17 オリンピア
(アカリ)
顔を舐められて目が覚めた。ゼロ達が、ワタシを起こしてくれたらしい。
シズクが既にベッドの横に立っていた。
「おはよ。何かあったの?」
「姫様、おはようございます。先ほど島に、50名のエルフが転移してきました。現在、彼らは聖域内の居住区にいます。これからの対応について、姫様に相談をと思いまして。」
「彼らが転移して来た理由は聞いたの?」
シズクに、彼らの経緯を聞かされると、原因は、ワタシだった。
「それは、申し訳なかったね。彼らの所に行こうか?」
「現在、シルフィに監視させているので、急ぎではありません。先に朝食をお取りください。」
「ん、行こう。」
シズクの後をトコトコと、着いていく。キッチンには、皆揃っていた。
「おはよ。」
「「「おはようございます。」」」
食事をしながら、
「なんか大変みたいだけど、各自対応よろしく。」
「おまかせを。」
ライが代表で、答える。
「シズク、ワタシは彼らに、なんて言えばいい?」
「ここの代表者で、我々のご主人様と紹介しましょう。」
「ん。わかった。」
もしかすると、エルフ達がここに住むかも知れないし、ここの名を決めよう。
「みんな、ここの地名をつけようと思う。」
「確かに地名があった方が便利ですね。」
ワタシは、暫くの間考え、
「この島の名をアルゴス島。街の名をオリンピアとする。」
「かしこまりました。すべての天使と精霊に伝えます。」
食事を食べ終える。
「それじゃエルフ達に会いに行こうか?」
玄関に移動すると、シズクが転移魔法を唱え、エルフ達の所へやって来た。何故か彼らは全員ひざまつき、両手を合わせて祈っている。
「はい~こちらに注目~」
ワタシが大声を出すと、みんな我に返った。
「このお方が、私達のご主人様で、ここオリンピアの代表です。」
「ワタシがアカリだよ。」
「わしがエジャの森のエルフの族長で、エジャと言います。そして、隣にいるのが妻のロミ、こちらが、息子のランドに娘のサーシャです。」
他のエルフ達は、またの機会に、紹介してもらおう。
いつもは姿を現さないのに、ワタシの周りには4大精霊がいる。
最高位の精霊が、ワタシを守る様に具現化しているので、ワタシが少なくとも精霊より身分が高いと気づいたのだろう。急によそよそしくなった。
「あなた達を元の場所に送る為に、精霊達に調べてもらう間、遠慮なくオリンピアに滞在してくれていいよ。」
エルフ達は頷く。
「転移石と結界石を詳しく調べたいので、お貸し下さいますか?」
「構いませんが結界石は使えますが、転移石は使い捨てでしたので、効力がありませんが。」
「構いません。」
シズクは、転移石と結界石を受け取った。興味が有るのだろう。
「それではお借りします。」
「シズク、彼らの住居は何処にするの?」
「彼らは信仰深いので、教会の仮設住宅に泊まってもらおうかと。」
「それじゃ、教会へ行こうか。」
シズクの転移魔法で、ワタシとエルフ族、全員教会の前に飛んだ。
教会の隣には、100名ほどの人が住める、仮設住宅がある。
「設置されている機材は、遠慮なくお使いになってよろしいです。使い方は、精霊達に教えてもらってください。」
全部の住居に、水道、トイレ、風呂、キッチンが備わっている。
エルフ族が、それぞれの住居を確認している間、ワタシは教会の中へ入る。母さまの像に話しかけてみるが、まだ力が足りないらしい返事がない。
中央にある、本来のワタシの姿をしている像をチラ見して教会を出た。
外に出ると、族長一家がいた。
「どうしたの?」
「お祈りを捧げたいのです。」
「ん、案内してあげる。教会は、いつでも自由に使っていいよ。皆にも伝えといて。」
また中に入り、ワタシの像の前に案内する。母様の像は、シズクが隠蔽魔法を掛けているので、天使や精霊にしか見えない様になっている。
「この像のモデルは、この世界を創造した女神の娘で、現在、この世界で最高位の女神だね。」
それを聴くと、族長は何も答えず祈りを捧げている。それに続いて、族長の家族も祈りを捧げる。
族長は目を開けると、
「エジャ族がオリンピアに、住むことをお許し下さい。」
「急に、なぜかな?」
「ここは神様の住む島だと、あの像を見て確信しました。そしてオリンピアは、神様の住む地だと。エジャ族のエルフは、神様にお仕えしたいのです。」
本音を言うと、仕えなくていいから、オリンピアの発展に協力してほしいんだけど。
―シズクどう思う?―
念話でシズクに聴いてみる。
―彼らならよろしいかと。―
「オリンピアの住民になることを許可します。」
珍しく真面目にする。
「ありがとうございます。」
「それじゃ後の難しいことは、シズク達にすべて任せるから、屋敷まで送ってくれるかい。」
シズクに転移してもらい、屋敷に戻って来る。シズクは、また転移してエルフの所に戻っていった。
屋敷の中に入ると、セバスが迎えてくれる。
「ただいま。」
「おかえりなさいませ。お嬢様。」
今日は、いろいろあって疲れたので、昼食の後は、ゼロ達とまったり過ごした。




