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12 眷属

 脱衣所に着くと裸になり、皆で中に入る。


 ワタシは石鹸を泡ただせ、父オオカミから、丁寧に洗っていった。しっぽを丸めて、じっと耐えている。


 母オオカミの方は、父オオカミとは対象的に、気持ちよさそうにしている。4匹とも泡だらけになってる所、お湯をぶっかけて洗い流し、湯船に浸かった。


 親2匹はお湯を全然いやがらず、ワタシの周りをぷかぷかと、気持ちよさそうに泳いでいる。子供達はまだ泳げないので、ワタシの腕の中に抱っこされてお湯に浸かっている。


 暫くしてお風呂からあがると、アンズがワタシの下着を持って待っていた。


 アンズは温かい風魔法を唱え、ワタシ達を乾かす。下着だけ変えて、クリーンの魔法で綺麗になっている赤ジャージをまた着る。


 オオカミ達はすっかり綺麗になり、黒い毛がふさふさしている。触りたい誘惑に勝てず、アンズに止められるまで、4匹のもふもふを堪能した。


(シズク)


 姫様が、オオカミ達とお風呂に向かわれた。私はベイスに念話をします。


 ―ベイス、今すぐ庭に来てください―


 ―了解じゃ―


 ベイスは、すぐに屋敷から出てきました。


「シズクよ、何かようかの?」

 

「ここに、オオカミ家族の住処を、作っていただきたいのです。」


「お安いご用じゃ、まかせな。」


 そう言うと、ベイスは精霊たちを呼びつけ、何かを指示しました。あっという間に、木で出来た小さなオオカミ小屋の出来上がりです。


 出来上がると、ベイスは何も言わず、屋敷の中に入って行きました。


「後は、テーブルとソファーを置きましょうか。ベッドは、藁でいいですね。」


(アカリ)


 庭に戻って来ると、既に小さな木の小屋が、出来上がっていた。ベイスと精霊は仕事が早いね。


 シズクが小屋の前にたち、


「オオカミでも、出入り出来る扉です。」


「あなた達の新しい住処だよ。入って見て。」


 オオカミ達は、専用扉から中に入って行く。


 確認して出てきた。しっぽを振っている。


「気に入った?」


 ウォンと父オオカミが答えた。


「姫様。名がないのは不便なので、名を与えてはどうでしょうか?」


 シズクが提案してくる。


「確かにそうだね。君たちに名を着けていい?」


 ウォンと、1回吠えた。


「父親はゼロ、母親はゼロ子、息子はイチ、娘はイチ子とする。」


 名を授けると、4匹が一瞬光る。そして、ゼロだけ、黒毛が白毛に変わった。


「どういうこと?」


 シズクに聞く、


「神から、名を授けられたことにより、このオオカミ達は、姫様の眷属になったのでしょう。鑑定したところ、種族がフェンリルになってます。

 また、父オオカミだけ白毛に変化したのは、昨日の治療で神力を沢山浴びた影響だと、考えられます。」


 白毛のゼロは、とても綺麗に見える。


 ―神様、ゼロです。聞こえますか?―


 ―ゼロ、念話出来るようになったのね―


 ―家族はまだみたいですが、オレだけ出来るみたいです。神様、オレと家族を助けてくれて、本当にありがとうございました―


 ―気にしなくていいよ。後、ワタシに敬語はいらないからね―


 ―わかった―


 ワタシがゼロを見つめて、しばらく黙っていたので、シズクが心配顔をしている。


「ゼロと念話をしていただけだから。」


「そうですか。念話出来るということは、知能が高いのでしょう。」


「シズク、皆に今日の探索は中止にすると、連絡しといてちょうだい。」


「かしこまりました。」


 まず、ダークベアーに襲われてた理由は、最近出来た川によって、縄張り争いが起きてのことだったらしい。


 川を作ったのはワタシ達だ。正確にはディーネだけどね。人工的に自然に対して何かすると、良くも悪くも少なからず影響が出る。気を付けなくてはいけないね。


 そろそろお昼だ。ゼロ達の食事は、朝と夜の1日2食でいいらしい。


 ―オレ達は、辺りを散歩してくる―


 ―ん、聖域の中は安全だから、子供達とのんびり行くといいよ―


 ―わかった―

 

 そういうと4匹で、競争するように走っていった。姿が見えなくなるまで見届けると、ワタシとシズクは、屋敷の中に入る。


 休んでいてよい、と言ったのにセバスが、出迎える。


「お帰りなさいませ、お嬢様。」


「ただいま。案内はいらないよ。」


 ワタシとシズクは、キッチンに行く。


(ゼロ)


 物心つくころには、すでに親がいなかったオレは、狩りのやり方を習ってすぐ、群れから追い出された。


 その時の群れは食料が少なく、口減らしだったのだろう。もう1匹、オレと同じような境遇のメスのオオカミも、追い出されていた。


 まあ遠回しに言ったが、現在、オレの隣にいる嫁さんのゼロ子だ。


 最初のころは、食料が手に入らず、水だけの時もあった。木の実、キノコなど食べられる物は、何でも食べた。


 そして運良く、ホーンラビットの生息する場所を発見したんだ。食料の心配がなくなれば、ヤることは一つであり、1年も過ぎれば、オレも立派な2児のパパになった。


 子供が生まれて3ヵ月たった頃、オレ達の周りに変化がおきた。突然、島の中央の方から、水が流れて来た。


 生き物にとって、水は無くてはならない。しかも濁りのない綺麗な水だった。今まで、沼のような湖で、なんとか飲める水を飲んでいた。


 当然、水を求めて魔物を含む近くの生物は、移動を始める。


 オレ達家族も、川原へ水を飲みに来た。そして、巣穴へ帰る途中に、これからは綺麗な水が飲み放題と浮かれていたオレは、奴の接近に気づくのが遅れた。


 そいつは、3メートルを超える熊の魔物だった。嫁さんが襲いかかったが、爪攻撃は防がれ、逆に奴の攻撃を食らって、傷だらけになっている。


 このままでは全滅すると思ったオレは、少しでも、家族を逃がす時間稼ぎしなくてはと思い、嫁に「子供達と逃げろ」と目で合図を送ると、川の方に逃げて行った。


 その後の事は、余り覚えてない。気がつくと知らない場所で、家族3匹と、見たことない人族がたっていた。


 後に、オレ達を助けてくれたのが、神様だということを知った。



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