50 ドワーフの街 アグニ
獣王国側の山道はしっかりと舗装されていて、登りやすくなっている。
近くの看板によると、もう少し登って行くとドワーフの街、名前はアグニがあり、そして街の中にはアグニ鉱山があると書いてある。
「この星の初めての街なので、注意して行きましょう。」
確かにいろんな人がいるからね。子供達を拐ったりする奴もいたしね。でもワタシには必殺スキル真偽判定があるからね。心強いぜ。
ここからはワタシもシズクから降りて歩いて登る。それからレフィを先頭にしばらく登っていると、少し先にドワーフの街の門が見えた。
中に入る為の審査の行列が出来ている。ちょっと見ただけでも色々な獣人族がいるね。
カイのような犬の耳を頭から生やした犬人族や、カナンのようなうさみみの兎人族もいる。勿論、髭の生やしたちっこいドワーフもいるよ。
ワタシ達も獣人族に混ざって列に並び順番を待つ。
「結構ならんでいるね。何を調べているのかな?」
「おそらく身分証でしょう。」
「一応、街にいるときの私達の設定を決めておこうよ。」
レフィが、最もな事を言う。
「姫様は、オリンピアと言う街の代表の娘で良いですよ。私はそのお着きのメイドで、貴女は姫様の護衛の魔法使いですね。」
「でもワタシ、赤ジャージ何だけど。」
「ちゃんとした所ではダメでしょうけど、それ以外の所ではお気になさらずに。いざとなれば、私が記憶を消しますので。」
「ん、わかった。」
「よぉ、姉ちゃんたちは何の用で、アグニに来たんだい。」
並んでいたら、ネズミの耳を生やした男が話しかけてきた。
「観光ですよ。」
少し警戒をして、シズクが代表で答える。
「観光って、ここには鉱山と、むさ苦しい髭を生やしたドワーフしかいねえぜ。」
「原料の買い付けも有るんですよ。」
「なるほどな。」
ワタシは腕輪の色を見ていたけど、今の会話に嘘はなかった。この鼠人族もただの好奇心で話しかけてきたみたいだね。
暫く並んでいるとワタシ達の番になった。
「よし、次はお前達の番だ。何か身分が解る証を見せなさい。」
ドンガにそっくりなドワーフの門番が、ちょっと偉そうに聞いてくる。
「すみません。3人とも身分証を無くしてしまって。」
シズクがさらっと嘘を着く。腕輪が反応してるぞ。
「それでは、通行税として1人銀貨5枚だ。あと、この水晶に手をのせろ。」
えっ、そう言えばワタシ達お金持ってないじゃん。どうすんの?
「ではこれで良いですか?」
シズクは、ポケットの中に異空間を作り、いかにもポケットから出しているように見せて、金色の硬貨1枚と、銀色の硬貨5枚を門番に渡している。
「それで、この水晶は何なの?」
「犯罪者として登録されているか、チェックする水晶だぞ。常識だろうが。」
偉そうに言うドワーフに少しイラっとしながら、門番は嘘をついてないので水晶に手をのせる。
水晶は特に何も起きない。シズクもレフィも水晶は何も変わらない。
「よし、犯罪者ではないな。お前ら通って良いぞ。」
何か、どこかで犯罪者登録されていると色が変わるみたいだね。ワタシの腕輪に似ているね。
「それでは、また。」
レフィを先頭に門を通って街の中に入る。
「ところでシズク、お金持ってたんだ。」
疑問に思ってたので聞いて見る。
「はい。ドンガがお金を持っていたので、何かの役に立つと貰って来たのです。」
言われるとそれしかないな。エルフが持っているわけないし、獣人の子供達も持っているわけない。残りはドンガしかないね。
「ドンガは長く生きているので、お金を溜め込んでいたみたいです。オリンピアに来た事で、もう必要ないから好きに使ってくれと、ほとんどのお金を私に預けたのです。」
ドンガよ、必要なくは無いんじゃないかな。
「それじゃ、お金の心配はいらないのかな。」
「はい、全く心配入りません。必要な時は私に言ってください。」
ドンガよ、一体いくら溜め込んでいたんだ。
「この世界のお金の単位ってどうなってんの?」
長いのでシズクの話を要約すると、鉄貨10枚で銅貨、銅貨10枚で大銅貨、大銅貨10枚で銀貨、銀貨10枚で金貨、金貨10枚で白金貨になる。
金銭と物価は買い物をしていけば解っていくから省くよ。
「まずは宿を取りましょう。転移の仮のマーキングをすれば、オリンピアに戻れますから。」
「よし、そうしよう。」
偶々こっちに歩いて来るドワーフのおばちゃんに、おすすめの宿を聞いてみる。
「すみません。この街のおすすめの宿を教えてくれませんか?」
おばちゃんはワタシ達を見て品定めをして、
「この道を真っ直ぐ行くと、右手に大きな宿があるよ。」
どうやらお金を持っていると思われたね。
「どうもありがとうございます。」
おばちゃんと別れて、少しドワーフの町並みを見てみると、結構な数のドワーフが男女共に歩いている。他にも様々な獣人がいる。
そして鉱山の街なだけあって、緑溢れるオリンピアとは正反対に少ない。たまに見る木は人工的に植えたものだね。
「何か鉱山の街って感じだね。エルフとは対称的な気がするよ。」
別に空気が汚いわけではないから、これが鉱山に住むドワーフ達の文化なんだね。
「ねえ、あそこの崖に結構な数の家が建っているけど、危なくない?プルナ山て火山だよね。地震とか大丈夫なんかな?」
「詳しくは解らないですが、魔法か、魔道具で補強しているのではないでしょうか。」
そんな感じで、ドワーフの町並みを見ながら進んで行くと、右手にそれらしい建物があった。
これは宿と言うより高そうな感じのホテルだよ。ホテルクラウンて看板もあるし…。
「よし、ここだね。」
レフィが先頭で中へ入って行くと、担当のドワーフの女の子が対応する。
「いらっしゃいませ。お泊まりですか?それともお食事ですか?」
「泊まりよ。3人で1泊食事付きでいくらなの?」
「はい。普通のお部屋なら、お1人朝と夜の食事付きで銀貨5枚です。だだしお部屋にお風呂がありません。スイートルームは、お1人朝と夜の食事付きで金貨1枚です。こちらはお部屋にお風呂があります。」
「それでは、とりあえずスイートルームの3人部屋で5泊お願いします。」
シズクが金貨15枚先払いして、2階のスイートルームに案内される。
「朝と夜の食事はお部屋でお召し上がりますか?」
「部屋で食べるわ。運んで頂戴ね。」
食事の事は、レフィが対応している。
「解りました。あと、スイートルームのお風呂は何時でも自由にお入りください。」
「うん。わかったわ。」
そう言って案内係は部屋を出ていった。




