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24 プルナ山

 (シズク)


 姫様は、私の事を信用して下さっているのでしょう。こういう時は、私のやりたいようにやらしてくれます。

 

 天界でも珍しいタイプの神様です。普通は、天使に全てを任せたりはしませんから。だからか姫様の為に、必要以上に頑張ってしまうのでしょう。


 私は調査に必要な物を異空間にしまい、準備を完了させます。


「それでは、ライにレフィ。暫くの間、姫様とオリンピアの事を頼みましたよ。」


「おう。任せておけ。」


「こっちの事は、心配しないで任せな。」


 ライとレフィに任せて置けば安心ですね。ライは真面目で責任感がありますし、レフィも普段はいい加減ですが、頼まれごとには、しっかり答えるタイプですから。


 私は、異空間から転移石を取り出します。転移石を握りしめながら呪文を唱えると、目の前の景色が変わる。


 何処かの山の中に、転移したみたいですね。


「ひとまず、幸運でした。いきなり人がいるところだと、トラブルのもとですからね。」 

 

 探知魔法を唱える。周りに危険な者は、居ないみたいですね。


 ここは山の麓で、辺り一面、見たことのない木や草が生い茂っています。島のとは種類が違ってますね。とりあえず、山とは反対に向かってみますか。

 

 まず、私は翼に隠蔽魔法をかけます。そして上空に飛んで、周りをぐるりと見渡し確認する。すぐ近くに湖が見えますが、遠くは山と樹海しか、見えませんね。


 すぐ近くに見える湖の脇に降りる。


「この湖の精霊よ。聞こえるならば、私の声に答えよ。」


 暫く待っていると、湖の水が人の形に盛り上がる。どうやら、答えてくれたみたいですね。


「これは、天使殿。こんな辺ぴな山奥に、何か用ですかな?」


 正直、これは少々驚きましたね。まさか、こんな山の中の湖に、上位精霊がいるとは。


「私は現在、この星の管理を担当している、女神アカリ様にお仕えする天使のシズクと言うものです。先ほどランダム転移をした結果、偶々ここだったという事です。ここが何処なのか教えてくれると助かるのですが。」


「そうだったのですか、天使殿。ここは人族の国で、パルテア王国の西にある、プルナ山の麓ですな。」 

 

 なるほど。パルテア王国と言う人族の国ですか。確か、エルフ達を襲った国がサビロニア帝国でしたね。少なくとも、人族の国が2ヶ国はあるってことですね。


「ここに、転移用のマーキングをしてよろしいですか?そうすれば、いずれあなたも、アカリ様に会う機会があるでしょう。」


「そうですか。もちろん、マーキングしてくださって宜しいですよ。」

 

 私は、湖の脇にマーキングをした。


「有り難うございます。これはお願いなんですが、この世界の何処かに、アルゴスと言う名の島があります。そこに、女神アカリ様が降臨されたと、世界中の精霊に伝えてください。もちろん精霊以外には、他言無用ですよ。」


「はい。もちろんおっしゃる通りにします。」


 さて、どうしましょうか。ここを拠点にして、周辺調査でもしますか。


「この近くに、人はいますか?」


「樹海の入り口付近に、人族の街があるみたいですが、樹海を通って、この辺りまで来る者好きはいません。」


「山の向こう側には、何があるのですか?」


「プルナ山の反対側は獣人が住む獣王国があります。麓から中腹まで、獣人族やドワーフ族が住んでいるみたいですね。頂上に上位のドラゴンがいるために、中腹以上は誰も登りません。」


 ドラゴンというのも気になりますが、まずはこの周辺に生息する魔物の調査をしますか。


 湖を離れて辺りをぶらつくとすぐに、牙の生えた虎が私の前に現れました。


「鑑定結果は、サーベルタイガーですか。」


 それにしても、あんまり美味しく無さそうな魔物ですね。レフィに何か土産にと思ったのですが。


 試しに風魔法のウィンドカッターで、サーベルタイガーの片方の牙を切ります。予想外だったみたいですね。敵わないと思って、一目散に逃げ出しました。基本的に野生の生物は、臆病ですからね。


「ダークベアーぐらいの強さですかね。特に危険性は無さそうですが。」


 念のために、もう少し周辺の調査を続けますが特に我々にとっての危険な生物はいませんね。これなら他の天使を呼んでも良さそうです。


「今日はこれで帰ります。明日、ここに休憩小屋を作ってもよろしいですか?もちろん、用が済めば取り壊しますので。」


「わざわざ私に断らず、天使殿の思うようになさってください。」


「そうですか。それは有り難うございます。」


 私は転移魔法を唱えて、屋敷に帰ります。


 (ドンガ)


 偶々立ち寄っていた冒険者の街で、ワシはプルナ山の方角にその気配を感じた。


「この神聖な気配は、何じゃ。」


 ワシはいても立ってもいられず、背負い袋をしょって、プルナ山に向かうため、ゴドワナ樹海に単身入って行った。

 





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