。」
「「「はーい。」」」
ワタシに元気な返事をして、お湯から上がる。
子供達はワタシ達に慣れて来たんだろう、大分打ち解けてきたね。
子供達がつぎはぎだらけの服を着る前に、シズクがクリーンの魔法を掛けて渡している。
それから転移で、村の外のマーキングした場所に全員で戻って来た。
村の中へ入って、先ほど絵本を読んだところまで戻りシートに座って、まったりとする。
子供達はお腹一杯で、お風呂に入ってさっぱりもしたので、シートの上でお昼寝をしだした。
「シズク、オリンピアへの受け入れは明日やってしまおうか?」
「そうですね。彼らには居住区の家に住んで貰いましょう。家畜場もベイスなら、明日には出来上がるはずです。」
「うん。それでいこう。」
暫くすると、子供達が昼寝から起き出したので、おやつに何か甘いものでもと、プリンを召喚した。シズクにイスとテーブルを用意させて、
「さあ、みんな、甘いお菓子を食べようか。」
寝起きだった子供達は、ワタシの甘いという言葉に反応して、鼻をピクピクさせながら近づいてくる。
全員イスに座ると、
「これはプリンと言う甘いお菓子だよ。これですくって食べてね。」
ワタシがスプーンで、プリンの食べ方を見せると、みんな真似をして食べ出す。
「ふぉぉ、あまい。」
「おいちい。」
「うまい。」
それぞれ子供らしい感想を言って、しっぽをブンブンさせながら、プリンを食べている。やっぱり子供達の心をつかむのは甘いものに一番だ。
もっと食べたそうな顔をしているが、オリンピアへ行けば、食べる機会も増えるので我慢させる。
「さあみんな~、今日はこれでおしまいよ。お父さんとお母さんの元へ帰りなさい。」
「はーい。お姉ちゃん、今日はありがとう。」
割りとしっかりしている子が、お礼をいって帰って行く。
「「ありがと」」
それにつられて、他の子達も帰って行った。
ワタシはゴルデンに会うため、リアンと手をつないで村長の家へ送って行く。
リアンはドアを開けると、「バイバイ」と言って、タタタタと家の中へ走っていく。入れ替わりにゴルデンが外へ出て来る。
「これはアカリさん。リアンの面倒を見てもらい、ありがとうございました。」
「ん。子供達と温泉に入って来たよ。」
「森の温泉ですか?村でも使わせてもらってたのですよ。」
確かにそうだろう。子供達が入り慣れていたからね。
「それで、移住の準備はどう?」
「はい。もともと私達は荷物が少ないので、そんなに時間はかかりません。心配なのは家畜達です。私達の唯一と言える財産ですから。」
「オリンピアに着いたら家畜場があるから、みんなそこに入れて貰うよ。」
「そうですか。それでは明日、全ての荷物を持って、村の広場に集合で良いですか?」
「うん。それで良いよ。明日迎えに来るから、今日はみんな、チワワ村での最後の夜を過ごして。」
それからワタシは村長と別れて、シズクとオリンピアへ戻った。




