10 探索2
昨日、いつの間にか眠っていたワタシは、精霊たちに囲まれながら目が覚める。しばらく幻想的な光景を眺めていると、シズクが転移して来る。
「姫様、おはようございます。」
「おはよ~」
部屋中にいた精霊は、いつの間にか見えなくなっており、それぞれの役割を果たしに、出掛けて行ったのだろう。
シズクの持って来た、白のワンピースを着せてもらい、部屋を出てキッチンに、トコトコ向かう。
「おはよ~」
既に、全員揃っていてワタシ待ちだった。待っている間、メイドにお酒を出してもらって乾杯している。ベイスはもちろん、ライもレフィもお酒が飲みたくて、わざと早く来ているのだろうか。
朝のメニューは基本、和食でとエレナにお願いしている。
「いただきます。」
白いご飯を一口食べながら、
「今日の探索は、昨日の続きからでいいよね。」
「はい。食事が終わり次第、出発しましょう。」
朝食を食べ終わると、ワタシ達は、屋敷の玄関に向かう。
シズクの転移魔法で、昨日マーキングした場所に移動した。コンテニューってやつだね。
隊列は昨日と同じで、さっそく移動を開始する。そして動物形のゾンビが出て来た。ワタシは、結界魔法に神力を込めて放つと、ゾンビは跡形もなく消えさった。浄化したからだろう。
「魔物がどこかで、暴れているのかな?」
死体にならないと、アンデットにならない。
「そうかもしれませんね。しかし今は、この近くではないでしょう。」
「なら、そこの川沿いでお昼休憩にしよう。」
「賛成~。」
「了解。」
ライとレフィが辺りを警戒している間、シズクはイスとテーブルをだし、サンドイッチをテーブルの上に置いている。サンドイッチの中身は、昨日狩ったいのししの肉みたいだね。
「いただきます。」
さっそくいのししの肉を味見する。
肉はとても柔らかく、油がジューシーで、美味しい。
いのししの肉を堪能し、サンドイッチを食べ終える。みんなで片付けをして移動を再開する。
午後は歩くのに飽きたので、シズクに抱っこしてもらった。
それからもゾンビしか出ず、ライとレフィによって倒されていく。ワタシはそれを、シズクの大きな胸の中で、邪魔をしないよう見学した。
そして、屋敷と海までの距離が3分の2ほど、来た時に異変が起きた。
最初に気づいたのは、レフィの探知魔法で、魔物が3匹、ここから1キロ先にいるということだった。
急いで向かうと、あちこちキズだらけのオオカミの親が、小さな子オオカミ2匹をかばって、近づいて来たワタシたちのことを、威嚇する。
シズクから降り、ゆっくり近づいて、話しかける。
「大丈夫。ワタシ達は、あなた達に何もしないから。」
そう言うと、言葉が解るのかオオカミは、おとなしくする。
「レフィ、周囲を調べて。」
レフィは探知魔法を唱える。
「500メートルほど先に、魔物が2体います。」
「よし、行ってみよう。」
ここをレフィに任して向かった。そこには、3メートル以上のダークベアーと、倒れているオオカミがいた。今日、アンデットが多かったのは、こいつのせいだろう。
「ライ、ダークベアーは任せる。」
ライが一瞬でダークベアーの前に移動し、顔面にパンチを入れると、頭が吹き飛び倒れる。そして死体を回収する。
ワタシは倒れているオオカミに近付く。出血が多いので意識はないが、呼吸はしていた。
やはり、さっきの親子オオカミの父親みたいだね。自分を犠牲にして、家族の逃げる時間を、稼ごうとしたのだろう。
「シズク、このオオカミを助けたい。どうすればいい。」
「急いで、聖域に連れて行きましょう。」
そう言うと、シズクはヒールの魔法をオオカミにかける。とりあえず出血が止まったみたいだ。
ライがオオカミを担ぎ、オオカミ親子の所に急いで戻った。
すっかり大人しくなった母オオカミは、担がれているオオカミを見ると怯える。
「シズク、戻ろう。」
転移魔法を唱え、屋敷の庭に転移した。




