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31 アンズ院長

 (アカリ)


 翌日、目を覚まして、ゼロ達をいつもの通り順番にもふもふしていると、シズクがやって来た。


「姫様。おはようございます。」


「おはよ~」


「さっそくですが、少し相談することがあります。孤児院と学校の件ですが、最初は居住区に建てる予定だったのですが、話し合いをした結果、教会の隣にすると決まりました。後は、姫様の許可をとるだけです。」


 なるほど。近くに神父とエルフ達がいれば、孤児の子供達も安心だね。


 エルフ達は、とりあえず仮設住宅に住んでもらっていたのに、あそこから動くつもりがないみたいなんだよね。


「うん。それでいいんじゃない。直ぐにベイスに頼むのかい?」


「はい。今、念話で伝えました。それで建物が出来る迄、子供達は教会の仮設住宅に住んでもらう予定です。」 


 仮設住宅ってことはエルフの所だね。


「それと孤児院の院長を、アンズからの希望で、彼女に任せたいと思います。勿論、教師も続けるつもりのようです。」


 彼女の子供好きなのは、周りに隠せてないくらいだからね。


「アンズが、孤児院長と学校の教師の両立すると、屋敷を完全に離れることになるのですが、姫様はよろしいでしょうか?」


 彼女の希望なら、ワタシが否定する理由はないね。


「うん。シズクとアンズの好きなように、やって良いよ。あなた達に全て任せるよ。」


 ワタシの必殺スキル、全て任せるが発動した。


「ありがとうございます。あと、転移先の安全は確認出来ましたので、何時でも姫様が出向かれてもよろしいかと。」


「子供達の件が落ち着いたら行くよ。」


 そう言いながら、赤ジャージに着替えて部屋の外に出る。いつもの場所で待ってるサーシャと合流し、キッチンに向かった。


 キッチンに着くと、子供達10人全員が着席してワタシを待っていた。


「みんな、おはよう~、昨晩は良く眠れたかな?」


「「「おはようございます。」」」


「「「おはよう。」」」


 それぞれ、慣れていない感じで挨拶する。そして子供達の顔を見るに、良く眠れたみたいだね。


「さて、とりあえずは食事だ。いただきます。」


「「いただきます。」」


 今までいただきますもしていなかったのだろう。この辺から教えないとだね。


 今日の朝食は、ワタシ達だけ和食で子供達は、お肉たっぷりシチューにパンだね。子供は、質より量だろう。


 ワタシが堅苦しいのが嫌いなのを知っているセバスが、和気あいあいの空気を子供達に作って、食事が進んだ。そしてみんなが、食べ終わったのを見計らい、


「ご馳走さま。今からあなた達の今後について、少し話しがあります。」


 子供達は真面目な話だと分かって、少し緊張し黙った。


「あなた達全員、孤児院で生活してもらいます。学校にも通ってもらいます。あなた達がこれからしなきゃいけない事は勉強に遊び、全ての事を一所懸命やって大人になることです。」


 子供は大事な人材だからね。オリンピアの為に頑張ってください。


「それから、あなた達がこれからお世話になる予定の孤児院の院長を紹介します。」


 アンズがまだメイド服の姿でみんなの前に出て来る。


「院長のアンズです。私からあなた達に1つだけ言わせてください。オリンピアの住民になったからには幸せな人生を送って下さい。」


 良いこと言うね。彼女なら、孤児院は大丈夫だろう。


「あなた達には、孤児院と学校が出来るまで、教会の仮設住宅で生活してもらいます。では、私に着いて来なさい。」


 子供達は、アンズ院長の後を着いて屋敷から出て行った。


 子供達が出て行った後、ワタシはキッチンでセバスの淹れた紅茶を飲みながら、シズク達とまったりしている。


「サーシャ、エルフ達にとって、獣人てどの位置付けなの?」


「エルフは基本的に、他の種族を見下すか無関心なんです。その代わりに仲間意識がとても強いのです。同族主義というやつです。しかし、オリンピアに来たエルフで、もうそんな小さな事を気にしてる輩はいないでしょう。子供達はすでにオリンピアの住民なのですから家族も同然。種族なんて関係ないですよ。」


「ん。良かった。もっといろんな種族がオリンピアの住民になってほしいんだよね。それこそ魔物でもいいとワタシは思っているんだからさ。」


「オリンピアはアカリさんが作った街です。アカリさんが想う、理想的な街にしていけばいいと思います。」


「うん。そうだね。そうすることにしよう。」


 それから、ワタシは教会に行くためシズク達と別れて屋敷を出た。


 サーシャは、シズクやレフィ着いて行った。ワタシにベッタリするのは、止めたみたいだね。訓練もしているみたいだし、ワタシ達と違い、彼女は生身の人だから無理出来ないからね。


 庭にでると直ぐにゼロが近寄ってくる。


 ―乗るか?―


「それじゃお願いしようかな。教会に行って。」


「ウォン。」


 ワタシはゼロにまたがり、教会へ向かった。


「ありがとう。帰る時、念話で連絡するから迎えに来てもらえるかな?」


 ―わかった、じゃあな。―


 ゼロは帰って行く。そして、あっという間に見えなくなった。


 教会のとなりの空いたスペースにベイスがいて、学校と孤児院を作る下見をしているところだった。


「ベイス、この辺に孤児院を建てる予定なのかい。」


「うむ。まだ決めかねとる。どうせなら時間を掛けて、立派な物を作りたいからのう。」


 居住区や工業区の建物の様に、とりあえず建てるって感じではないのだろう。


 集中して考え事をしているベイスと別れて、教会の方にワタシはトコトコ歩いて向かった。




 


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