ハッキリ口に出して言っちゃいましょう!!
えびっ!!
IDECCHI51様からいただいたエビ太だよ~。
こ、これは夢学無岳様の呪いなのか……?!
詳しくは
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≪月曜日≫
そうしてまた月曜日がやってきた。
起床してから支度を整え、点呼。そうして朝のランニングが始まる。
周は上村の様子を気にしつつ、いつも通りに走っていた。
すると。
「明日から、武術と逮捕術の授業は誰が担当するんだろうな?」
寺尾が突然隣にやってきて、周にそう話しかけてきた。
「……?」
「なんだお前、知らないのか? 沓澤はきっと、今日あたり査問委員会に呼び出されてさ……最後の審判を待つ身なんだよ」
思い出した。
昨日、寺尾が陽菜乃に一枚の写真を見せつけた上で、不倫してるんじゃないかという疑いを投げかけた件。
周は咄嗟にでっち上げだと考えた。
でも今は、彼女の言動の不審ぶりに照らし合わせてみると、疑わしいことは否定できない。
「あの写真を監察に送ってやったんだ。お前はあんな御託を並べてたけど、ホントのところはどうだかわかりゃしないからな」
監察というのが警察の中の警察と呼ばれる部署で、不良警察官を取り締まる役目であることぐらい周でも知っている。
「懲戒解雇か、もしくはギリギリセーフで孤島か山奥の駐在所勤務かな?」
周は返事をしないでおいた。
寺尾はかまわずニヤニヤと嫌な笑顔を浮かべつつ、
「ざまぁみろ、だよな。だいたいブサメンのくせに、陽菜乃みたいなレベルの高い女に手を出そうっていう気持ちそのものが、おごりだっていうんだよ」
相手にしちゃダメだ。
「頭が悪くて粗暴、まるっきりゴリラかチンパンジーだよな? そりゃ、柔道や剣道の技術は認めざるを得ないけどな……それだってどうせ、野生の本能だろ」
周は黙って前だけを見つめた。
喉元まで出かかっている『クズ』という単語を必死に飲み込みながら。
知っている。
寺尾は結局のところ、自信のあった武術の分野でどうしたって沓澤には敵わないこと、上には上がいることを認めたくないだけだと。
そして彼に、何度か皆の前で恥をかかされたことを恨みに感じていることも。
「あいつ、鏡見たことあるのかなぁ? っていうかそもそも、あんなのに妻子がいるっていうこと自体が不思議だよな……何か、弱みでも握ったのかな」
「まぁ、確かに。殺人事件の動機って脅迫が多いからね」
いつの間に!?
すぐ後ろを走っていたらしい和泉が口を挟んできた。
「寺尾君、だっけ? 君ってさ、もし東京かその近くにでもいればきっとモデルとか芸能人にスカウトされていたと思うよ?」
寺尾は柄にもなく頬を赤く染めた。
「背は高いし、体格も立派だし」
和泉の言うことを周も否定するつもりはない。だが、どうしてそんなことを今、このタイミングで言いだすのだろう……?
褒められて気を悪くする人間はいない。だが。
和泉は続ける。
「ああ言う世界ってさ、表舞台は華やかに見えるけど、裏はお互いに足の引っ張り合い……暴かれたくない他人の過去を洗いだして、マスコミに売り渡す……器ばっかり磨いていて、中身は醜くて腐臭漂うことこの上ない……まさに、君みたいなタイプに相応しいよね? 寺尾弘輝君」
「何すか、それ……」
さすがに寺尾も普通に褒められているだけではないことに気付いたようだ。
「どういう意味なのか、自分で考えてみるといいよ?」
周には彼の言うことが理解できた。
簡単に言えば、さっきまで自分が必死で我慢していた【クズ】という単語を、かなり細かく分解した上で他の表現に置き替えただけだ。
和泉は続ける。
「もしも人の内面を映し出す鏡があるとしたら、君はきっと……二目と見ることのできないほど不細工で、吐き気を催すほどに酷い容貌に違いないね」
そうして和泉は隊列を離れて行った。
そもそも彼は、走るのに相応しい格好をしていない。
革靴で走るのは難しいだろう。
どうでもいいけど、こっちに向かって笑顔で小さく手を振るのはやめろ。




