44 春の陽気と女王蜂
収穫祭から数日経って少し落ち着いたので、ワタシはゼロに乗って農業区のお花畑へやって来た。辺り1面に色んな種類の花が咲き乱れている。
花妖精のレベッカが近寄って来て、
「あなたは、たしかあかりだったわね。どお?とてもきれいでしょう。」
レベッカは綺麗に咲いた花を自慢してくる。
「うん。とっても綺麗だよ。そして花妖精がこの前より増えている様にも見えるんだけど。」
「そうだよ。おはながふえたからね。あたらしくうまれたのよ。」
でも、折角の綺麗な花も今は観賞位にしか役立たないね。
「ねえ、あかりからもらったたねは、みたことないはなをさかせるわよね。」
「それは異世界の種だからね。似た形をした花は有るかもしれないけど、この世界にはない花なのよ。」
「そうなの~。それじゃだいじにそだてるね。」
「うん。頑張ってね。」
折角、農業区に来たので、レベッカと別れて、この前の砂糖と塩の話の経過を聞きに、ルクロイの所へ顔を出す。
ゼロに乗って移動していると直ぐにルクロイが見つかった。
「どうもアカリさん。今日は良い天気ですね。」
「こんにちは。本当に春だよね~。」
「それで散歩ですか?」
「まあそうなんだけど、偶々農業区に来たから、ルクロイにこの前の、砂糖と塩のことを聞こうと思ったのよ。」
「砂糖は工業区の工場で、既にサトウキビから砂糖の加工が始まっています。とりあえず人が増えるまでは農業区のエルフを数人、交代で生産の担当をさせています。」
砂糖が増えれば甘い物も増えるね。
「塩の方は、収穫祭が終わって直ぐにベイスさんがアルゴス港まで行き、塩工場の建物を建てました。」
相変わらずベイスが優秀すぎるね。
「既に機材も運び入れて、ベイスの指導のもと人魚達が生産を開始させています。直ぐに砂糖との交易が始まるでしょう。」
「それじゃ砂糖と塩の件は全てが順調なのね。」
「お陰さまで、今のところは問題ありません。」
「後は現在の収穫物の量は足りてるの?」
「はい。余りにも収穫量が多すぎて、100名足らずの住民では、消費しきれないのが現状です。」
それはそうだね。広大な土地に土の精霊が手伝えば、豊作間違い無いわけだからね。
「幸いにも、オリンピアにはシズクさんの魔法が掛かった倉庫があるので、腐らずにどんどん貯蓄出来る状態です。」
「まあ、腐らないのであれば、有って困る物でもないし、使い道が出来るまで、どんどん貯めましょう。」
「そうですね。他の街や国と取引しても良いですしね。」
「まあ、そう言うことだね。」
その後は少し世間話をしてルクロイと別れた。
丁度、お花畑の見える場所で、ゼロとお昼御飯にしようと、芝生にマットを敷いて座る。
魔法のポシェットから、エレナに出かける時に貰った、ゼロ用のビッグボアの生肉とワタシ用のサンドイッチを出して、それぞれ食べる。
それぞれ食べ終わり、しばらくゼロのふさふさした白毛を撫でながら、花畑を飛んでいる妖精達を見てまったりしていると、シズクとライが空を飛んでやって来て、ワタシの前に降りたった。
「どうしたの?」
「何者かが姫様の張った結界に、触れた様なのです。おそらく魔物だと思うのですが。」
「それじゃワタシも見に行こうかな。」
「では、私に着いてきてください。」
2人が空を飛んで行くのをゼロに乗って追いかけ、問題の結界の場所に着いた。
そこには、傷だらけの大きな蜂が倒れていた。
「どういう状況なの?」
状況が掴めず、シズクに尋ねる。
「どうも、鑑定によるとこの蜂の種族はクイーンビーという魔物ですね。」
「こいつは女王蜂だろ。恐らくこの季節だと、他の女王蜂に負けたんじゃねえか。」
ライが意外に詳しい事を言う。
「女王蜂同士戦うのかね?」
「自然界ではそういう事もあるんじゃないか。」
「まだ生きていますね。必死に逃げていた為、結界が張られている事に気づかずに、触れてしまったのでしょう。」
「で、どうすんのこの蜂。」
「少し調べたいことがあるので、私に預からせてすださい。」
「ん。ワタシは良いけど。殺さないで花の密とか集めさせられないの?」
「この蜂は女王蜂です。花の蜜は集めないのではないでしょうか。」
そっか、蜜は働き蜂が集めるんだね。
「ん。この蜂の事はシズクに全て任せるよ。」
ワタシの必殺スキル全て任せるが発動した。
「はい、お任せを。直ぐに調べたいので、私はこれで失礼しますね。」
そう言い、女王蜂にヒールを掛けてとりあえず傷を直すと、箱に納めて転移して行った。
「シズクに任せておけば、うまくやるでしょ。」
「そうだな。それじゃオレも行くぜ。」
ライが飛んで帰って行った。
ワタシも再びゼロに乗り、のんびりと春の陽気を楽しみながら、屋敷へ戻った。
それから数日後、いつも通りゼロ達に枕がわりにされる中、目が覚める。しばらくの間もふもふしていると、赤ジャージを持ったシズクが転移してきた。
「姫様。おはようございます。」
シズクから赤ジャージを受け取り着替える。
「ん、おはよう。」
「先日、捕獲したクイーンビーを調べて、解った事を報告します。」
「うん。実は気になっていたんだよね。」
「それでは少し長く成りますし、皆にも報告したいので朝食後にしましょう。」
「わかった。それじゃ行こう。」
キッチンに向かうシズクの後を、トコトコと歩く。
キッチンに入ると、天使達が全員揃っていた。後サーシャだね。ドンベイ清酒を飲みながらワイワイしている。
ドンベイ酒が出来てからは、彼らの飲みっぷりが半端ない様な気がするんだけど……。
「みんな、おはよう。」
「「「おはようございます。」」」
ワタシはとりあえず、挨拶をしてから朝食を食べた。




