第11話 盗賊団戦
「さてと、それじゃ、どうやって攻め込むかねぇ〜」
そんなコトを呟きながら、屋敷を眺めていると、見覚えのある奴らがいた。
「あいつらは………いいコト思いついた」
きっとこの時の俺はすごい悪い顔をしてると思いながら、行動に移した。
「クソッ! なんなんだアイツは! 冒険者のくせに魔法が使えるなんて聞いてねぇぞ! 」
「うるせぇぞ! 終わったコトを愚痴愚痴言ったって無駄だろうが! そんなことより今は、カシラになんて報告するかを考えろよ!」
「カシラに収穫が無いなんて言ったらどんな目に合うか、クソッ! なんで俺までこんなことに」
「元はといえば、お前が何も考えずに突っ込んだからだろうが‼︎」
「あん時は、ボロボロの布切れを着ている、一人の旅人風だったっんだ、なのに、その布切れを剥いたら………あんなのありかよ」
「ふ〜ん〜、そのボロボロの布切れを身につけた旅人てこんな感じだった?」
「あー、そうだよ、まさにそんな感じだ……ってお前はぁぁ〜」
大声を出されるより早く、盗賊団を一人残し力無くたおれ。
「ヒッィィ、どうしてお前がここにいるんだ⁉︎」
「やあまた会ったな盗賊さんよ、なに野暮用さ、んでしばらくかりるぞお前の体」
「えっ?」
敵さんの最後の言葉はなんとも情けなかったが、ここまではうまく行ったが。
「やっぱり、俺よりレベルが低い奴の体に入ると、体が重くてなんだな」
と言いつつ、入れ替わった体を動かしながら、ゆっくりと馴染ませ、そこらに転がる仲間たちを茂みの中に隠し、彼らがカシラと呼ぶ奴の位置を知るため、記憶を除き、必要な情報を閲覧し、自分の体を担ぎ見知った道を歩き、迷うことなく目的の場所まで辿りつくことができ、そこに待っていたのは。
「遅かったじゃねぇか」とギルドの広間のようになっている場所の奥で、一人だけ偉そうに踏ん反り返っている男がそう尋ねて来た。
そう奴こそが、この盗賊団のボスで、カシラと呼ばれている男だ。
「おい、他の奴らは、それにその薄汚えもんはなんだ?」
そう尋ねて来たカシラに対し。
「すいやせんカシラ、他の奴らはコイツを捕らえる時に命を………ですがアイツらの死は無駄じゃありませんでしたよ! 見てくだせえコイツの装備品! これをカシラに見て欲しかったんです‼︎」
そう言いながら、本体の腰から刀をもぎ取り、カシラに見せると、カシラは立ち上がりこちらに向かって歩いてくる。
「ほ〜、いい剣だな、確かにアイツらごときの命でそれが手に入ったんなら安いもんだな」
流石は盗賊だ、仲間を仲間と思わない発言を発し、そして、俺から乱暴に刀をむしり取り、そしてそのまま倒れる本体を弄り、腰につけていた、硬貨の入ったポーチも奪い、そのまま口を開き中身を確認し笑みを浮かべ、再び体を弄りだした。
その間に俺はカシラの後ろに回っていた。
そしてカシラは満足したのか、ゆっくりと立ち上がり。
「さてと、金目のもんはこんなもんか、それじゃ最後にこの剣の切れ味をコイツで試してみるか」
そういうと、周りで先程まで静かに事の顛末を見守っていただけの奴らが「ワァーーー」と一斉に歓声を上げ、それで気を良くしたカシラは満面の笑みで刀を抜き、高く掲げ。
「さあ‼︎ テメェら、しっかりと目にやきつけろ‼︎」
と叫びながら振り落とそうとした、この時を待っていた。
「やっと、隙を見せてくれましたね」
「グフッ⁉︎」
カーン
カシラの口から血が出るのと、振り上げられた刀が、手から抜け落ちらのは同時だった。
「テメェェ、どういうつもりだ」
と、左手で血が滲む腹部を押さえながらこちらを振り向いた。
「いやぁ〜、すみません手が滑っちゃいました、テヘペロ」
と悪気が無いようにカシラを指したナイフを手元でクルクルとしていると、既にカシラは心配し周りに駆け寄って来た部下から剣を奪い取り振り下ろしていた。
「あれ俺はなにを? えっ、カシ……ラ……」
グチャャドサ
嫌な音の正体は、体を縦に真っ二つにされた男と、膝から下を切り落とされ地面に力無く倒れるカシラからだった。
「アアァァァアァァ、あッ! 脚がァァァ‼ 痛え! 痛えェェ‼︎ テメェら何してやがる‼︎ 早く俺の脚を………なん……だよこりゃ」
カシラが驚いたのはきっと、次から次にドサドサと泡を吹きながら倒れていく、部下達を見たからだろう。
そして、この無残な現場を作った張本には。
「何すか⁉︎ 何すか⁉︎ 内輪揉めすか?」
と、そう言いながら、まだカシラの脚を切り、滴る血の残る刀を一振りし、血を払っていると。
「なんでお前が起きてんだ、息の根は確かに止まってた筈だ、イヤそれよりもだ、これをやったのはお前か⁉︎」
