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51 ホテル クラウン

 案内係が出ていくと、早速シズクが部屋の隅の目立たないところに、転移のマーキングの魔方陣を描いている。


 部屋はスイートルームだけあって、ソファーとテーブルが部屋の中央にあり、全体的にゆったりとしたスペースになっている。


「なかなか快適なお部屋ね。何より広いのがいいわ、開放的になれるもの。」 


 レフィは、かなり気に入っているみたいだ。ワタシ達が少しの間まったり過ごしていると、ホテルの担当係が料理を運んで来て、テーブルに用意してくれる。


 豚っぽい肉の入ったスープに、パンとサラダのオーソドックスのメニューだね。


「いただきます。」


 スープをスプーンですくって一口、食べてみる。


「美味しい。エレナと比べちゃうとだけど、しっかりとした味付けしていて、流石高級ホテルって感じだよ。」


 ドワーフは味が濃いのが好みなんだね。エルフはドワーフと比べると薄いのが好みだと思う。

 

 夕食を食べ終わって、転移でオリンピアに帰ろうと思ったのだけれど、1度くらいはこの部屋に泊まろうと言うことになった。


 それじゃあ、次はお風呂だよね。風呂場を覗いてみると、ここも広めに作られたお風呂で、余裕で3人入れるほどだった。


「私は後で入るから2人さんお先にどうぞ。」


 レフィは後で入るらしい。


「じゃあシズク、先に入ろう。」


「かしこまりました。その前に姫様、このお部屋に防音と対人センサーの結界をお張りください。新しい所に止まったりするときは、用心の為に必ず結界を張るようお願いします。」


「確かに、用心のために張った方がいいよね。」


 そして結界魔法を唱える。この結界は隠蔽されているので、普通は張られているのも気付かない。


「素晴らしい結界です。これなら誰にも気づかれないでしょう。」 


 脱衣場で裸になり、中に入るといつの間にかお湯が張られていた。


 シズクに全身くまなく洗ってもらい、お返しにワタシは背中を洗ってあげる。シズクとは、いつもこうして入っている。


 2人で湯船に浸かって、


「明日からの予定はどうしようか?」


「ドワーフの街に来た目的は、ガラスの原料の石灰と船の造船の為ですので、最初はドンガと鍛冶組合の方を訪ねてみるつもりです。」


「それじゃそっちはシズク達に任せて、ワタシはレフィに護衛して貰って卵と乳製品の事を調べてみるわね。」


「解りました。充分に気をつけてください。」


「勿論そうだけど、レフィもいるし大丈夫でしょ。」


 2人はのぼせる前にお風呂から上がる。そして、その後に入ったレフィも風呂から出ると3つベッドがあるのに、1つのベッドに川の字になって、ワタシが真ん中で眠った。


 翌日、目が覚めると2人共起きていて、朝食も既にテーブル上に並べられていた。また昨日と同じパンとスープみたいだね。


「朝食を食べたら、レフィと観光して来るよ。」


「それではレフィにお金を渡しておきますので、買い物を楽しんでください。」


「ん。卵と乳製品のこともちゃんと調べてくるから。んで、シズクの方の予定は?」


「私はまずドンガを呼んで、先に鍛冶組合を訪ねる予定です。」


 うん。昨日の打ち合わせどうりだね。


「じゃあ、慌てることはないからのんびりと行こう。」


 朝食を食べて、ワタシとレフィは街へ出発する。


「それじゃワタシ達は行くね。」


「はい。レフィ、くれぐれも姫様を危険な目に遭わせないように。」


「大丈夫よ。私に任せときなさいって。」


 (シズク)


 実のところ、人の多い場所で姫様と別行動をとるのは、私の本意ではありません。ですが、私も自分の役目を、果たさなければなりませんからしょうがないでしょう。


「先ずはドンガを呼んできましょう。」


 そして、シズクは転移魔法でオリンピアへテレポートした。


 最近のドンガは、鍛冶よりも酒作りに熱心なので酒造蔵の方へ向かいます。


 案の定、酒造蔵にいたドンガに、


「少しよろしいですか?ドワーフの街に着いたので、ドンガに来てほしいのですよ。それとお金は凄く助かりました。」


「そうか。昨日出発したのに1日で着いたのか。」


「山頂のドラゴンと知り合いになったので、山頂ルートから空を飛んで、一気にドワーフの街まで行ったのですよ。」


 ドンガは、ワタシの話を聞いて驚いている。

 

「ドラゴンと話をしたのか。流石はお前さんらとしか言えんのう。」


「そのドラゴンは、えらくドンベイ酒の事が気に入りまして、今度オリンピアに来ますので、ドンガとベイスが対応してください。」


 ドンガはドラゴンがここへ来るという、余りの事に固まって返事が出来ないでいる。


「ま、まあとりあえず、その件は置いとこう。そんじゃあ、アグニに行こうかのう。」


「準備は特にないのですか?」


「大体、必要なものは魔法鞄に入っとるよ。じゃが、すまんがお金は借りるやもしれん。」


「いえ。元々、貴方のお金ですから、遠慮なさらずにおっしゃってください。」


 ドンガのお金なのに律儀な方ですね。


「それじゃ、たっぷりとドンベイ酒を持って行くとするかのう。」


「それでは行きましょうか。」


 シズクは転移魔法を唱え、ドンガと一緒にアグニのホテルへテレポートした。



 

 



 

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