45 魔素と魔石と魔物
朝食を食べ終わりると、全員がシズクに注目して話を聞く体制に入る。
「それでは話しますね。私の今回の研究、調査は生物が魔物になる仕組を調べる事です。それでは、今までに解った事を報告します。」
そんなことを調べていたのね。まあ単純に考えると、獣の体内には魔石がなく、魔物の体内には魔石がある事に、何か答えがあるんだろうけど。
「何でなの?」
「現段階で解っているのは、獣等の生物が魔素を体内に吸収し過ぎると、体内に魔石が形成されて魔物になるのです。魔素の体内保有量が多すぎると、なぜか凶暴性が高まり、他種族を襲うようになります。例外はあるとは思いますが、一応これが魔物と呼ばれている者達です。」
魔素の結晶が魔石って事かな?ふむ、結局ワタシには、魔物は狂暴って事しか解らんぞ。
「魔物は、体内の魔石にマナを取り入れて強くなっていきます。どの様にしてマナを取り入れているかは、まだ詳しく解りませんが、強い魔物を倒すほど大きな魔石でマナの保有量が多いのはこの為ですね。」
ワタシは既に、ついて行けず聞き流している。
「魔物の体内の魔石を鑑定すると、マナと魔素が含まれているのですが、死んで取り出した魔石にはマナしか含まれていません。これもなぜ魔素が無くなるのか解っていません。」
「魔物と魔石の関係は何となく解ったけど、それとクイーンビーとの関連性は何なの?」
黙って聞いていたレフィが質問する。
「ここからが重要なのですが、クイーンビーの体内にある魔石を鑑定した結果、魔石が消滅していました。つまり、魔物では無くなったと言うことなんです。」
1度体内に魔石が出来てしまうと、死ぬまで無くならないというのが、常識とされていたのだが、今回無くなってしまったとの事らしい。
「おそらく姫様の結界が、このクイーンビーの体内の魔石を、消滅させたのでしょう。それを参考にして、私は働き蜂を捕まえてきて、神聖魔法のリカバーを強力にして掛けた所、同じように魔石が消えました。現在もその働き蜂は生きています。」
それじゃそのやり方で、オリンピアに住まわせちゃおうよ。
「そこで丁度、花妖精もいることですし、蜂の管理をしてもらい、花の蜜から蜂蜜を作って、妖精達に採取して貰おうかと思うのですが、どうでしょうか?」
「だよね~。蜂と言えば花の蜜からの蜂蜜。よし、早速捕まえに行こうよ。」
「私が働き蜂を捕まえた所に、蜂の巣があったので、そこで捕まえに行きましょう。」
探索メンバーはレフィ、サーシャ、ワタシ、シズクに決まった。まあいつもの女子メンバーだね。
準備もそこそこに結界の所まで、シズクの転移で飛んできた。
「どの辺にいるのかな?」
「蜂の生息場所は、南東の方角にお花畑があり、そこに沢山の巣がありました。」
「よし、そのお花畑に出発しよう。それじゃあシズク、抱っこお願い。」
「はい。」
シズクが手を広げたので、腕に捕まると抱きあげられて、いつもの定位置の大きな胸に収まる。
それからお花畑までは、原型の解らないゾンビ型のアンデットしか出ず、お肉じゃないと、ぶぅぶぅ言っているレフィが、怒りの炎で燃やしながら向かった。
お花畑に着くと沢山の働き蜂が、花の密を集めて、巣に持ち帰っている光景が見えた。
「どうする。全部捕まえて持ち帰る?」
「どうでしょうか。全部連れて帰ると、ここの生態系が崩れるかもしれません。」
「ん。じゃあ1つの巣だけにしとこうか?最初のクイーンビーにはオスの蜂が必要なんだよね。オスだけ捕まえて帰るっていう手もあるんじゃないの。」
「では、女王蜂付きの巣を1つ持ち帰りましょう。その中に少しはオスもいるでしょう。後々2個の巣になると言う計算です。」
まあ、何かあったら、またここに来れば良いだけの事だ。
「それじゃあ、結界魔法で巣を包めば良いのかな?」
「はい。お願いします。結界に神力を込めてください。」
「解った。この巣で良いね。」
そして神力を込めた結界で、目の前の巣を包む。
「この巣は私が持って帰りますね。」
シズクが結界に包まれている巣を、少し乱暴に持ち上げ、異空間から取り出した箱に入れた。
「では帰りましょうか。」
「うん。なんか呆気なかったなぁ。」
そして、レフィとサーシャは物足りなかったのか、
「私達は少し、お肉の調達をしてから帰るよ」
そう言ってレフィとサーシャは、南の方角に走って行った。
「そんじゃ、帰ろ。」
シズクに近寄ると、転移魔法を唱えて屋敷へテレポートした。
「明日まで時間を貰えますか。蜂の巣箱をドンガに頼んで作って貰うので。」
「じゃあ今のうち、レベッカに蜂蜜の事を頼んどくよ。」
「はい。お願いします。では、私はこれで。」
そう言い、シズクはどこかに転移した。
庭へ向かうと、芝生で寝ているゼロに、
「ゼロ、農業区のお花畑まで、乗せて欲しいのよ。」
―ああ、構わんぞ。―
「んじゃ、よろしく頼むわ。」
ゼロと行こうとすると、イチとイチ子が目をうるうるさせて、寂しそうにこちらを見ていた。
「た、たまには、皆で行こうか?」
イチとイチ子のプレッシャーに負けて言っ
た。
―どちらでも構わんが、子供達が行きたそうにしているので助かるな。―
ワタシは両腕にイチとイチ子を抱っこして、ゼロに乗る。そして、ゼロ子がゼロの隣を仲良く並走して、農業区のお花畑へ向かった。




