28 盗賊
(シズク)
昼食も食べ終わり、午後からは少し遠くに行くということで、山とは反対方向の樹海に出発します。
湖の周りに生息している魔物は、ウィンドスネークやアースリザードでしたが、樹海を進むにつれて、魔物の種類も代わり始めましたね。
毒があるため、食べられない魔物が多くて、レフィなんかあからさまに、テンションを下げてます。鑑定でわかった魔物は、スコーピオンにポイズンスパイダー、ポイズンスネーク、ポイズンアントでした。
この毒の魔物の層が、湖まで人が来ない理由かもしれませんね。
暫くは毒のある魔物が現れて、全てレフィとサーシャが焼き尽くしました。
そして長く続いた毒の層を越えると、スライムやゴブリン、オーク、ウルフなど聞いたことのある
生物が現れ始める。しかし、私達を見ると、野生の勘なのか逃げ出しますね。
私は、何度めかの探査魔法を唱えます。おや、魔物以外の反応がありますね。このまままっすぐ進んで、1キロぐらい先に人数は15人位の、人の反応が有ります。
「少しよろしいですか。ここから少し行った所に、15人位の人の反応があります。こんな深い森の中移動もせずにいるなんて、盗賊の類いではないかと思われます。」
「それならそーと近寄ってみようか。」
「私が周囲を警戒するよ。」
静かに移動し、反応のあった場所までやってきました。草木の隙間からそっとのぞくと、崖に洞穴があり、入り口に人族の若い男が1人立っている。
恐らくあれは、見張りの者でしょう。
「やはり、盗賊のアジトみたいですね。レフィ、面倒なので、全員眠らせましょう。」
「そうだね。」
そう言うとレフィは、精神魔法のコールドスリープを唱えます。すると、入り口に立っていた男が倒れました。
「これでオーケーよ。魔法を解除しない限り、暫く眠っているわ。」
「それでは、中の様子を確認しましょうか。」
2人を促して入ると、中はそんなに広くなくて、通路も人が2人やっと通れる位でした。
奥に鉄格子の牢屋があります。近寄ると中には、身なりの汚い、頭から獣の耳、お尻からしっぽを生やした10人の子供達が、入れられていました。
「この子達は、獣人だね。私も余り詳しくないんだけど、犬人族や猫人族、兎人族の子供だよ。」
サーシャは事情が解っているのか、怒っているみたいですね。
「レフィ、とりあえず事情を聞きたいので、一番年上に見える、この子とこの子を起こしてください。」
「了解~。」
指をパチンとすると、すぐに反応があり、
「「うーん。」」
気が付いたみたいですね。
「あなた達、聞こえますか?」
「あれ、急に気が遠くなったと思ったら、眠っていたのか。サラ、大丈夫か?」
「うん。私は平気。他の子供達も、眠っているだけみたい。」
「私はシズクという者ですが、あなた方はどなたで、何で牢屋に入っているのか、教えて頂けますか?」
男の子は少し考えたあとに、
「僕は犬人族のカイで、こいつが犬人族のサラと言います。僕たちはゴドワナの樹海の入り口にある、セナという街にいました。みんな親のいない孤児です。獣人は、孤児院に入れないのでスラムで生活をしていました。そうしたら、3日前に人族の大人に、捕まってここに連れてこられました。何故だか理由は解りません。」
親のいない孤児ですか。オリンピアに連れていきましょうか。姫様に全て任されているので、私の判断で決めましょう。
「あなた方に、選択肢を与えます。私はオリンピアと言う所から来たのですが、そこの孤児院に身を寄せる気はありますか?それともそのままその牢の中にいますか?あなた達で決めなさい。」
そう質問すると、サラと言っていた女の子が答えた。
「そんなの考えるまでもありません。どうか私たちをお助けください。」
「助けてください。」
「良いでしょう。レフィ、サーシャ転移しますね。」
私は転移魔法を唱え、湖に子供達と飛んでくる。いきなり目の前が変わったので、転移が初めてのカイとサラは、何が起きたのか解らず固まっている。
「転移魔法で、ここまで移動したのですよ。」
説明されても、学がない子供ですから理解できてないですね。オリンピアに行ったら、学校にちゃんと通わせましょう。
「まあ、気にしないでください。その内解るように成るでしょう。レフィ、子供達のコールドスリープを解いて下さい。」
指をパチンと鳴らすと、残りの8人が一斉に目を覚まします。カイとサラが子供達を抱きしめて、涙ぐんでいる。2人は、この子達の親がわりだったのでしょう。
「おねえちゃんたち、だれなの?」
頭から兎の耳、お尻からしっぽを生やした、一番小さな女の子が質問する。
「このお姉さん方は、私達のことを連れ去った盗賊から、救ってくれたのよ。」
サラが、私のかわりに説明をしてくれます。
「レフィ、お願いがあるのですが、ロックリザードかウィンドスネークのお肉を、子供達に提供してくれませんか?」
「ん。また倒せばいいし、いいよ。私も頂くし。」
そう言うと、ウィンドスネークを取り出し、焼きやすい様に細かく切ってくれる。私はバーベキューセットを異空間から取り出して、
「あなた達、お腹すいたでしょう。お肉を焼くから、遠慮せずにお腹いっぱいお食べなさい。」
お肉を焼き始めると、美味しそうな匂いがたちこめ、子供達はヨダレを垂らし、しっぽをはち切れんばかりに振り、我慢している。
「はい。焼き上がった肉から遠慮せず、じゃんじゃん食べて下さい。」
サラとカイが小さな子達のために、お皿によそってあげてます。自分達も、美味しそうに食べている。みんな笑顔ですね。
「蛇のお肉は、予想通りお酒に合うね~。」
レフィが赤ワイン片手に、蛇のお肉を食べています。そして、3メートルもあったウィンドスネークの肉が、骨だけになりました。子供達も満足そうな笑顔で話している。
「少し早いですが、オリンピアに帰りますか。」
「了解~。」
「そうしましょう。」




