34 ドワーフ人族のドンガ
ワタシ達を担いで飛んだのに、5キロ先へ5分掛からず到着した。そこに岩の上で、髭もじゃの小人が苦しみながら倒れていた。
近くに着陸してすぐに駆け寄り、シズクが魔法を唱える。
「シズク、彼の状態はどんな?」
「はい、これはかなり危険な状態です。今、応急処置でディスペルの魔法を彼に掛けました。どうやらポイズンスパイダーの毒にヤられたようですね。」
それを聞いてサーシャは驚いて、
「ポイズンスパイダーの毒といったら、口に含んだ瞬間に即死する猛毒ですよ。まだ息があるとは、このドワーフはいったい何者なんでしょうか。」
エルフにドワーフ、いよいよアースで言うところのファンタジーだね。
「ディスペルの魔法で解毒は出来ましたが、体力的には危険です。姫様、直ぐにオリンピアに連れて帰りましょう。教会に飛びますね。」
直ぐにみんなシズクに寄る。そして転移し教会の前に飛んだ。
エジャ神父が中から直ぐに出てきて、
「どうかしましたか。この御仁はドワーフ人族ですな。これはかなり弱っている様子、直ぐに寝かせて安静にさせましょう。」
後の事はエジャ神父に任せよう。彼とシスターロミは、ワタシに対しての強い信仰心の影響で、初期の神聖魔法が使えるようになった。ヒールをかけ続ければ回復するだろう。
「ねぇシズク、こういう時の為にも、住民の為にも病院があった方が良いよね。」
「勿論です。今は学校と孤児院の建設で忙しいようなので、その件が落ち着いたら考えましょう。」
そういえば、シズクは強力な回復魔法を使えるはずだ。それなのに神父に治療を任せたのは、ワタシに病院の必要性を知らせる為だったのだろうか。
それともエルフとドワーフの仲を、図るためだったのかも知れないねぇ。
それからドワーフのおっさんが目を覚ましたのは、次の日の午後だった。ワタシが昨日釣ったフナのような魚を、ディーネの湖に投入していた時だった。
「姫様。あのドワーフ人族が目覚めたようです。」
「それじゃ、会いに行こうか?」
転移で教会に着く。中には、ベッドに半身起こしているドワーフのおっさんがいた。ワタシが近づくと涙を流しながら祈り始めた。神父やシスターもいるので防音結界を張って話しかける。
「ワタシはアカリって言うんだけど、あなたは
どこのどなたなのかな?」
自己紹介もしていないことに、気が付いたらしく泣き止んで、
「それは、失礼しましたのう。ワシはドワーフ人族のドンガと言う者ですじゃ。あなた様が神とお見受けするが間違いですかな?」
何でかは解らないが、ワタシの正体に気づいているみたいだね。悪い人じゃなさそうだしまあいいか。シズクも特に何も言わないし。
「ワタシは、この世界を作った創造神の娘で名をアカリと言う。現在、この星を母さまから任されている神だよ。」
ドンガは、土下座してしまった。
「間違いないですじゃ。この神聖な力は間違いなく
神様じゃ。」
興奮してどなってるし、じゃ、じゃ、って正直言ってうるさいな。
「1つ良いかな。ワタシが神だと、みんなに知られたくないのよ。今みたいに騒がれて面倒臭いことになるからね。だから貴方は、ワタシが神だということを、他の者に口外しないでくれるかな。」
「それが神の意思ならば、勿論従いますじゃ。」
ドンガがピカッと光る。神との契約。これでワタシが許さない限り絶対に人に喋る事が出来ない。
罰が有るとかでなくて、この場合は見えない力が働いて、他人に話す気が無くなるんだろう。そしてこの契約は、神にしか解除が出来ない。
「後、ワタシの事は様呼びは止めてくれる。堅苦しいのもダメね。今のワタシの立場はこのオリンピアの代表者ってだけだよ。」
そうは言っても、周りに群がる精霊達を見ると、説得力がないけど。
「はい。ではアカリ嬢ちゃんと呼ばせて貰いますじゃ。それとお願いが、ワシをこの神の街オリンピアに住まわせて欲しいんじゃ。何でもしますじゃ。」
「ん。良いよ。これからヨロシクね。」
ワタシは即答した。何故なら信者カウンターが、上がっているからだ。実は獣人の子供達がやって来た、次の日にいきなり60人に成った。そして今、61人に成っている。つまり住民全員ということだろう。
「ありがとうですじゃ。今後ワシは、女神アカリ様に精神誠意お仕えしますじゃ。」
「ワタシにじゃなくて、このオリンピアの発展に協力してくれるかな?」
「それは勿論ですじゃ。」
相変わらず、じゃ、じゃ、うるさいね。話も一段落したので、結界魔法を解除する。何も聴こえてなかったエジャ神父達に、
「エジャ神父にシスターロミ、このドワーフ人族の名はドンガと言って、今日からオリンピアの住民に成るので、ヨロシクしてあげてね。」
「解りました。私はエジャ族のエルフで、こちらの教会で神父をしています。名はエジャと言います。隣にいるのは妻のシスターロミです。どうぞヨロシク。もうドンガさんの体調は大丈夫でしょう。後は、栄養のあるものを食べれば明日には元気に成るはずです。」
「2人がワシの治療をしてくれたのじゃな。本当にありがとう。改めて自己紹介じゃ。ワシは、オリンピアの住民のドワーフ人族のドンガじゃ。」
どうやらファンタジーの定番、エルフとドワーフは、仲が悪い訳ではないらしいね。
特に紹介以外やることもないので、今日はゆっくり休んでもらう為、ワタシ達はここから退散した。




