11 オオカミの親子
全員屋敷の前にいるのを確認して、
「それで、どうすればいい?」
シズクに聞く。
「オオカミ達を神力で、包みこんでください。」
言われるままに神力で、オオカミ親子を包みこむ。すると、傷が消えていき、やがて、寝息が聞こえ始める。
「神力には、傷を癒す力があります。それとよほど、ひどい目にあったのでしょう。気が緩んで寝てしまったみたいですね。このままゆっくり寝かせてあげれば、起きるころには元気になっているでしょう。」
どこにいたのか、スッとセバスが現れる。
「後は私におまかせください。」
「それじゃ、お願いね。」
後のことは、セバスに任せ、屋敷の中に移動した。
オオカミの事が気になるので、夕食とお風呂をパッパと済ませて、寝る前にもう一度、オオカミ親子を見に行った。
母子オオカミは起きていて、未だに眠っている父親の黒い毛を、心配そうに舐めている。
「大丈夫だよ。すぐ良くなるからね。」
ワタシが親子に話しかけると、しっぽを振りよって来る。
「やはり、言葉が解るのかな?」
ずっと看病してくれてたセバスに話しかける。
「お嬢様の言葉だけみたいですね。私達は駄目みたいです。おそらく、お嬢様のスキルなのではないかと。」
そうなのか。言葉が解るのは嬉しいね。
「それと、すっかり懐かれたね。」
「大変賢いオオカミみたいで、お嬢様が救ってくれたのを理解しているのでしょう。恩を感じているのではないでしょうか。」
そうだったら、すごく賢いオオカミ達だね。
暫く、子オオカミ達をもふもふして、満足するまで堪能し、後の事をセバスに任せて、自分の部屋に戻った。
部屋に戻ると、相変わらず精霊の憩いの場状態で、ここ数日、日課であるトランプを精霊たちとしながら、いつの間にか眠りについた。
次の日の朝、目が覚める。ワタシの身体に群がっている精霊たちにあいさつして、
「シズク~」
目の前にシズクが転移して来る。
「姫様。おはようございます。まずはこちらに、お着替えください。」
上下赤のジャージを渡されて、寝間着からそれに着替える。
「おはよ。まずはオオカミの親子が気になるから、見に行こう。」
「まだ朝が早いので、先に朝食をお食べになられるのが、よろしいかと。」
「そっか、そうしよう。」
シズクの後を、トコトコとついていく。
キッチンに入ると、恒例のワタシを待つという名目で、一杯やっている3人がいる。
「おはよ~」
「「「おはようございます。」」」
朝の和食を食べて、シズクと一緒に庭に向かった。
庭には一晩中、看病していたセバスが待っていた。
「セバスご苦労様。オオカミ達の様子はどう?」
「これはお嬢様、おはようございます。オオカミ達は、もう大丈夫でしょう。元気に走り回ってます。」
「良かった。後は私達が変わるから、セバスはゆっくり休んでちょうだい。」
「それでは、失礼します。」
そう言って、セバスは去っていった。
オオカミ達を見ると、セレナがあげたであろう、いのししの肉を食べている。あれだけ、食欲があれば大丈夫そうだね。
「元気になって良かったね。」
ワタシは、子オオカミをもふもふしながら、話しかける。食べ終わったのを確認し、
「ちょっと質問するね。はいなら1回吠えて、いいえなら2回ね。」
父オオカミが、「ウォン」と1回吠える。
やっぱり、ワタシの言葉が解っているみたいだね。
「さっそくで悪いのだけど、あなた達の今後について、ワタシは一緒に、ここで暮らして欲しいんだけど、あなた達が、今まで住んでた場所に戻りたいなら、送ってあげるよ。ここで暮らすなら1回、戻りたいなら2回吠えてくれる。」
父オオカミは、家族を暫く見つめた後「ウォン」と、1回吠えた。
「よし、ここに住むで決まりね。シズク、とりあえずこの子達をきれいに洗いたいから、風呂に連れて行くね。」
「わかりました。お風呂から出るまでに、ベイスに頼んで、庭にオオカミの住処を作ってもらいましょう。」
「うん、お願いね。それじゃみんな、ついて来て。」
お風呂に向かう。オオカミの家族は、ワタシの後ろを大人しくついて来ている。




