32 獣人の子供達がいる日常
教会へ近づくと、丁度エルフの住む仮設住宅の方から、アンズと子供達が教会へやって来た。とりあえず住む場所を子供達に案内していたのだろう。
そして次は教会の案内をするみたいだ。
「アンズ院長。とりあえず子供達は仮設住宅に住むんだね。」
一応、皆の前ではアンズ院長と呼ぶよ。
「はい。最初は不安でしょうから、1箇所に10人全員でですね。私も孤児院が、出来るまでの間は一緒に住みます。」
なるほどね、子供達と親睦を深める為だろう。
「次は、教会の案内かな?」
「そうです。エルフの子供達の紹介に教室の案内もあります。」
新しい生活にワクワク顔の子供達は、アンズの後に着いて教会に入って行く。ワタシも子供達の後ろをトコトコ着いて行き中に入る。
中には、エジャ神父がいて子供達を出迎えた。ワタシは皆には見えてない、母さまの像の前に行き、祈る。
すると理由はわからないが、精霊達が具現化してワタシの前に集まって来る。母様の返答は相変わらず聞こえてこないが、ワタシは満足して皆のところに戻った。
エジャ神父は、ワタシの像の前で何やら子供達に話をしている。ワタシが戻ると丁度終わり、子供達はみんな目を閉じて、ワタシの像を祈り始めた。
それから、エジャ神父と別れて教室へ向かう。授業はアンズの代わりに、シスターロミがエルフの子供達に教えていた。
ワタシ達が、教室に入ると一旦授業が中断し、お互いの自己紹介が始まる。子供だからか他種族に偏見がなく、みんな無邪気な笑顔を見せていた。
一番年上の男の子のセシルとカイ、女の子のリノアとサラがヨロシクと握手をする。
ワタシは子供達が、すぐ仲良くなる効果的な技を使う。
「さあ、みんな~、勉強は一旦中断して、全員でトランプをするよ~」
「やったぁ、早くやろう。」
「ティナもやるの。」
エルフの子供達は喜び、獣人の子供達は、意味がわからず、ポカンとしている。
「セシルにリノア、獣人の子供達に、ババ抜きのやり方を教えてくれるかな?もちろん、バッツにロック、アーシェにティナもね。」
「うん。おしえるの。」
「アカリねえ、まかせて。」
みんな元気に返事をしてくれる。子供は無邪気で本当に和む。ワタシがほんわかして見ていると、精霊達が具現化してトランプを始める。
獣人の子供達は精霊を見ても、エルフの子供達みたいに驚かないね。
暫くはルールを覚えるために、アドバイスしながらやる。直ぐにババ抜きのやり方を覚えてあちこちで白熱し出す。
昼食の頃には、皆すっかり仲良しなり、笑顔で用意されたエレナ特性、いのししの肉入りサンドイッチを頬張っている。
午後からは共通語の授業で、エルフの大人達も参加するので中止には出来ない。せっかくだし、獣人の子供達も参加させることにした。
アンズの授業が始まる。子供達は戸惑うかなと思ったけれど、勉強を教えて貰うことが嬉しいみたいだ。あのままスラムにいれば、教えてもらってないはずだからね。
ワタシはよう済みなので、邪魔しないように、そっと教室から出ると、ワタシの像の前で、エジャ神父とシスターロミが祈っていた。ワタシは近寄り話しかける。
「エルフの子供は、素直でいい子達だね。獣人の子供達とすっかり仲良しだよ。」
「それは良かったです。ところで、アカリさんにお願いがあるのですが。」
「ん、何だい?」
「女神像様のお名前を教えてもらいたいのです。」
なるほど、あくまでワタシではない設定で、いってくれるんだね。それは助かるね。ワタシが女神だとばれたら、何かとやりにくいからね。
「わかった。えっと、ヒカリで。この像のモデルは女神ヒカリ様だよ。」
そう言うと2人は、また像に祈り始めた。
「確かにお聞きしました。女神ヒカリ様。我々はこれからも誠心誠意、仕えさせていただきます。」
信仰心が半端ない。(ありがとう)と心の中で言った。
「そ、それじゃワタシはもう行くね。シスターロミも子供達のことヨロシクね。」
「はい、おまかせください。アカリさん。」
ワタシの周りにいる精霊にも「じゃね」と言って、教会を後にした。
さて、特にやることもないので、ゼロ達をもふるかな。
―ゼロ、教会に迎えに来れる?―
念話してみる。
―今行くぞ。少し待っていろ―
ゼロはすぐやって来た。
「ゼロ、ありがとう。夕食まで、屋敷の庭であなた達と遊ぼう。」
ゼロに乗って屋敷に戻り、ゼロ子も混じってディスクで遊び、芝生の上で4匹に囲まれなから、もふって過ごした。
屋敷に入り、キッチンへ向かうと全員いて、すでにお酒を飲んでいる。
「いただきます。」
アンズは、今度から子供達と食べるので、ここにいない。
夕食を食べてお風呂へ向かう。一応シズクとレフィとサーシャも誘ったが、まだ飲んでいるらしい。
脱衣場で裸になり、女湯に入ると予想通りにゼロ達がお座りして待っていた。
その後はいつも通り1匹づつ丁寧に洗い、温泉を満喫して上がった。
アンズがいないのに寝間着が用意されていた。ワタシはドライヤーを召喚して、イチとイチ子を渇かした。ゼロ夫婦は自分達の魔法で渇かしていた。
そして自室に入ると、精霊達と眠くなるまでトランプをやって、ゼロ達に囲まれ眠った。




