6 女神周辺を巡回する2
ライ達と別れてから、ワタシの足が遅いこともあり、シズクに抱っこしてもらって移動した。
そして、南東にある農業区の見渡せる丘の上に、たどり着いた。
丘の上から農業区を見ると田んぼ、野菜畑、それに綺麗なお花畑が並んで見える。
「シズク、景色もいいし、ここでお昼にしよう。」
「かしこまりました。」
そういうと異空間から、エレナが作ったであろうサンドイッチを出す。
ワタシとシズクは芝生の上に座る。そしてシズクからサンドイッチを受け取り、
「いただきます。」
中身は豚か何かのお肉だね。
「うまい。流石はエレナだ。」
サンドイッチを食べ終わると土の中から、土の精霊のムーがあらわれた。
「アカリ、ドウシタ?」
「散歩がてら周辺の様子を見にね。」
「ココハ、カンキョウイイカラ、サクモツソダチハヤイ。」
「収穫はいつになるのかな?」
「ネンニカイダナ。」
「そっか。それじゃムーに農業のことは任せるから、何かあったらすぐに知らせてくれる。他に、用件ある?」
「モットイッパイソダテタイ。」
「ん。ちょっと待ってね。」
ワタシは目をつぶり召喚魔法を唱えると、たくさんの種が召喚される。
「はいこれ。いっぱい種を召喚したから調べてから使ってね。」
大量の種が入った袋をムーに渡す。
「アリガト、アトドウブツカイタイ、ラクノウ。」
ワタシもそれは思っていた。酪農でなくても、犬や猫とかをもふもふしたい。聖域の外に行ったときにでも探して見ようかな。生き物を召喚するのは、最終手段にしよう。
「もう少しだけ我慢してて。何か手を考えてみるから。」
「ワカッタ。」
そう言ってムーは土の中に種袋とともに消えて行った。
しばらくワタシとシズクは、育っている作物などをみたり、他の精霊たちに挨拶たりして過ごし、農業区を後にした。
次に南西の工業区に向かう。ワタシは勿論シズクに抱っこしてもらい、空を飛んで向かうと、あっという間に到着した。
工業区には、でかい建物が1軒だけ立っている。おそらく酒造蔵だろう。米や麦の収穫はまだ先なので、とりあえず設備を整えているってとこかな。
ベイスはまだ居住区から帰っていないらしい。
「ベイスもいないし、特に見るものもないし、ここでやることがないから帰ろっか。」
ワタシ1人だとやれる事が少ないね。
「姫様は、ここを聖域にしてくださいました。それだけで十分かと。」
星のエネルギーはマナである。森やきれいな水はマナで作られる。魔法を使うのにもマナが必要だ。そのマナは精霊が作っている。つまり精霊がいないと、エネルギーがたまらず星は枯れる。
「つまり、精霊の安泰は星の安泰に繋がると。」
「そのとうりです。」
アースの二の舞は避けなければね。
今度、ここ意外の精霊の様子も確認しないといけないね。
「さて現状も把握出来たし、屋敷に帰ろっか。」
「了解しました。」
そういってシズクは、転移魔法を唱えた。
一瞬で目の前の風景が変わり、屋敷の前についた。シズクの腕から降りて歩いて屋敷に入る。
扉を開けるとセバスが待っていた。
「おかえりなさいませ。お嬢様。」
「うん、ただいま。」
「食事とお風呂の用意がすんでおりますが、どうなさいますか?」
ワタシは少し考えて、
「まずは、なんと言っても食事、その後にお風呂ね。」
「では、こちらに。」
歩きだすセバスの後にトコトコついていく。キッチンに入ると、エレナとアンズが準備を終わらせ出迎えてくれる。
既にライとレフィ、ベイスまでイスに座っていた。彼らは本来、天使なので食事も睡眠もとる必要がないが、せっかく下界に来たので、人種に近い生活をしようと決めた。
食事も朝と晩は出来るだけ、みんな揃って食べる事とした。
晩御飯は、ビーフシチューのようだ。
「わー美味しそう。いただきます。」
あっという間に食べ終わる。他のみんなも食べ終わっている。ベイスだけは、シチューよりもずっとビールをガブガブ飲んでいるよ。
「ごちそう様。さてとシズクにレフィ、いっしょにお風呂に入らない?」
シズクとレフィを誘ってみる。シズクは用事があるからと言って、キッチンを出ていった。
「私は入るよ。いこう。」
ワタシとレフィで風呂に向かう。