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第七話【地下へ】

不定期な更新ですみません。


 案内をしてくれたヨセフの部下に礼を言って、俺はヒロ爺の店に戻った。


 店の奥に行くと、普段は締め切ってある扉が開いていて、中に入ると外された床板と深い縦穴がそこにはあった。


 これが、ヒロ爺が言っていたディーオスへの入り口なのだろう。その穴を覗き込むと、吸い込まれてしまうような錯覚に陥る。


 すぐに装備を整えて出発しなければ。俺は今、指名手配されているのだから。


 町中に張り巡らされた防犯カメラ。ヒロ爺のギルドの一員として登録されているのだから、すぐここに治安部隊が乗り込んでくることだろう。


 目指すは四十九層。千キロ以上の道のりを進まなければならないため、装備はできるだけ軽くしなくてはならない。


 九層にバルデンという生き物が生息していて、懐かせて調教ができれば、馬のように背中にのって移動することができる。


 だが、それまでは徒歩での移動となる。それも、通常からは大きく遠回りとなるルートを進み、境層きょうそうと呼ばれる上下の階層を繋ぐ坂を目指さなくてはならない。


 それに、バルデンを確保して飼い慣らすことができるとも限らないのだから、荷物は必要最低限にするべきだ。


 必要だと判断し、手にしたのはターミナルと呼ばれるデジタル端末。


 これまでは表層の地形を暗記していたが、これから向かう場所は踏み込んだ事の無い層であり、情報をそれ程持っていない。


 この端末には、これまで人類が踏み込んだディーオス内の地形データや、生物の情報などが内臓されている。とは言ったものの、完全なマップとして完成しているのは二十五層までだ。そこから先の三十六層までは大まかな地形または、境層の位置のみが表示される。


 もし生き抜くことができ、三十六層まで辿り着くことができた場合、そこから先は、この端末と連動する発信機を取りつけながら進むことになる。


 次に手にした物は銃だった。だが、それはすぐに飾られていた棚に戻した。


 確かに威力があり、小回りが利くため重宝するのだが、銃弾が尽きた際に補給する方法が無い。また、水没させてしまった時のリスクを考えると持っていくべきではない。


 結局、店に置いてあった性能の良いクロスボウと今使っている物を交換することにした。


 矢もカーボン製の物に交換し、矢の消費を減らすためにスリングガンも持っていく。


 また、背負っていたリュックサックなども消耗していたため、それらも新しい物と交換する。


 火打石、ライト、水筒、水袋、乾燥食料、双眼鏡、カーボンワイヤー、小型巻上機、遠隔制御型電子フック、ビタミンアンプル、応急処置セット、寝袋、砂糖、塩、胡椒、飯盒はんごう、輝光石、蛇毒瓶······etc.を新しいリュックの中に詰め込む。


 ついでに、身に付けていた衣服も防刃性、機能性の高い物に着替える。


 身につけた衣服や装備の数々は、見習いの探索者サーチャーには到底手が届かない品ばかりだった。


 一本の魔法刀と予備の数本のナイフを持っていく。しかし、すぐに手に取れるように腰に差したのは、やはりサクラから貰ったナイフだった。


 他のナイフに比べれば、最も安い物だろう。だがそれでも、なぜだかこのナイフが俺を守ってくれるような気がした。


「こんなもんか······」


 リュックを背負い、穴の前に立つ。


 もう後戻りはできない。


 だが、するつもりも無い。


 俺はライトの光を穴の中に向けると、鉄の棒をU字に曲げて打ち込まれた足場を見つけた。


 手に持つライトを首にかけ、穴の中へと入る。


 静かなはずなのに、巨大な生物に丸飲みにされているような感じがした。


 どこまでも続くかのような闇の中を足場だけを頼りに下り続ける。ふと見上げた頭上の明かりは、針の穴のように小さくなっていた。

 

 こうして俺の無謀な探索が始まった。

じゃ、勉強に戻ります。

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