19 帝国将軍ドリル
(サビロニア帝国将軍ドリル)
「ドリル将軍。先発隊が、エルフの里に到着しましたが、すでにもぬけの殻だとのことです。」
「なんだと!どういうことだ!」
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(10日前)
俺の領地の東にあるエジャの森に、エルフの里があると、部下の魔法使いによって報告された。
「エルフの里に張られている結界が、何故か効力が弱まり見つけられました。」
魔法使いが言った。
「でかしたぞ。エルフを捕まえられたら、お前には褒美を取らせる。」
「ありがとうございます。」
「コルン隊長、直ちに動かせる兵を集めよ。そしてエジャの森に進軍し、エルフ達を捕らえよ。」
コルン隊長が一歩前に出て、
「3日ください。500名集めてみせます。」
「よし。偵察隊が戻り次第、出陣する。」
これで希少なエルフを捕らえて、皇帝に献上出来れば、他のライバル達に差をつけられるぞ。
そして3日後、偵察隊が戻ると、俺の元に50人程のエルフが住んでいる里だと報告される。
「よし、コルン隊長。エルフを1人も殺さずに捕えて来い。」
「はっ、おまかせを。」
コルンはその日のうちにエジャの森へ出陣した。
それから7日後、現状報告が俺の元に届く。
「ドリル将軍。先発隊が、エルフの里に到着しましたが、すでにもぬけの殻だとのことです。」
「なんだと!どういうことだ!」
「詳しい報告をしろ。」
偵察隊員が、
「我々の隊の接近がエルフにばれ、逃げられたのでしょう。しかし、50人もの集団が移動すれば、足跡などの痕跡が残る筈ですが、何もありませんでした。おそらく何かしらの方法で、転移したのかと思います。」
くそっ、捕らえるのは、もう不可能ではないか。これでは勝手に兵を出して、何の成果もないのがライバル達にバレたら、俺の失態になる。
これは、他の奴に罪を被せるしかないな。
「兵が帰ってき次第、隊長コルンの首をはねよ。罪状は、俺の許可なく兵を動かしたことだ。」
エルフの里を発見した魔法使いを、コルンの後釜に据えよう。
こうして帝都には、コルンの罪と、俺の部下に対しての監督不行きの報告が上がった。
(アカリ)
ある日の朝、いつも通り、ゼロ達4匹に囲まれて目が覚めた。
ゼロ達は近頃、子供達のイチとイチ子を置いて、夫妻で自分たちの食料である肉を、狩っている。ゼロは、フェンリルに進化したおかげで、近場では敵無しらしい。
しばらく、もふもふを堪能してベッドから起きる。これまたいつも通り、シズクが赤ジャージを持って、転移して来た。
「おはよ。」
ワタシはジャージに着替えながら、挨拶する。
「姫様、おはようございます。」
近頃のシズクは、魔石の研究に没頭している。
シズクの報告書によると、魔物の体内には魔石がある。最初に倒した、いのししには無くて、ダークベアーには魔石があった。
解体した時に魔石が出てきたのは、ワタシの知らないところで、報告が上がっていたらしく、鑑定しても魔物の魔石としか出ないので、シズクは、気になっていたと。
転移石と結界石のおかげで、魔石に魔法を封じると、石の種類が変わることに気づき、使い道が解った。
シズクは今、魔石に魔法を封じるやり方を調べているらしい。
そして、魔石をもっと詳しく調べれば、何がどのようにして魔物に成るのか解る。当然、今までの研究家がすでに解明しているかも知れないが、シズクは自力で、解明をしたいらしい。
こんなに難しいことを調べているシズクは、今、忙しい。よって近頃は朝しかあってない。
シズクと一緒に部屋の外に出ると、シズクの代わりが待っていた。
「おはようございます。アカリさん。」
「おはよう。サーシャ。」
最初サーシャは、アカリ様と言っていたが、辞めさせた。せめてアカリさんにしてと頼んだ。
すると翌日から、エルフ達全員がアカリさんに変わっていた。どうも、彼らに筒抜けみたいだ。
サーシャは最初、妙にぎこちなかったが、今では言いたいことは言うようになった。それから、お風呂も一緒に入るし、食事も一緒にとっている。
「シズク。ここからは、サーシャが一緒にいるから、研究に戻って良いよ。」
ここでシズクから、サーシャに、ワタシのお付きが変わる。
シズクは研究の為、朝食も食べずに、転移して行く。
「サーシャ、今日も朝食の後、セシル達に会いに行こうと思うんだけど。」
「エルフの子供達にも気をかけてくれて、ありがとうございます。」
「子供達は宝だよ。ワタシは一番大事にしたいのが、子供だよ。」
「おっしゃる通りです。」
サーシャは、ワタシの言葉に感動して、震えている。
キッチンに着くと、シズク以外のメンバーがいて、お酒を飲んでいた。夜から今までずっと飲んでいたのだろう。
「おはよ~。」
「「「おはようございます。」」」
テーブルには、和食が用意されている。
「いただきます。」
ワタシとサーシャは、朝食を食べる。サーシャは最初、和食のなまものが駄目だったが、今ではすっかり慣れて、美味しそうに食べている。
「ごちそうさま。」
朝食が終わり、食器を片付けているアンズに、
「今日も子供達に、勉強を教えにいくの?」
「はい。お昼前にお弁当を持って行きます。」
「私達も一緒に行きたいの。ゼロのところにいるから、行くとき迎えに来てくれる?」
「かしこまりました。」
そして私達は、ゼロの所へ向かった。




