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41 ドンベイビールと冬の備え

 (アカリ)

 

 学校で子供達が学び始めて少し落ち着いた頃、ドンガとベイスの、のじゃ、のじゃ、コンビがお酒作りに熱を入れていた。


 まずは秋の収穫で取れた、ビール用の大麦を使って、エールのビールだけでなく、ラガーのビールにも挑戦している。


 この世界は魔法や精霊の力ががあるため、発酵や成熟期間を短縮させて、毎日違う作り方のビールを完成させている。そして、味見という名の宴会が、夜な夜な酒好き達によって行われていた。


 ワタシは試作品ではなく、製品版を頂くことにしている。


 そして、秋の終わりにそのビールが完成した。ドンガとベイスの合作のビール、名付けて「ドンベイビール」どんな風に着けたかの説明はいらないよね。


 現在、屋敷のキッチンのテーブルには、ドンベイビールが並べられている。


「ドンベイビールとして、最初の制作品じゃ。最初は縁起物じゃし、アカリお嬢ちゃんに飲んで貰おうと思ってじゃな。」


「それじゃ早速頂こうか。」 


 ベイスにコップに注いで貰って飲んだ。


「ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ」


 確かにビールだね。とっても美味しいかも。


「うん。苦味もあり、本物のビールって感じで美味しいよ。」

 

 感想を述べると、みんな一斉に飲み始める。ワタシもつられてもう一口飲む。


「うん。やっぱり、アースで作られていたビールと比べても、全く遜色ないと思うよ。」


「いやぁ、自分で作っといてなんじゃが、こんなに美味しいエールは初めてじゃ。発酵の仕方を変えるだけで、エールがここまで変わるとはなぁ。」

 

 ドンガがお酒作りの奥深さを知り、感動している。


「今回のビール作りで、少し困ったことがあるんじゃ。それは出来上がったビールを入れる容器じゃな。瓶が大量に必要なんじゃよ。」


 今までは、建物のガラスとか食器はワタシが召喚していたが、いずれはオリンピアで生産しないとダメってことだね。


「ドンガに聞いたんじゃが、原料の石灰があればガラスを作ることが出来るらしいんじゃ。まだ少しはドンガが持って来た魔法袋にあるんじゃが、いずれなくなる。石灰を何とかして手に入れんといかんのう。」


「まあその件は後で考えるということで、今は素直にビール「ドンベイ」の誕生を喜びましょう。」


「ん。そうだね。」


「ビールの次は、なんと言ってもアースの日の本の酒、日の本酒を作るんじゃ。」


 次は日の本酒か。正直言うと凄く楽しみだよ。


「日の本酒の原料は米。秋に収穫した米でこの冬完成させるぞい。」


 気合いを入れて、ドンガとベイスはキッチンから出ていった。


 そのあと残ったメンバーで余りのビールを頂く。ワタシ達はちょっとした宴会を楽しんだ。


 そして、冬の足音が間近に迫った頃、冬に備えてシズクと話す。


「ここに来て初めて出しの冬だし、食糧の備蓄を確認しとこうか?」


「そうですね。農作物は消費しきれないほどの豊作だと、ルクロイが話していたので問題ないと思います。問題はお肉類と魚介類ですかね。」


 魚介類はマリン達に頑張ってもらえば良いだろう。


「お肉は冬の前に大勢で狩りをしますか。」


「今回はワタシも着いていくよ。」 


 みんなの狩りも見てみたいし、結界の外の様子も気になるしね。


「よし、場所や予定、編成とかはシズクがライたちと相談して決めてくれるかな。」


「畏まりました。準備しますね。」


 そして次の日シズクから報告が来る。


「色々決まりましたので報告します。まず日時ですが、明後日の朝食後に各自、昼食を持参して訓練所へ集合。遠征場所はオリンピアの南側です。南側は、比較的アンデットが少なく食材になる生物が豊富に生息しています。」


