59 毒の原因
3人でホテルに戻り、お風呂はもう遅いからと入るのを止める。その代わり、シズクがワタシ達をクリーンの魔法で綺麗にして、それからベッドを3つくっつけて、川の字になって眠った。
次の日、シズクが朝食を食べ終わった後に、
「実は、毒が発生した場所の検討は既についているんです。」
「えっ、どこなの?」
「村のそばの森の中にある温泉です。探知魔法で、妙な生命反応がありました。そこに何かある可能性が高いです。」
「それじゃ、先に森の温泉へ行ってみようか。」
「レフィ、今日もよろしく頼むね。」
「戦闘は任せなさい。」
そして、昨日マーキングした村の外へテレポートしてやって来る。
村長に会う前に全て終わらせてしまおうと、先に森の温泉へ向かう。レフィを先頭にして森へ入ると、割りと近くに件の温泉が見えて来る。
「あの屋台のおじさんが、言ってた温泉じゃない?」
温泉のあまりにも変わり果てた姿に、つい確認の為に聞いてしまったよ。その温泉は大量の紫色のスライムがお湯に浸かっていたからだ。
「一目で、危険だとわかる色をしているんだけど。」
「鑑定結果は、ポイズンスライムだそうです。」
別に鑑定しなくてもわかりそうな名前だね。
「このスライム達が、ポイズンスライムになった原因は、おそらくプルナ山の噴火でしょう。」
「シズク、それも気になるけど、この状況を先に何とかしてくれる?」
「それもそうですね。ディスペル。」
シズクが魔法を唱えると、紫色だったスライムが青に戻って、あちこち散らばっていった。温泉も綺麗な緑色のお湯になっている。
「一応、探知魔法で確認したけど、もうスライムしかいないわね。」
レフィが教えてくれる。
「もう大丈夫なのかな。」
「そうですね。しばらくは大丈夫でしょう。」
「それじゃシズク、さっきの噴火が原因て話を聞かせてくれる?」
「はい。噴火によって発生した、人体に影響のある有害な物質が、この温泉の脈に流れて、ここまで来たのでしょう。」
また魔石の時みたいに、難しい話になってきた。
「毒の入った温泉に、偶々この辺にいるスライムが落ちた結果、毒を吸ってポイズンスライムになったんですね。」
流石は名探偵シズクだ。
エルフの結界の時みたいに、ワタシ達の行動で他に影響を与えている感じだね。でも噴火はワタシ達のせいじゃないから、勘弁してほしいかな。
「このまま温泉に入りたい気分ですが、村長に報告する為にチワワ村へ行きましょう。」
シズクの転移で、再びチワワ村に戻って来た。
そのまま村に入り、村長の家へ向かう。ドアをノックすると直ぐに、タタタタタと、足音が聞こえて、中からアーシェやティナと同い年くらいの女の子が出て来た。
「おねーちゃんたち、だぁれ?」
その女の子はお尻から生やしているしっぽを、フリフリしながらワタシに聞いてくる。
「ワタシはアカリよ。貴女のお名前は何ていうの?お姉ちゃんに教えてくれるかな?」
「ほあぁ、リアンはね、リアンてゆうの。5さいだよー。」
「そっか、リアン、ところでお爺ちゃんはいるかな?」
「うん。いるよー。」
耳がピコピコしていて可愛い。
「それじゃ呼んで来てくれるかな?」
「ほあぁ、わかったぁー。」
リアンはタタタタと家の中へ走って行った。良かった、もう走れるくらい元気になったんだね。
しばらくすると、村長のゴルデンが家から出て来る。
「ゴルデン、おはよう。毒の原因がわかったから、報告に来たよ。」
「おはようございます。もうわかったのですか?とりあえず中へお入りください。」
ワタシ達は進められるまま中へ入って、大きな机のある部屋で椅子に座る。
リアンが隣の部屋からこっそり覗いていて、凄く可愛らしい。
「改めて自己紹介を、私はチワワ村の村長のゴルデンで、こちらが妻のポメラです。後は息子夫婦に、孫のリアンがいます。」
次にワタシが正式に自己紹介する。
「ワタシはオリンピアの街の代表でアカリよ。隣にいるのがワタシの護衛のレフィ。後ろがワタシの専属メイドのシズクだね。」
「オリンピアの街の代表とは何ですかな?」
「今、ワタシ達はオリンピアと言う街の開拓をしているのよ。そしてなぜここに来たのかと言うと、住民に卵や乳製品の使った料理を、日常的に食べさせる為に、手に入れようとやって来たわけよ。」
「そうだったのですか。しかし、私達は自給自足ですので、他の人に分けるほど生産していないのです。」
まあそうだよね。人に分けるくらいなら、自分達の食べる事に使うだろう。
「昨日の事で、今はそれ所ではなくなってしまったけどね。」
「それで毒の原因は何だったのですかな?」
ワタシは森の温泉であった事と、シズクの出した答えをゴルデンとポメラに伝える。
「そうですか。あの噴火が原因でしたか。それで毒はもう大丈夫なのでしょうか?」
「温泉のお湯にもう毒はありません。ポイズンスライムも、既にいないですよ。それから井戸の水も、もう飲んでも平気でしょう。」
シズクが答えてくれる。
「少し安心しました。ありがとうございます。」
「しかし、井戸の水まで毒になっていたとすると、この土地はおそらく毒に犯されているでしょう。この先体に何が起こるか分からないので、安全の為、この土地から離れる事をおすすめします。」
ゴルデンは黙ってしまった。隣のポメラも厳しい顔をしている。
「私の考えなので、全てが当たるとは限りません。もしかしたら、大丈夫かもしれませんから。」
ワタシからは選択肢を与えて見よう。
「貴方達、オリンピアの街に移住しても良いよ。その代わり強制ではないので、ちゃんと考えてから決めてね。」
ゴルデンとポメラは黙って聞いている。おそらく、話の展開が早すぎてついていけてないんだろう。
「もう少し具体的に言うと、まず移住希望者は全て受け入れます。そしてワタシからはその人達に住む場所と食べ物を提供します。」
本音を言えば、全員が移住してくれると嬉しいね。
「その代わりに、ワタシから移住希望者に要求するのは2つ、1つは大人はオリンピアの街の発展に協力してもらう事です。もう1つは、子供は必ず学校に行って勉強をして貰います。」
ワタシにしては珍しく、まじめに語ったと思うよ
「最後に、必要な物は全てオリンピアへ持って行けるし、移動手段の事は、全く心配しないで良いと、チワワの村民全員に伝えてくれる?そして希望者は明日の朝、村の広場に荷物を全て持って待っているように。」
黙って聞いていたゴルデンが、
「突然の事で何が何だか分かりません。」
「今日はこれからじっくり家族や村の人達と相談しなよ。それじゃワタシ達は帰るから、また明日来るよ。」
最後まで、こちらをこっそり覗いていたリアンにバイバイして、ゴルデンの家を出る。
「シズク、まだ何人来るかわからんけど、彼らの受け入れの準備とかあるでしょ。久しぶりにオリンピアへ戻って見ようかな。」
「かしこまりました。レフィはどうしますか?」
「私も戻るわよ。」
シズクはレフィに確認すると、転移魔法を唱える。そしてワタシ達は、オリンピアの屋敷の庭にテレポートした。




