54 鉱山組合
ワタシとシズクがホテルに戻ると、すでにドンガもギムリの所から戻って来ていた。
新たにドンガの分のスイートルームを頼み、明日まで泊まることにする。ワタシ達ももう1日、川の字になってアグニで寝る事にした。
そして次の日の朝、いつもの赤ジャージを着て朝食をとった後、ドンガと合流してシズク達が昨日行った、鍛冶組合へ向かった。
ドンガが先頭で中へ入ると、受付の子供のように背の低いドワーフの女性が案内をして、すんなりと会長室と書かれた部屋へ通された。
「ドンガじいさん。今日は随分と大勢で来たな。」
「うむ。改めて紹介する。今、ワシが住んでおるオリンピアの代表のアカリお嬢ちゃんじゃ。ギムリよ、くれぐれも失礼のないようにな。」
ドンガがギムリを、少し威圧するように睨む。
「おれは鍛冶組合の会長のギムリで、ドンガじいさんの子孫だ。よろしく頼む。」
「ん。よろしく。ワタシはアカリよ、そしてとなりがレフィだね。」
「それじゃあ早速、鉱山組合に行くとするか。」
鍛冶組合の建物から出て、鉱山の方にある鉱山組合の建物に向かう。
ギムリが先頭で建物に入ると、受付の女の子のドワーフが直ぐに対応する。ギムリは顔パスなのか、すんなりと会長室と書かれたドアの前に通される。
受付の女の子がドアをノックして、
「会長、ギムリ様がお越しになりました。」
入室の許可が出ると、ギムリはさっさと中に入っていく。ワタシ達も彼の後に続いて中へ入ると、ギムリやドンガと、服だけしか違わない容姿のひげ面のドワーフが、ソファーに座っていた。
「ようこそ、ギムリさん。こんな大勢でいらして、どうかされたんですか?」
「先ずはお互いに自己紹介といこうぜ。」
「それもそうですね。これは失礼しました。私は鉱山組合の会長で、ミルドと申します。皆さんよろしくお願いしますね。」
ワタシが代表で紹介したほうが良さそうだね。
「ワタシがこの子達の代表でアカリよ。となりがレフィで、後ろにシズク、後は、ドワーフのドンガだね。こちらこそよろしく。」
「それでな、この嬢ちゃん達から、鉱山と火山の噴火について話があるらしい。」
「ワタシ達の話の前に、鉱山組合として現在の状況を、どこまで把握しているのか聞かせてくれる?」
ミルドは、ギムリの事を見た。ギムリは頷くと、話し始める。
「鉱山組合として現在、報告されているのは、プルナ山の噴火でこの街も只ではすまないという事と、噴火の影響で、鉱山の坑道が熱くなって入れずに採掘が全く出来ていない状態です。おまけになぜか、フレイムゴーレムまで坑道の奥で暴れているということぐらいですかね。」
「それでアグニの街としては、どうやって対処しようとしているの?」
「それがどう対処して良いか、未だに意見がまとまらず、という感じです。」
やっぱりね。でも住民の避難ぐらいは始めた方が良いんじゃないのかな。
「それじゃワタシ達の話をするね。先ずは火山についてなんだけど、噴火してもこの街には影響がないから安心していいよ。」
ミルドと呼ばれた会長は、突然の話についていけてないようだね。
「後、鉱山のフレイムゴーレムは、ワタシ達が始末するから任せといて。」
「申し訳ないですが、先ずは噴火の件から詳しい話を聞かせてください。」
「噴火は止められないんだけど、溶岩を全てパルテア王国側に流れるようにするから、安心して良いよ。」
「確認しますが、それをどうやってやるのです。」
何て答えるかな。レティスの事は言いたくないし、いいや適当に答えるか。
「魔法だよ、魔法。まあ、信じられないかもしれないけど、ワタシ達に全て任せなさい。」
「ギムリさん。私には信じられないのですが、どう判断すれば良いでしょうか?」
そりゃそうだ。ワタシだったら、こんな子供の言うことを信じるわけない。
「何となくだけど、おれはこの嬢ちゃん達なら、やりそうな気がするな。」
「まあ、結果はすぐ出るから少し待っていなさい。」
黙って見ていれば、レティスが上手くやってくれるに違いないからね。
「ミルドだっけか、貴方はワタシ達を坑道に入れる許可さえ出せば、全て解決するはずだよ。」
ミルドは直ぐに答えず、何やら考えている。もうひと押ししてみるか。
「別に貴方にデメリットは無いはずよ。ワタシ達が、坑道の中で何かあっても、貴方のせいにはならないから。」
ミルドはワタシの話を黙って聞いている。
「ギムリが証人になれば平気よ。そして、ワタシ達がフレイムゴーレムを倒せば、貴方の手柄になるじゃない。」
うん。ワタシにしては上手い説得じゃなかったかな。そしてギムリも後押ししてくれる。
「おれが証人になるぞ。この嬢ちゃん達が坑道で何かあってもミルドのせいではないとな。」
おや、真偽判定が赤に反応している。説得の為に嘘を言っているんだね。
「解りました。坑道に入る許可を出します。その代わり、何があっても私は責任を取りませんから。それで誰が入る為の許可がいるんですか?」
ナイスだ、ギムリよ。
「ワタシとシズクとレフィの3人だね。」
「女性と子供だけで行くのですか?」
ミルドもそりゃ驚くよね。
「大丈夫だって。あんたは大船に乗ったつもりで待ってなさい。」
「解りました。もう何も言いません。許可しましょう。」
こういうのって、本当にめんどくさいよね。
しばらく待っていると、坑道に入る許可証が出来て、ワタシ達に渡される。
「ドンガはギムリと待機していて、それじゃあ行ってくるね。」
「少しお待ちください。鉱山は、無数の穴が開いているので、この地図を持って行ってください。」
シズクやレフィがいるから、地図はいらなそうだけど、一応受け取って鉱山に出発した。




