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お昼の時間。

教室のチャイムの音が鳴る。


「はい、じゃ今日はここまで。」


先生が資料をトントンと整えて、授業の終わりを告げる。


「いやっしゃー!飯じゃー!」


昼休みに入り多くの生徒がお弁当なり、学食なりへと

ぞろぞろと動き出す。

仲のよい女子グループが机を寄せ合って団欒を開始する。


会話の内容は他愛ない話だ。

どこそこの部活の先輩がかっこいいだとか、先日のテスト内容だとか。


だがこのクラスには一人浮いている生徒がいる。

浮いているというか、もう何か遠巻きにされている。


先に言っておこう。その人物は別段いじめられているわけではない。

クラスメイトとも会話はするし、友人もそれなりにいる。

だが、あえて踏み込もうとする程の人間はいない、そういうことなのだ。


どうしてそんな事になっているかというと。

その女生徒の隣をロッカーに教科書をしまおうと、横切った生徒が

たまらず声をかけてしまう。…かけてしまった。


「ね、ねえ。茅野さん。…それ…何…」


その問題の女生徒は大型の登山リュックのようなものを机の上に広げて

ないごとかごそごそしている。


声をかけられたことにより顔を上げた少女は、それなりに整った顔

そして艶のある肩まで切りそろえられたきれいな黒髪。

瞳は少し緑の混じった不思議な色をしている。


瞬き一つした後彼女は返答した。


「お弁当…準備。」


「じゅ、準備?お弁当を出すんじゃなくて?」

「そう、準備。」


こくりと頷くと、話しかけた生徒は、これ以上踏み込んではいけない!という思いから

そ、そっかーと流すとロッカーへと足を進めた。


リュックから取り出されたのは、簡易コンロ。

そして土鍋。既に切られた各種野菜、肉に大きな水筒に詰められた出汁。


コンロに土鍋を置き、水筒の中身を空けて火にかける。

教室内には出汁の良い香りが漂い始める。

教室にこもりがちなお弁当独特の香りではない。

そして野菜類から順々に入れていき肉もいれると土鍋の蓋を閉める。


おとっぱずれな第九の鼻歌を歌いながら茅野と呼ばれた女性とは窓の外を眺めている。



その時の教室にいた生徒の心は一つだった。


「何で鍋だよ!!!!!!!!!」


だがもうある種の慣れか、茅野だから。という暗黙の了解がある。

くつくつと煮えてきた音が聞こえ、香り高く美味しそうな鍋の香りが漂ってくる。

後は余熱でいいと判断したのか、彼女はコンロの火をとめると

土鍋の蓋をあける。


ふわぁっと広がる湯気と、言葉では表現しきれない胃袋を刺激する香り。


出来上がった鍋を見て少女は喜色満面である。

そして手をあわせて食べようとしたところで…


「あ、箸忘れた…」



今度こそクラスメイト全員は思わず声をあげていた。


「何でそこで箸忘れてんだよぉおおおおおおお!!!!」



何故か書きたくなってしまいました。正直すいませんでした。

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