27 サーシャの実力
(サーシャ)
シズクさんは、私の戦闘力をテストするみたいだ。少し緊張するわね。
「わかったわ。」
腰にさしてる愛用のレイピアを抜いて、アースリザードという魔物に向かって構える。
初手合いで、相手の実力が解らない時は、先手を取るのがエルフの戦士の戦い方だ。
素早く動き、レイピアで首の辺りを突く。しかし、鱗が固くて刺さらなかった。シズクさんは、あんなに簡単に首を落としたのに、まさかこんなに固かったとはね。
攻撃されたアースリザードは、魔法で土の塊を作り、私に向けて飛ばす。素早く避けると、後ろの木に当たり、木っ端微塵に砕けた。
あんなのに当たったら、生きてはいないわね。
ちょっと前の私なら、ここで諦めて逃げていただろうが、訓練でレフィさんが教えてくれた技、レイピアに炎を纏わせ、アースリザードの眉間めがけて突いた。今度は、レイピアの先端が脳まで届き炎で焼いて、暫く苦しんだのち、アースリザードは動かなくなった。
「なかなかやるわね。魔法剣士みたいでカッコいいじゃない。」
レフィさんに誉められたわ。彼女に教えてもらった技だけどね。
「流石は、ライとレフィの訓練に耐えられるほどの実力ですね。アースリザードを倒せるならば、この辺りの魔物は大丈夫でしょう。」
なんだか、2人が私をすごく誉めてくれるわね。少し、照れながら、
「ありがとう。とても嬉しいわ。」
(シズク)
サーシャの実力は、彼女自身も知らないうちに上がっているのでしょう。天使の戦闘担当の2人の訓練に耐えられれば、実力が上がるのは当たり前ですね。
その後は、同じように獲物を求めて歩き回り、サーベルタイガーは見掛けるのだけど、食べても美味しく無さそうなのと、私達に近づいてこないので、レフィは見逃していますね。
その他は、骨の蜥蜴に骨の蛇のアンデッドしかでてこず、鑑定すると、見たままのホーンリザードにホーンスネークという名前でした。姫様がいらっしゃらないので、私の聖魔法で浄化しましょう。
「それでは一旦、湖に戻りましょう。」
湖に戻って来ると、すでに丸太小屋が完成されてます。他の2人も驚いているようですね。
「ただいま戻りました。流石はベイス、作業が速いですね。」
「どうってことないわい。それより、わしは用済みじゃろ。すまんがオリンピア迄、送ってくれんか。」
「また頼むかも知れませんが、良いでしょう。レフィとサーシャは、小屋で昼食を食べて休んでいて下さい。」
そう言い、ベイスを連れて屋敷の前に転移しました。
「それでは戻ります。ベイス、留守をお願いします。」
再び転移して、湖の小屋に戻り中に入ります。レフィとサーシャはおにぎりを食べてますね。私は紅茶を飲んでから話に参加します。
「周辺の地形や生息する魔物も解って来たので、午後は少し遠出してみますか?」
「うん。それで良いわ。」
「そうだね。」
2人も賛成みたいなので、午後は少し遠出してみましょう。
(アカリ)
シズク達と別れ、屋敷を出て庭に来ると、ゼロが近寄って来た。
「ゼロ、これからオリンピアを散歩するんだけど、あなたも来る?」
―一緒に行こう。―
ゼロ子は子供達と留守番ね。
―神様、乗りな。―
ゼロが乗せてくれるらしい。身長は高くないが、全長が2メートル近くあるから、私くらい乗せて走れるだろう。
ふせをして、乗りやすくしてくれるゼロの背中に股がる。最初は様子見で、ゆっくり走るゼロだったが、ワタシが慣れて来ているのを確認し、徐々にスピードを上げ始める。
―どこに向かんだ。―
「それじゃ農業区に行って。」
農業区は、最初に巡回して以降、行ってないからね。
重力も風の影響も受けないよう、結界魔法でワタシ達を覆う。これで、いくらゼロがスピードを上げても問題ないね。
そして農業区にはあっという間に着いてしまった。
「ゼロは速いねえ。時速50キロ位出てたんじゃない。」
―そうか、まだまだ速く走れるぞ。―
今回は、そこまで速く移動する、意味はないけどね。
この前来た時より、目の前の稲が伸びている。
丁度、通りかかったエルフが、声を掛けてくる。
「アカリさん、はじめまして。僕は、エルフの農業の責任者で、ルクロイといいます。」
「ご苦労様、ルクロイ。農作物の状況はどう?」
「土の精霊様のお陰で、ここの土地の土壌は、栄養が豊富ですから、実りは早くよく育ちます。秋の収穫が、今から楽しみですよ。」
「ワタシも収穫の時は、参加するよ。」
「ありがとうございます。エルフ達も収穫の時は、ほぼ全員参加する予定です。」
地面から土の大精霊のムーが姿を現す。ルクロイがムーをみると、膝をついて祈りだした。無理やり立たせ、ああなると、相手をするのが面倒なので、ルクロイを置いて歩きだす。
「酪農の件は、もう少し待っていてくれるかい。」
「カミサマ、アセラナクテイイヨ。」
「すぐ思い付く動物は、卵の為の鶏とか、牛乳の為に牛や山羊、毛皮の為に羊とかかなあ。肉のためにとかは、止めよう。この島は狩りで、自給自足出来るし、どこかの街と取引とかでも良いしね。」
「ウン。カミサマ、マッテルヨ」
その後、ムーと別れて、他の農業区で働くエルフ達に挨拶をしてから、ゼロに乗って工業区に向かう。