「ん、解った。それで行くメンバーは?」


「はい。エルフ自警団の半数15名と、監督にライとレフィとサーシャの3人、後は私と姫様ですね。」


 ワタシからは1つだけお願いをする。


「ゼロも連れていって良い?ゼロに乗って移動したいし、ワタシの護衛にもなるから。」


「それは良いですね。そうしましょう。」


 そして、2日経ち出発日になった。朝食後、ゼロに乗って集合場所の訓練所に向かう。


「ゼロ、今日はよろしくね。」


 ―まかせろ、森の南はよく狩りに行くからな―


 ゼロがなんか何時もより頼もしい。


 ワタシが訓練所に着くとライ、レフィ、サーシャに自警団の30名が全員揃って整列していた。


「みんな、おはよ。今日は頑張って行こう。」


「「「はい。」」」


 留守番組に軽く手を降って出発する。エルフ達はウィンドウォークでスピードをあげて移動する。

ワタシはその後ろをゼロに乗って着いて行った。


 すると直ぐに南側の結界の所にたどり着く。


「エルフ達はかなり訓練されているね。」


「オレ達が鍛えればこんなもんさ。こいつらも訓練を真面目についてくるしな。」


「エルフ人族は凄く真面目な種族みたいよ。」


 しかもライ達の訓練に、誰一人脱落するものがいないのが凄いよね。


「それでは行くぞ。ここからは5人1組で3班作り、必ず1人は索敵班の者を入れよ。索敵の者は何かを感知次第、直ぐに仲間に報告し、接敵後は各自の判断で対処せよ。」


「「「「了解!」」」」


 そして、3組に別れ森の中に散って行く。その後をライ、レフィ、サーシャが各班の後を着いて行った。


 ワタシは正直、彼らの出す空気についていけず、


「何あれ、凄くない。」 


「彼らがいればオリンピアに住民が増えても、街の治安は守られるでしょうね。」


 うん。そんな気がしてきたよ。ワタシは気を取り直して、


「よし、ワタシ達も行こうか。シズクは後ろで何かあったらアドバイスをしてね。」


「畏まりました。」


 ―では、行くぞ。―


 シズクが参加すると、直ぐに終わって面白くなさそうなので、後ろでアドバイスするということにした。


 ワタシはアンデット以外は戦わない。索敵もゼロの鼻に任せて、ワタシは指示するだけで全てはゼロにお任せである。


 ゼロの鼻に引っ掛かったのは、冬眠前で気の立っているダークベアーだった。


「ゼロ、単独で勝てる?」


 ―奴はすでにおれの敵ではないぞ。―


「そっか、じゃあ任せる。ワタシは降りた方がいい?」


 ―そのままで良いぞ。魔法を放つだけだしな。―


 そう言うと、風が吹きダークベアーの首が落ちた。少し遅れてからだが倒れる。あのダークベアーは、きっと何が起きたか解らずに逝ったと思う。


 死体はシズクの異空間にしまってもらった。


 今さらだけど、殺生に対する神としてのワタシの考えは、特に何とも思わないだ。それが人同士であってもだよ。ただ、そういうことを許さない神は沢山いるけどね。


 でも勘違いしないで欲しいのは、ワタシの気分を害した輩は、基本許さない。例えワタシが許しても、天使達が許さない。その輩はワタシの気分を害したという罪を犯したからね。罪は償って初めて許されるのだから。


 話がそれたけど、今までいのししと呼んでいた、ドンガに正式な名前を教えてもらったビッグボアとホーンラビットを数匹、ゼロが同じやり方で倒して、集合場所に戻った。


 まだ誰も戻って来ていなかったけど、昼御飯をたった今狩ったばかりのビッグボアの肉を焼いて、

食べながら待ったりと過ごす。


「あんまり狩りすぎると、いなくなっちゃうんじゃない。」 


 シズクに思った事を聞いてみる。


「そんなことはありません。海まで川をひいたので、これからは間引きしないといけないくらい、繁殖するはずです。」


 なるほど。ちゃんと考えてるのね。ゼロはお腹一杯になったので眠くなったのか、隣で寝始めた。


 ワタシとシズクはチェスをしながら待つことにした。結局みんなが戻って来る夕方までチェスをしたが、一度も勝てなかった。シズクが凄く強いことを知ったよ。


「みんなお疲れ~。」


 エルフ達は疲れた様子がないようだ。


「で、成果はどうだった?」


 ライに聴いてみる。


「大量だよ。この時期は野生の魔物も冬に備えて外を歩き回っていたからな。」


「それじゃ、冬の間の肉は大丈夫かね?」


「全然問題ないだろう。後は腐らない様に保管するだけだ。最悪、冬の間も食糧を探しに森に来れば良いだけだしな。」


「そう。それじゃ帰ろっか。」


 来たときと同じように、エルフ達はウィンドウォークで帰った。


 これで、オリンピアで初めての冬を、迎える備えは一応出来たね。








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