23 転移石2
「今回、転移石を作った理由ですが、私の転移魔法では、島の外に転移出来ない為です。ランダム転移で島の外に飛び、適当な場所を、マーキングするのが目的です。」
成る程。でもそれだったら、空を飛んで行けば良いはずだね。本当の理由は、やっぱり魔石の研究だったのだろう。最近のシズクは研究への入れ込み方が、半端なかったからね。
「シズク、転移先の先行調査、誰にする?」
「それなら、何があるか解らないので、俺がシズクについていこう。」
ライが手を挙げる。
「それなら、多少ですが、外の世界を知っているエルフ族の私も、お連れください。」
意外にも、サーシャがワタシから離れる選択をし、立候補する。少しでも、役に立ちたいのだろうか。
「それなら、私も行きたいかな。」
レフィも着いて行きたいらしい。彼女の場合は、新しい食材目当てだろう。
「私も最初は、誰かに着いてきて貰おうと思ったのですが、 どこに転移するか解らない以上、1人で転移して、周辺の安全を確認してから、他の皆さんをお連れする計画です。」
ワタシはシズクが、何かを計画している時は、邪魔になるから極力、口を挟まない。ワタシの仕事は、許可をすることだからね。
「ん、全て任せた。シズクのやりたいように、やって。」
ワタシの必殺スキル、すべてお任せだ。
シズクも、ワタシの言葉を待っていたのだろう。ニヤリと笑い、
「畏まりました。お任せ下さい。」
「よし、これにて今日は解散。」
天使達は全員、キッチンから出ていった。出された紅茶を一口飲んで、
「ゼロ達とまったりしようっと。」
「それでは行きましょう。」
ゼロ達と遊ぶためにサーシャと庭へ向かう。
庭に着くと、ゼロとゼロ子は、狩りに出掛けているのか姿がなかった。
ワタシの気配がしたのか、イチとイチ子が小屋から出て来て、ヨタヨタしながら走って来る。
片腕で1匹ずつ抱っこして、世界樹の様子をみようかとトコトコ歩く。
サーシャは、世界樹を守るように漂っている精霊を初めてみたとき、感動して祈っていた。
世界樹の大きさは全く変わってないが、緑の葉っぱが生い茂っている。
その後、聖火を見ていたりしていたら、ゼロ達が狩りから帰って来た。ホーンラビットの肉が、今日の成果なのだろう。さっそく子供達と一緒に食べ始める。
私達も、セバスがお弁当のサンドイッチを持ってきてくれて、サーシャと一緒に食べた。
食後は、芝生に寝そべり、ゼロ達とまったりもふもふをしてから、ディスクを投げて遊んだ。
(サーシャ)
私はエジャ族のエルフで族長の娘、名はサーシャ。父のエジャは族長に成った時に、エジャの名を受け継いだ。お母さんも、他の老エルフも、父の本当の名前を教えてくれないわ。
何でも600年前に、エジャの森をさ迷っていたのを、おじいちゃんが保護したらしいのよ。シャーウッドの王国から来たらしいんだけど、変わり者か犯罪者しかあそこから出ないので、きっと何か言えない理由があるんだわ。
父のことはこの辺にして、私は現在、少し前には考えられないほどの、とても名誉な任務に着いているわ。エジャ族代表で、女神様の巫女としてお仕えしている。女神様のお言葉を一族に伝えるのが、私の仕事ね。
何故だかは解らないんだけど、この世界の創造神の娘の女神様が、地上に降臨なされて、少女のお姿で生活なさっておいでなのよ。
私が初めて女神様を拝見したのは、沢山の精霊様が具現されていたので、お祈りしていた時だったわ。不覚にも女神様ではなく、その周りにいる、4体の大精霊様に、私は固まってしまったの。大精霊様じたい初めて拝見したのに、それが4体もいるんだもの。
4体の大精霊様が少女を守るように、周りを飛んでいたのよ。この時、エルフ達のほとんどが、彼女が女神様であることを確信したわ。
それから私は、お母さんの命を受け、女神様の巫女としてお仕えている。
そして今日、私は再び驚きの余り、固まってしまった。それはシズクさんが転移石を、独自のやり方で作った事なのよ。
最初父に、結界石と元転移石を譲ってくれと、言われたときに、何をするのかと思ったのだけれど、まさか機能を復活させることだったとはね。
それからシズクさんは、転移石の作り方を説明していたわ。そして、争いの元になるから口外するなと、口止めもした。確かに簡単には他人に教えられない情報よね。もちろんエジャ族の皆にも、報告しないことにするわ。




