呪いの装備サイリウム
俺は大好きな2次元のアイドルのライブに参加してる真っ最中に異世界に転移したらしく、何故か原っぱにいる。
「せっかく金貯めて田舎からの遠征費貯めて久々のライブを楽しもうとしてたのに⋯⋯なんで、なんで今なんだよ!!!!」
俺は悲しみ嘆いたがそれでも俺はオタクだ。異世界転生や異世界転移には憧れていた。まさかその当事者になるなんて夢にも思っていなかったので正直嬉しい。
「俺にはどんなチートがあるんだ?ステータス・オープン!」
体力B 魔力A 知力B
ギフト【装備限界突破】
基準が無いから分からないけどこれはなかなかに強いんじゃないか?と俺はチートをちゃんと得られたのではないかと思わずはしゃいだ。
しかしそれは装備を見て崩れ去ることになる
装備 異世界の服
異世界の服
異世界の呪いのサイリウム
「異世界の呪いのサイリウム⋯⋯だと?」
まさかと思ってサイリウムを地面に置こうとしたら置けなかった。手から外すことが出来なくなっていたのだ。しかも両手ともである。
「コールするのは楽しいとは思っていたけれどまさかコールしか出来ない体にされてしまうとは思わなかったよ⋯⋯」
装備限界突破とかいうギフトもサイリウムしか持てないんだったらほぼ意味無いだろうなあ⋯⋯
防御だけ高くても倒せないんじゃあ何にもならない。
これから先どうしようかととりあえず人のいるどこかにいこうと歩くことにした。
歩き始めて10分後、俗に言うダチョウに似たモンスターに遭遇してしまった。
「武器なんて何もないのにどうすればいいんだよ⋯⋯」
仕方がないので全力ダッシュで逃げようとした。ギフトのおかげで靴が強化されていたりするおかげなのか、どれだけ全力で走っても疲れない。がしかしそもそも俺の足はそんなに早くないのですぐに追いつかれたしまった。
「戦うしかないのか⋯⋯」
この様子だと逃げられそうにないので戦うしかないけれどもサイリウムしかないのにどうすれば良いんだ⋯⋯ サイリウムで殴れっていうことか⋯⋯
そう考えて俺は偽ダチョウを殴りつけた。しかし当然ながら全く効果がない。何かしたか?みたいな顔の偽ダチョウは俺を蹴り飛ばした。
「痛っ⋯⋯ ん?痛くないぞ?」
かなり派手に吹っ飛んだはずなんだが、一切ダメージが無く、服も破れたりしていなかった。
「もしかしてギフトのおかげなのか?」
何がともあれ何されても怪我しないのであれば戦う際の実験台にすることが出来るだろう。
というわけで俺は色々と試す事にした。
偽ダチョウにサイリウムを突き刺してみたり口にねじ込んだり様々な攻撃方法を試してみたが、一切効果が無く、幾度となく吹っ飛ばされる羽目になった。
「嘘だろ⋯⋯ これどうすれば良いんだ⋯⋯」
何をしようと一切効果が無く、倒せない事に絶望した。一生敵に攻撃が出来ずなすがままにされるしかないのだ。
絶望した俺は現実逃避のために乾いた笑いが出るのを抑えながらサイリウムを振りコールを始めた。
その間は気が紛れてとても幸せだった。もう一生見ることの叶わない推しを思い浮かべていた。
一通りコールが終わると、ふと我に帰った。今まで何をしていたのだと。そしてあのダチョウはどうしたのかと。そして辺りを見渡すと、真っ青な顔になって息絶えている偽ダチョウがいた。
「マジかよ⋯⋯ コールで死ぬのかよ⋯⋯」
コールで死んだ偽ダチョウに若干の虚しさを覚えつつも歩みを進めることにした。
こうして異世界に敵との戦闘中にサイリウムを振りコールを始める男が爆誕した。
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