カシラは残る手で地を這いずりながらこちらを睨みながらそう尋ねてきたので。
「もう普通に喋れるんだ! ってそりゃそうか、お前には回復魔法をかけてるからもう痛みも無いに決まってるよな」
「質問に答えやがれ‼︎」
俺が場違いな解答をしたことに怒り、先程より顔が険しくなったので。
「そうだよ、俺がやったんだよ、まぁ、周りの奴らが倒れたのはお前のせいなんだけどな。
何をしたか聞きたい? 聞きたいよねぇ〜そりゃ、だから話してあげるよ」
俺は相手の応えなど聞かずに話を続けた。
「シソーラスの葉って知ってるか? まっ、知らないか、仕方ないからわかりやすく教えてやるぞ、その葉には軽い毒性があるんだが、そのままだと、精々手足に軽い痺れが出るくらいだが、それを枯らせると、毒性が増して、少し含んだだけでも成人男性ぐらいなら、全身に強い痺れが襲い、良くって意識を失い、その後に後遺症が残る程度で、最悪死にいたるもんなんだが、ここまでの話だとそれを体に含まなければ良いだけの話だが、シソーラスの葉にはもう一つの特徴があって、実はシソーラスの葉の絞り汁は、可燃性の液体になってだな、それの何が不味いのか? ってなると思うけど、可燃性液体てのは、液体が燃えてる訳じゃなくてその液体の蒸発した物が燃えている訳で、その上、この絞り汁は常温でも蒸発を続けていて、なおかつその蒸気は無色で無臭、そして、その毒性は引き継いだまま。
ここまで話せば大体分かると思うが、俺はそれを体に塗っている。
つまり俺が通ってきた細い通路ぐらいなら簡単に毒が充満する。
だから助けを呼ぼうが誰も助けには来ねえ。
唯一の救いだった奴は、さっきお前が自分の手で殺しちまったしな。
そいつだけは解毒薬を飲ませてたのに、自分で自分の首を締めるとか、プークスクス」
カシラを小馬鹿にしたように話していると、カシラには納得のいかないことがあるのか、声を荒げ。
「ならなんでだ! なんで俺にはその症状が出てない‼︎ それにこんない広い場所ならその毒で、皆一斉に倒れる訳がないだろうが‼︎」
そんな問いに呆れたような態度を取りながら。
「だから言ってんじゃん、お前には回復魔法をかけてるって、それに言ったよな〜、周りの奴らが倒れたのはお前のせいだってな」
「だからどうゆうことなんだよって言ってんだろうが‼︎」
さらに声を荒げるカシラに対し。
「キィキィうるせんだよ、ちぃたあテメェのない知恵振り絞って考えろよ。
まぁいい、教えてやるよ。
お前、開けただろ、毒ガスがタップリと入った皮袋を」
そう言いながら、カシラの横に落ちている硬貨の入った皮袋を手に取った。
「いいかこの中には最初、並々とその絞り汁が入ってとしよう、だがお前が開いた時、その中に液体は入っていたか? 入ってなかったよな? ならその液体はどこに行ったと思う? そうだよ、全部お前が開くと同時に空気と混じり弾け飛んだんだよ‼︎ それに言っとくがな! この広間なら小瓶一つ程度の絞り汁で十分なんだよ!」
そしてやっとコトを理解したらしいカシラは。
「何が目的だ」と小さな声で訪ねてきたので。
「物分かりのいい人は好きですよ、じゃあ要件だけ言いますけど………お前らが捉えた女子供はどこにいる」
そういうと、男は全てを理解したように笑い出し。
「なるほどなぁ、テメェはどっかの村から依頼を受けた冒険者って訳か、だが残念だったなぁ、奴隷達がいる場所は、俺の許可がなければ立ち入れない場所だ‼︎ だからこのまま俺を殺したら、奴隷たちは二度と助からない! 分かったらさっさと俺の脚を治しやがれ‼︎」
急に強気になったカシラに対し。
「ふ〜ん、でっ?」
「えっ?」
俺の興味がない反応に驚いたのだろう、カシラからは先程と違い情けない声が漏れていた。
「でっ? だからなに?」とさらに畳み掛けると。
「だから俺がいねェェェアァァァ‼︎ なんでも腕を切りやがったァァァ‼︎」
「イヤだって、キィキィうるさかったから。
いいか俺はお前に、案内しろと言っている、なら答えは一つだろ? お前は素直にそこまで案内すればいいんだよ。
あとこれ以上ごねるようなら殺すぞ」
そう脅すと。
「わっ、分かったから命だけは」と小物感の凄い発言を発し「案内するから脚だけは治してくれ」と言っていたが無視して首根っこを掴み引きずるようにして移動を開始した。
当然カシラは文句を言い始めたが、刀をチラつかせるだけで黙り込み素直に案内を開始した。
そして、その案内に従い通路を進んで行った。
次話は、来週には投稿できそうです。




