55 フレイムゴーレム
鉱山の入り口で、ミルドから貰った許可証を見せてから中へ入る。目の前には崖があり、沢山の穴が開いているのが見える。
「地図を見てどの穴に入るのか分かる?」
「地図を見た限りでは、どの穴も中で繋がっているみたいですね。とりあえず、どれでも良いので入りましょう。」
「何でフレイムゴーレムが坑道に現れたのか分かる?」
「多分ですが、噴火が近かった為に坑道が熱くなり、ドワーフ達は冷やすために沢山の魔法を唱えたんでしょう。」
そりゃ、熱かったら冷やすわな。
「魔法により魔素が大量に発生して、魔物が生まれやすく成っている所に丁度、噴火の火の影響もありフレイムゴーレムが生まれたのだと思います。」
なるほどこの前のクイーンビーの研究で得た考察に基づいた考えだね。
「少しお待ちを、この辺に帰り用のマーキングしますので。」
シズクは入り口近くに転移の魔方陣を描いた。
「それじゃ熱対策の結界を張るよ。」
みんなに結界を張って、明らかにテンションが下がっている先頭のレフィが、適当に選んだ穴に入る。
「レフィ、テンション低いけど、どうしたの?」
「今回は食べれる魔物がいないのが分かってるから、気合いが入らないのよ。」
ブレないなレフィよ。
坑道の中は綺麗に舗装されており、明かりもあり、人が横に5人は通れる位には広かった。
「坑道って、もっと暗くて陰気くさい感じのする場所だと思っていたんだけど、違うみたいだね。」
「道が舗装されて綺麗で、しかも明るいですからね。」
ワタシは試しに結界を切ってみる。やはり気温が上がりすぎていて、何か対策をしないと入れない
環境になっていた。
「これは絶対防御がなかったら、熱すぎて耐えられないわ。」
「ドワーフ達もお手上げだったのでしょう。姫様、念のため結界を張り直してください。」
ワタシは自分にもう一度結界を張り直した。
先頭のレフィは地図を見ずに、探知魔法を唱えながらどんどん進んでいく。
「アカリ、探知に引っ掛かったわ。しかしフレイムゴーレムは1匹だけと聞いていたけど、何匹もいるみたいよ。」
「レフィ、行ける?」
「余裕だよ~。」
ワタシが確認した事が、かんに障ったのか、やる気に少し火が着いたようだ。
「それじゃあ見かけ次第、倒していくわよ。」
探知魔法にかかった場所は、割りと開けた空間になっていて、ドワーフ達の作業場なのだろう。
そしてそこには、赤いボディをしたフレイムゴーレムが、坑道の壁を狂ったみたいに激しく叩いて暴れていた。
「あれがフレイムゴーレムだね。体は石ではなくて、鉄みたいだわ。」
レフィはそう言うと戦闘体制に入り、
「ウィンドカッター。」
レフィの周りに風が起こるとフレイムゴーレムに飛んで行き、四肢を一瞬で切り取った。
四肢を切られたフレイムゴーレムは、暫く機械のように動いていたが、やがてそれも止まった。
「別に無詠唱でも良いんだけど、パーティーで動いている時は、どんな魔法を使うのか周りに分らせた方が良いからね。」
レフィは、何も考えて無いように見えるけどこういう時は、しっかりと考えていて頼りになる。
「少し意外。フレイムだから、倒すのにアイスとかブリザード系を使うのかと思ったよ。」
「それはつまり、弱点を突かなきゃ倒せないような敵では無かったと言うことだよ。」
先程から静かにしているシズクは、魔物をレフィに任せて、ワタシの護衛と周囲の索敵に徹している。だからワタシは何もしなくても良いんだよ。
「フレイムゴーレムの素材はどうする?」
「鉄はドンガに渡して、魔石はシズクが何かに使って。」
「それでは私が預からせていただきます。」
シズクが鉄の塊と魔石を異空間にしまう。
「それじゃ他の奴等も、倒しましょうか。」
それから、坑道にいたフレイムゴーレム10体を、いつの間にやる気を出したレフィが1人で全て倒した。
「よしこれで終わりだね。念のため探知魔法で確認したけど、この鉱山にはもう1匹もいないわ。こういう時は、最後にボスが出てきても良さそうなのに残念だったわ。」
ボスって言葉に心踊るよね。
「後の事はレティスに任せましょう。」
そしてワタシ達はシズクの転移で坑道の入り口に戻った。
鉱山の入り口で許可証を見せてから外に出ると、再び鉱山組合の建物までやって来る。
会長室まで案内され部屋の中へ入ると、ドンガとギムリとミルドがまだいて何やら話をしている。
「坑道にいたフレイムゴーレムは、全て倒しておいたからもう大丈夫よ。」
「もう倒して来たのか。流石はお嬢ちゃん達じゃな。」
免疫のあるドンガは驚かないが、他の2人は固まっている。
「信用してもいいのか?でも、なぜだか嘘をついてるとも思えん。」
「まあ、数日様子を見れば噴火の方もかたがつくでしょう。」
ワタシ達にもう出来ることはないね。後は、レティスがやってくれるはずだ。
後は難しくて面倒な事をドンガ達に任せて、ワタシ達3人はホテルのスイートルームまで戻ってきた。
それから今日は食事やお風呂など、部屋でまったりと過ごし、またこのホテルクラウンで3人が川の字になって眠った。
その夜遅くに、大きな地震があったらしいが、ワタシは爆睡していて気がつかず起きなかった。




