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村人勇者の英雄譚  作者: ワカメ
2章 出会いと別れ
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第18話 西都・セイラン

三ヶ月も開けてしまい申し訳ありませんでした。

 オモダカに言う通り、護衛の旅は大きな問題もなく過ぎて行っていた。問題と言えば途中でオモダカの教えのもと、一つのスキルが進化し、それをきっかけカノンさんに、しこたま怒られた(物理的に)程度だ。

 そんなこんなで俺たちは予定通りにセイランにまでたどり着くことができていた。


「それじゃ、セイランの関所を超えたら別行動になる訳だが、集合時間や場所は大丈夫かい?」


 俺は地図に書かれた丸印を見ながら。


「ん〜、まぁ、地図を見ながらならなんとかなるとは思う…たぶん…」


 そんな自信なさげに返事を返す俺に、「本当に大丈夫かい?」と言いたげな目を向けるオモダカだったが、関所前に来ると眉をひそめ、真剣な表情になり、俺もつられて地図をしまい、真剣な表情を作った。まぁ仮面を付けているので意味は無いのだが。


 そして自分達の番が来た。

 関所には王国兵と同じ鎧を着た兵士が数人おり、そのうちの一人がこちらに歩み寄り、縄を握るオモダカの隣にまで行くと。


「ここには何用で来た?」


 と尋ねる王国兵に、オモダカは慣れた口ぶりで。


「ここには、御者としてお客様を乗せて参りました。

 彼は護衛として雇った冒険者の者です」


 オモダカがなぜ商人と言わず嘘をついたのか分からなかったが、先程の紹介で兵はこちらに顔を向け。


「其方は冒険者の者で問題ないか? ないならプレートの方を確認しても?」


 そう言われて、俺は首にかけているプレートを服の中から取るとおもむろに、兵に向かって投げ渡し、兵の方はそれを受け取ると、プレートをしばらく眺め。


「たしかに確認しました、Bランク冒険者のムメイさんですね、問題はありません」


 と言いながら近くにいるオモダカを経由して俺の元に戻ってきたプレートを首にかけ直すと。


「では次に中を確認させていただきます」


「構いませんよ」と返事を確認し兵は後ろの方に移動し、扉の開く音の後に。


「男性一人と女性が一人で、武器等の所持はなしと……問題ありません、時間を取らせてしまい申し訳ありません」


 そんな兵の言葉で、関所の門は開き「どうぞ」という声に従い中にへと馬車を進め、関所から少し離れた所で。


「オモダカ! 関所は超えましたよね⁉︎ もう出ても良いですよね⁉︎」


 と元気いっぱいな声で訪ねて来るサクラちゃんにオモダカは。


「もう少し先に停留所があるんで、そこまでは我慢してくだせえ」


 と慣れた様子で返しているオモダカに、今度は俺が。


「どうしてあんな嘘をついたんだ? それになんで身を隠す必要があるんだ?」


 と訪ねてみたが、返答は「そいつぁ、言えねぇんだ、すまんな」といわれ聞くのはやめ周りの景色に目を向けた。

 街並みは王都と大して変わらないが、何か分からない違和感に襲われていたが、それを考える暇なく馬車は止まり。


「着きましたぜ」


 と聞くとすぐに後ろの馬車の扉が開く音の次に、こちらに駆け寄る足音が二つ、一つは。


「ムメイさん、着きましたよ! 早く行きましょう‼︎」


 と元気いっぱいに駆け寄って来るサクラちゃんと。


「お待ちくださいサクラ様!」


 とサクラちゃんの後を追うカノンさんのものだった。

 俺はオモダカの方に視線を向けると、全て察してくれたように、方を竦めながら「行ってやんな、兄ちゃん」と言われこちらも会釈で返事を返し降りた。


 降りてすぐにサクラちゃんに手を引かれる俺は、それに逆らうことなく身を委ねるように歩みを進め、後ろからは「お気をつけて」と声が聞こえたので、空いた手で返事を返したが「お前じゃない!」といわれ少し寂しかったが、それでも俺を引っ張るサクラちゃんの歩みは止まらないので、もう一度カノンさんに手を振り、その場を後にし。


 そして俺たちは、出店などの立ち並ぶ通りにやって来たが、この時に俺は、あの違和感の正体をもう少し考えるべきだったと後に後悔することになるとは思ってもいなかった。

次話はなるべく早く投稿します。

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