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53 プルナ火口へ

 (アカリ)


 ワタシと護衛役のレフィは、卵と乳製品の事を調べるために、アグニの街の探索に出た。


「レフィはドワーフの食文化に興味があるんでしょう。」


「当たり前じゃない。どんなものが売られているか楽しみわ。」


 やっぱり思った通りだよ。レフィの食に対しての執着が半端ないな。


 先ほど朝食を食べたばかりなのに、ワタシ達は食べ物の屋台をまわった。


「おじさん。この串焼き2本頂戴。」


 レフィは気になった物を、じゃんじゃん買って食べている。


「毎度あり~、大銅貨2枚だよ。」


 お金を払って串焼き2本受けとり、1本はワタシが食べる。


「うん。歯ごたえもあってうまいね。」


 昨日の夕食の時も思ったのだが、この街の食べ物は歯ごたえがあって、味付けが濃いめだね。もしかしたら、ドワーフ達の酒のつまみ感覚なのかも。


 そして何軒目かで焼きそばの様なものを売っている屋台のおじさんに、本来の目的である卵と乳製品の事を聞いてみた。


「なんだい嬢ちゃん、変なこと聞くなあ。獣王国の街や村の農場で生産されているって事は誰でも知っているぞ。」


 やっと手に入りそうだよ。交渉して譲って貰おう。


「おじさん、どうもありがとう。これ、とても美味しかったよ。また買いに来るからね。」


 目的である卵と乳製品の情報も貰えたし、


「シズクと合流するか、2人で獣王国の農場に行くかだけど、どうする?」


「シズクには転移があるから、合流した方が良さそうだね。」


 うん、その方が良さそうだ。


「それじゃあホテルに戻ろう。」


「了解~。」


 ホテルに戻って、屋台で買った料理を食べでいると、シズクが1人で戻って来た。


「姫様、ただいま戻りました。」


「おかえり。鍛冶組合はどうだった?」


「少し、問題がありました。」


 そしてお互いにあったことを報告して、今後の予定を決めることにした。


「火山の噴火とは、穏やかでないね。ワタシ達の方は急いでないから、先にそっちの事を片付けよう。」


「それでは噴火の方は私にお任せください。」


「いや。ワタシも手伝いたいんだけど。」


 シズクは少し考えて、


「解りました。それでしたら明日は、レフィも連れて行きます。」


 シズクの予定では、1人でサクッと終わらせるつもりだったんだね。


「今からレティスに会って、火山の噴火の方を調べてきますね。」


「ワタシも行くよ。あそこは結界があった方がいいでしょ。」


「そうですね。お願いします。」


 ワタシには絶対防御があるので、特に必要ないが自分とシズクに結界を張る。


「それでは行きましょう。火口の近くのマーキングした所に飛びます。それとレフィ、ドンガが帰って来るかもしれないので、留守番お願いしますね。」


 シズクは転移魔法を唱え、火山へテレポートした。結界のお陰で熱くもなく、シズクに抱っこしてもらいながら、空を飛んで火口に向かう。


 火口に到着してレティスを探すと、直ぐにそれらしいものが見つかった。木で出来た家が建っていたからだよ。普通なら燃えちゃうんだろうけど、何かのコーティングがしてあるみたいで平気みたいだ。


 シズクがドアをノックすると、直ぐに深紅のドレスを着たレティスが出て来る。


「おや、アカリとシズクではないか。もう用件とやらが片付いて、我を迎えに来たのか?」


 確かに、レティスからみたらそう考えるよね。


「まあここでは何だ、中に入るがよい。」


 言われるままに中に入る。家の中は結構な広さで、一通りの家具が置いてある。


「普通に、家で生活している事に驚きなんだけど。ワタシはてっきりドラゴンの姿で、火口にどっしりと寝ているもんだと思っていたよ。」


「この家にある物は、我が人族の街に行って、自分で気に入ったのを選んで買って来た物だ。それに人の姿で生活した方が、細かい事が出来て便利だからな。」


 ドラゴンの姿でお酒を飲むと、かなり量がないといけないしね。


「そこの椅子に座ってくれ。」


 椅子に座るとシズクが、


「早速本題に入って良いですか?」


「うむ。言ってみろ。」


 そう言ってレティスは、コップに入ったビールを、グビッと飲む。昨日あげたドンベイ酒を、ずっと飲んでいたんだろう。


「単刀直入に聞きますが、レティスからみて、このプルナ山は近々噴火するのですか?」


 一口グビッと飲んで、


「噴火するな。だが、それが何だというのだ?」


「実は、プルナ山の中腹にあるドワーフの街に影響が出るんです。火龍である貴女なら、噴火をなんとか出来るのではないかと思いまして。」


 レティスは飲むのをやめて少しの間、目を閉じて考える。


「噴火は止められないぞ。無理に押さえることも出来るが、他の所に必ず影響が出るからやめたほうがいいな。」


「では、何か他の方法がないですか?」 


 今度はビールをグビッと一口飲んでから、


「要はドワーフの街に影響がなければ良いのだろう。ならば火口から出る溶岩の流れを変えれば良いのだ。最初にアカリ達が来た方面には何もないから、そちらに流せばドワーフの街は無傷で済むはずだ。」


 確かあの辺は石の魔物ばかりで、生物がいなかったね。


「よし。それでいこう。あっ、精霊の住む湖は大丈夫かな?あと、この家も大丈夫なの?」


「湖まではいくらなんでも遠すぎる。この家には、我の特別なコーティングを施してあるから大丈夫だ。」


 話は済んだみたいだね。上手く行きそうだ。


「今回とは関係ないのですが、ここに転移の魔方陣を描いても良いですか?」


「うむ。家の外になら良いぞ。」


「ありがとうございます。」


 これで直ぐにここに来れるね。


「それじゃあ火山の噴火関係は、全てレティスに任せて良い?」


「うむ。我に全て任せとけい。」


 相変わらず、見た目と言葉遣いにギャップがあって違和感が半端ない。


 シズクが追加のドンベイ酒を取り出し、レティスに渡す。


「おお、すまんな。」


 レティスがあからさまにご機嫌になった。これなら上手くやってくれるだろう。


 それからシズクと家の外に出て、転移のマーキングしてから、アグニへ戻った。









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